第38話
静寂を足音で切り裂きながら、二人で湖畔を歩いていく。
時折混じる鳥の声や風が揺らす草木の音以外に特に何もなく、至って平和そのものだ。
リゼもいつの間にかテンションを取り戻し、楽しそうに隣を歩いている。
……遊びに来たんじゃないんだぞ。しっかり警戒してくれ。
「良いところだね」
リゼがつぶやく。まぁ、それには同意だ。
「そうだな。魔物退治で来ていなきゃ最高だったんだが」
「あはは。でも、折角来たんだから魔物が出るまでは楽しまないと」
「そうして油断してると危ないだろ」
「油断はしてないよ?探査魔法使ってるもん」
「……使えるなら先に言ってくれ」
「言うの忘れてた、ごめんごめん」
探査魔法。ユニークスキルの一つで、ユニークスキルの中でも使えるものが極めて少ない魔法だ。これが使えるだけで、黒ネクタイだろうが卒業後国家魔術師になれるぐらいには。
というのもこの魔法は原理が解明されていない。ユニークスキルは殆どそうだが、これは特にその気が強い。使い手全員が別々の方法で探査を行っているためだ。そのため、体系化出来ておらずそれっぽい魔法を総じてそう呼んでいる。
……そんな魔法がいくらでもある手の内の一つでしかないリゼの方が、俺よりよっぽどインチキな気がする。ちょっと意味は違うけど。
「いつから使えるようになったんだそんな魔法」
「この前。転移魔法考えた時に、事前に転移先に物がないか調べられないと危ないなって思って」
「それで使えるようになるリゼが恐ろしいよ……」
禁術のついでに一生それだけで食っていける魔法も使えるようになるなんて、他の魔法学院生が知ったら嘆き悲しむぞ。特に黒ネクタイの奴ら。
リゼに出来ないことなんてないんじゃないかな。もう何が出来ても驚かない気がする。
「ヘインだって使おうと思えば使えるでしょ?」
「いや、流石に探査魔法は無理だな。原理が全然わからない。もっと言うと転移魔法やマインドリーディングもわからないし使えない」
「そう?以外と簡単だけど」
リゼと一緒にするな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます