狼の虚しき咆哮より全てを知るべきものか
キイロイコトバ
第壱話 自責
──雨降りの夜
強く降る雨は痛々しく身体の痛点が敏感に反応する。そんな夜、街道から差す光を背に路地裏を駆ける少年が一人。
「待て!この
身体から屈強だという事が解る体格の男性三人から逃げている。だが、そんなこと男性三人から逃げられる程、少年は速くもなければ、持久力もない。
「この野郎ぅ!」
少年は男性によって強制的に振り返させられる。少年は目を見開いて、怯えからか呼吸の間隔が縮まっていく。肺の単純作業の速度が上がっていく。
「やめろ…」
顔面蒼白とでも言えばいいだろうか。顔面の血の気が消えていく。まるで言うなら幽霊かの
「てめぇなんか死んじまえぇ!」
その後は殴る。
私は
「ちょっ…大丈夫?!」
身体に触れると異常な迄に身体が冷たくて、顔色も蒼白くなってたの。焦ったわ。しかも、痣だらけ。酷かったわ。服もボロボロで穴も空いてた。でも、彼の全身は毛で覆われていたの。まるで犬とかの毛を触れてるみたいだったわ。それが不幸中の幸い。体温が逃げにくいからね。
身体が暖かい?
ゆっくりと目を開ける。
「……ん…?」
「あ、起きたの?」
……誰?
「良かった…目を覚ましてくれて。もう、死んじゃったのかと思っちゃったじゃない。」
「……誰?」
「ああ、私?私の名前は結香よ。よろしく。」
「ユウ…カ?」
「うん。あなたの名前は?」
名前…? 俺の…名前… そんなもの…あったか?
「…どうしたの?」
『あなたの名前は…』
『
『
『
『どうして…私の子が…』
何かがフラッシュバックの様に思い出す。全く
「だ、大丈夫?!ちょっとぉ!」
視界が
「ちょっと、目を開けて…」
やってしまった…きっと名前を聞いたからこんなことになってしまったんだ…自責が積る。私は彼が目を覚めることを待つ以外、何も出来ない。こういう時に何も出来ない自分を自責する。
「そっか、君は彼を路地裏で見つけて救い出した後に彼を残念な方法で眠らせて、君は二時に寝た。そんな感じでいい?」
「ええ。」
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