第42話 ローレンシア歓喜祭まであと64日(9月27日)

 ジアースとミュウは朝起きた。

ミュウ:ジアース。おはよう。

ジアース:ああ、おはよう。

ミュウ:ねえ、ジアース。宗教についてどう思う?

ジアース:そうだなあ。宗教はどこまで真実かというところに興味はある。が、宗教は遠い過去に出来上がったものが多い。正直、現代には科学が発達している。科学と宗教にひずみを感じるよ。

ミュウ:なるほど。今の世は、科学は100%に近い確率で真実といわれているよね。

ジアース:そうなんだ。この世はある法則でできていると思う。そして、その法則の上で因果が成り立つと思う。

ミュウ:でも、宗教をやろうとしている人は、何か自分を支えるものが欲しいからと思う。また、人は信じることで強くなれるにではないかなあとちょっと思った。

ジアース:だが、自分で自分を支えて、他人とは共に生きるということで信じる力は生まれるものだと思っているが。

ミュウ:でも、ジアース。自分で自分が信じられなくなったらどうする?

ジアース:そういう時は基本に返って、自分で悟ることからは始まると思う。最後まで自分を信じるべきなんじゃないか。ただ、自分のことは自分で把握する必要はあると思う。

で、ミュウは今日はどうする?

ミュウ:まずは朝食よ。

ジアース:そうだね。

 と、そこにジアースの携帯にカイザーからのメールが来ていた。

ジアース:カイザー殿からか。

ミュウ:中身は?

ジアース:ザバン様のところへ、午前中に来てくれと。

ミュウ:なるほど。

 と、2人は食堂へ行ったらサハリンに会った。

ミュウ:サハリン久しぶり。

サハリン:久しぶりっていっても昨日会っているじゃない。

ジアース:で、サハリンの今の一人暮らしはどう?

サハリン:1人暮らしといっても1人になるのは寝る時だけだからね。

ミュウ:サハリン。お兄様とはうまくいってる?

サハリン:ミュウ様。ジアースのことは頼みましたよ。

ミュウ:もちろん。

ジアース:だが、ミュウとサハリンは今のコンサートのオーディションと知力テストでいっぱいだな。

サハリン:知力テストはミュウ様だけよね。

ミュウ:でも、知力テストは他の者に任せてあるから、私は今はオーディションの方をやっているよ。

ジアース:で、オーディションはどうだ?

サハリン:曲になっているのもあれば、つまらないのもあるわね。

ミュウ:あと、詩も自分(歌手)よりなんなんじゃないかなあ。

ジアース:確かに。ただ、詞は自分が聞いたとき、自分に言っているのかなあとか、自分の人生にあっているのかなあといった詞がいいよな。

ミュウ:確かに。

サハリン:でも、音楽の才能って実力の差がはっきり出るわね。

ジアース:音楽の才能はそれだけ特殊なんだよ。

ミュウ:でも、みんな頑張っているよね。

ジアース:そりゃそうだ。

 と、3人は朝食を摂って、3人とももち場へ行った。


 ジアースはザバンの元へいった。ザバンの部屋にはカイザーがいた。

カイザー:ジアース殿よく来られました。

ジアース:カイザー殿。何があったんです?

カイザー:それがですねザバン様は宗教指導者と対話するのですが、ザバン様は宗教指導者と対等に話せるのはこの国ではジアース殿しかないと申されていましてな。

ジアース:で、その対話はいつ?

カイザー:今日です。

ジアース:何時ですか?

カイザー:30分後

ジアース:場所は?

カイザー:客間で。

ジアース:しかし、事前に連絡がなかったのは?

カイザー:急に決まったのです。

ジアース:相手は?

カイザー:ラム教現宗教指導者ラムハーンです。

ジアース:わかりました。で、ザバン様は?


 と、ここでザバンが奥の部屋から来た。

ザバン:おお。ジアースよ。よく来た。ラムハーン殿が王宮に来るというのだ。急ですまないが、ジアースにも対話に加わってもらいたい。

ジアース:はい。わかりました。

カイザー:ザバン様はここ数日、宗教者との話しをしていまして、いろいろ思うことがおありなのです。

ザバン:カイザーよ。ラムハーン殿を客間ではなく、私の部屋へお連れできないか?

カイザー:わかりました。では、そのように。

 と、カイザーはラムハーンを呼びに行った。

ザバン:ジアースよ宗教についてはどう思う?

ジアース:私は宗教は納得のいく部分とそうでない部分があります。

ザバン:しかし、宗教もすてたものではないぞ。

ジアース:では、ラムハーン殿に会ってから答を出しましょう

 と、しばらくたってカイザーがラムハーンを連れてきた。


ザバン:おお。そなたがラムハーン殿ですか。

ラムハーン:あなたがローレンシア王国国王のザバン様ですか。下のものから聞きました。今、ローレンシア王国は宗教について聞きたいと。

ジアース:はい。宗教と我々の天の道理とどこまでが共通点でどこまでが真実で、また、宗教の力とはなんであろうかを考えています。

ザバン:さよう。こればかりは宗教者に聞くしかないと思った次第です。

ラムハーン:では、私の宗教はラム教といいまして、ラム教の考えを教えいたします。

カイザー:ラムハーン殿。立っているのもなんですのでお座りください。

 と、ラムハーンとザバン一同は椅子に座った。

ラムハーン:私が思うに。神とは愛の中に生まれると思っています。愛とは相手を思う心です。敵に対しても愛を説く心です。

ジアース:確かに。人類が相手を思う心があれば、世の中平和になりますな。

ラムハーン:ジアース殿はすぐ結論へ行かれますな。恐れ入ります。

ジアース:いえ、で、神の愛とは具体的にどういうものなんでしょう。

ラムハーン:愛を与えることで人の心を救うのと同時に自分も救うのです。思いやりの心、これこそが大事なのです。

ザバン:しかし、話が通じない相手にはどうするべきでしょう。

ラムハーン:難しい問題ですな。宗教は国の下のあって栄えてきています。しかし、カソンは国を飲み込む力があります。また、ケダイ殿には野心がありますが、話せばわからない人ではないと思っていますが。

ザバン:だが、シンの件では全く駄目であろう。

ラムハーン:貴国はシンを過大評価しすぎではありませんか?

ザバン:いえ、我々ローレンシア王国はシンはこの世界に必要なものと見ています。さらに、シンには、この国の重要なポストにつけました。シンの話には王国の者は皆聞いていて、皆、認めています。貴殿もシンの事を知りたいのなら、直接本人と話すべきと思います。

ラムハーン:確かに。では、今、会えますかな。

ザバン:そうですな。カイザーよ。シンを連れてきてくれ。

カイザー:わかりました。

 と、カイザーはシンの元へ行った。

ザバン:すいませんな。いきなり、シンと合わせる前にいろいろ話をしたかったものでして。

ラムハーン:左様で。で、愛ということについて語ってよろしいでしょうか。

ザバン:もちろん。

ラムハーン:愛は何故必要か。それは人は愛によって支えられるからです。人は愛なしでは生きていきません。人々は救いを求めているが、最終的に欲しいものは何か。それは愛なんです。愛が欲しいがゆえに相手を束縛する、これは権力者の考えです。しかし、愛は上のものも下のものも平等なのです。私は思います。愛があるものがゆえに人はついて行く。愛のないものへは誰もついてきません。人は皆孤独です。しかし、そんな時に支えになるのが愛なのです。

ジアース:ということはラムハーン殿は孤独なのでしょうか。

ラムハーン:痛いとこ突きますな。確かに孤独です。しかし、今、気づきましたが、ザバン殿とジアース殿は仲がいいようで。

ザバン:ああ、この国は本音を言います。それはお互いを思う心があるからです。また、相手のことを考えることは国づくりでも特に経済には必要な考えです。相手のことを考えるからこそ商売が成り立ち経済が発展する。相手のことを考えない者が孤独になるのです。

ラムハーン:おっしゃる通りです

ジアース:で、お聞きしたいのは、神の愛というのはどういうものなのでしょう。聞いていますと、神の愛とは人の愛という風に聞こえますが。

ラムハーン:おっしゃる通りです

ジアース:では、愛は神の心であるがゆえに貴殿の宗教はそれを実行しているのではないか?

ラムハーン:おっしゃる通りです。ジアース殿は、頭が良すぎます。なぜ、こんなに簡単に明快に答えるのでしょう。

ジアース:いえ、基本です。

 と、そこにカイザーがシンを連れてきた。


シン:私はシンです。ラムハーン殿。よろしくお願いします。

ラムハーン:こちらこそ。

ザバン:では、ラムハーン殿。シンに質問を投げかけてみてください。

ラムハーン:わかりました。シン殿は一体何がしたいのでしょうか?

シン:大企業計画です。

ラムハーン:それは誰のため?

シン:自分を含む全員のためです。

ラムハーン:具体的には?

シン:事業を行なうことで仕事をつくり、仕事を通して生きがいを作ったり、貧しい者には仕事を与えたり、会社のつながりで平和を守る。そういった感じです。ラム教の愛の精神と共通するものはあると思います。

ラムハーン:いや、シン殿。恐れ入りました。確かにシン殿の言われることは、愛から生まれてきていると思います。また、ローレンシア王国も愛でつながっていると私は思いました。見事です。

シン:いえ、まだ、具体的なことは話していませんが。

ラムハーン:いえ、それだけで十分わかります。

ザバン:だが、私はここ数日いろいろ宗教者と話しましたが、宗教者は純粋だな。

ラムハーン:おっしゃる通りで。

ザバン:純粋だけに指導者に騙されるところはありますか?

ラムハーン:それはどういうことで。

ジアース:カソンのことです。

ラムハーン:なるほど。全くないとは言い切れませんな。

ザバン:だが、貴国がカソンだったらシンは殺しますか?

ラムハーン:シン殿は愛の精神を持っています。また、人々の不幸に対し立ち向かおうとしています。そういう人を殺せるわけはありません。

ザバン:では、カソンは異常なのでしょか。

ラムハーン:どうも、貴国は宗教は全部同じと考えておいでですな。しかし、宗教は互いに中身は違います。

ジアース:ですが、基本は同じです。

ラムハーン:その基本とは。

ジアース:生きる事です。

ラムハーン:なるほど。

ジアース:だが、この世は絶望を感じている者、苦しんでいる者は大勢います。アローンでは自殺者が多いとか。

ラムハーン:アローンではラム教はそこそこ広まっています。が、どうやら、皆孤独のようですな。

ジアース:しかし、ラム教の人は神の愛というが、これは特別のものと考えるか、あって当然と考えるのでしょうか。

ラムハーン:難しい質問ですね。愛が強い者ほど生かされる、そう信じたいものです。

ジアース:では。シンはどうしてこえほどカソンに、ケダイに攻撃されたのでしょう。これをラム教ではどう考えますか?

ラムハーン:正直言いまして、カソンが理解不能です。また、愛の中には善も悪もありません。人は愛をかんじているからこそ、まともに生きられるのであって、愛ではなく攻撃を受ければ、生きる力はなくしましょう。

ジアース:ということは人を攻撃するというのはラム教の教えでは無いという事ですか?

ラムハーン:おっしゃる通りです。

ジアース:確かに。人への攻撃は命を汚します。ですが、自分が生きるためだとしたらどう思いますか?

ラムハーン:これはまた難しい。生きるためのものであれば、いいのかということですか。ただ、私は生ある者は愛を受ける機会があってもいいと思っています。

ジアース:これをカソンに当てはめるとどうなりますか?

ラムハーン:なるほど、今日はこの答を出さないと帰れませんな。

ジアース:世界も知っている通り、シンの大企業計画はこの世から不幸を亡くすといっても過言ではない。そんな考えを持つシンをなぜケダイは攻撃するのか。力関係から言えば、ライオンとアリの違いだ。

ラムハーン:確かに。今日までシンが生きてきたのは奇跡ですな。

ジアース:だが、シンは生きることを諦めたことは何度もあります。それでも、最終的に、自分で自分に言い聞かせてきたのです。自分はこの世に必要と。で、この世に必要とシンが思っているのは、自分のためではない。人類のため、世界のためである。それはラムハーン殿はどう考えますか?

ラムハーン:そうですか。それを聞いてシンが不憫だったという他はありません。ですが、貴国は助けた。それは貴国の愛の精神といってもいいでしょう。

ジアース:で、自分のための戦いは必要と思いますか?

ラムハーン:なるほど。自分というものをどこまで自分とするかですかな。

ジアース:なるほど。自分1人を自分とするか、自分とその周りの者も自分とするかということであれば、シンにとって自分は人類となっています。

ラムハーン:シン殿はそう考えているのですか?

シン:真に恐縮ですが、ジアース様の言うとおりです。

ラムハーン:なるほど。私は答えは今ではなく未来にあると思います。

ジアース:そういうことは未来を考えている者は、必要ということですな。

ラムハーン:そう言われてみればそうです。

ジアース:聞いた話では、カソンはシンを潰した後のプランは全くないようでした。しかし、この世は幸せの世の中とは程遠いです。結局、カソンやケダイは名誉が欲しかっただけで、人類のことは考えているようでも、手にしているのはカソンの利益ばっかで、人類は幸せになっていない。事実、カソンは言っていることとやっていることが違います。しかし、シンはこの星の状況を把握して、この星の未来のために何とか頑張ろうとしています。そのような者に対しての集団攻撃は考えられません。どう思いますか?

ラムハーン:貴国が言いたい事は、カソンの行動は人としての行動かどうかということですな。

ジアース:そうです。

ラムハーン:もし、仮に我々がカソンだとしたら、シンへの攻撃は絶対しません。

ジアース:でしょうな。で、シンは自分も生きなくてはならなかったのです。未来のために。この点はどう考えますか?

ラムハーン:確かに、愛は救いの道でありますが、生きていなければ神の愛は受けられません。シンかカソンかどっちが間違っているとしたらカソンかもしれません。

ザバン:なるほど。

ラムハーン:しかし、帰国はカソンとはどうしたいのですか?

ザバン:一番最良な状況は和解です。

ラムハーン:ですが、貴国は我々ラム教と考えが同じ部分があります。とても宗教がない国とは思えません。

ジアース:無いのは宗教団体で、宗教がなくても、天の道理という考え方がございます。

ラムハーン:で、その天の道理はまさしく宗教ではありませんか?

ジアース:我々が天の道理を宗教と呼ばないのは、祈る対象がない、本尊というものが無いからです。で、これは自分の中に存在すると思っています。

ラムハーン:なるほど。

ジアース:ラム教には祈る対象はあるようですが。

ラムハーン:はい。きちんと愛の神に祈っています。その神の名はアラナといいます。

ジアース:アラナですか。いい名前ですね。

ラムハーン:神としての名ですから。ですが、アラナじゃ人の形をした、神でした。

ジアース:なるほど。しかし、名前から想像するに、アラナは全ての人に希望を与える力を持っていたんですね。

ラムハーン:なぜ、ジアース殿は答えられるのですか?

ジアース:いえ、何となくです。

ラムハーン:いえ、ジアース殿は私が気がつかないことをたくさんお持ちで感服します。その通り。愛とは生きる力、すなわち希望、願望なんです。

ジアース:ですが、この世には夢も希望もないという人が大勢います。それは夢や希望を持つと、それを潰そうとする輩が出るからです。我が国では夢や希望を持つものは支えたいというのが信念です。

ラムハーン:そうでしょうな。その信念が無ければシンを助けないでしょうな。

ジアース:さらに、夢や希望を持つものを支えることは社会全体が活気付くのです。これは社会にとっても重要なことなんです。

ラムハーン:確かに。貴国の話には理がある。この理に対して我々宗教者は頭をひねって考えるのですが、ジアース殿はどこから答が出てくるのですか?

ジアース:基本から考えればそういうことになります。

ラムハーン:なるほど。しかし、非常にためになった話でした。が、正直、この国でラム教を広めようと思いましたが、この国はラム教の考えをすでに持っています。ただ・・・・・。いえ・・・・・・。

ザバン:では、今日はここでお互い切り上げますか。

ラムハーン:そうですね。

ザバン:では、ラムハーン殿。これから我が国をごゆっくり見学してください。そこのカイザーが案内します。

ラムハーン:わかりました。では、失礼します。

カイザー:では、ラムハーン殿。いきましょう。

 と、ラムハーンとカイザーは外へ行った。

ザバン:しかし、ジアースよ。さすがだ。おぬしがいなければラムハーン殿との話がまとまらない。だが、ジアースはどこからそのような考えが出てくるのだ?

ジアース:はい。自分で自分に1から分析して納得させたからです。

シン:ジアース様は凄いです。

ザバン:しかし、最後はラムハーン殿はこの国にラム教を広めたがっていたな。

ジアース:私の我が国の考えがラム教のものも含んでいたから何もいえなかったのでしょう。

ザバン:しかし、ジアースの対話術は他のものには真似ができないな。ジアースの話し方は回りくどくないし、わかりやすい。ジアースよ。今日はご苦労であった。シンもご苦労であった。下がってよいぞ。

ジアース:はい。

シン:わかりました。

 と、ジアースとシンは退出した。


移動中、ジアースはシンと話をしていた。

ジアース:シンよ。私はてっきり、シンはどんどん話すのではないかとおもったよ。

シン:でしゃばった真似はできません。

ジアース:なるほど。だが、私が言わなければシンが私の言うことを言っていたかもしれないことは、たくさんあると思うが。

シン:いえ。

ジアース:一ついえることは、この国で、宗教に対して答えられるものは私とシンだけかもしれない。

シン:ですが、この国では、今、宗教の解明をしているのは?

ジアース:そうだ。専門家を呼んでやっているが、まだまだだ。私が答えられるのは宗教を知っているのではなく道理を知っているからだ。

シン:そういう風にいわれるとそうですね。ですが、宗教は生きる力を与えるのには非常にいいものがあります。ジアース様の物の見方は、正しい分析によるもので、非常にすばらしいです。

ジアース:しかし、話してみるものだなあ。私はラム教は嫌いにはならないよ。

シン:私もラム教のことは知りませんでした。

ジアース:ザバン様がいろいろ直接宗教を通した対策を取られているようで安心した。シンよ。ザバン様は皆を信頼しておられる。また、みんなも助け合っていこうとしているので、国が成り立っているまた、ザバン様は人を見抜く力がおられる。ザバン様はあれでいいのだよ。ザバン様の王宮の支えになっているのだ。シンよ。わかるか。

シン:はい。

ジアース:できることなれば、ザバン様とシンが話し合うときがあればと思う。

シン:はい。

ジアース:では、シンよ。これから情報王企画部へ行き、確認をしたい。

 と、ここにザバンからのメールが入った。

ジアース:ザバン様か。めずらしいな。

シン:で、内容は?

ジアース:イムラ教の指導者と明日話すことになった

シン:イムラ教ですか。

ジアース:ああ、だが、特に対策は必要なしだ。

シン:でも、ジアース殿は何故宗教に詳しいのですか?

ジアース:地球で宗教を学んだんだよ。

シン:地球に宗教があるんですか?

ジアース:ああ、イスラム教、キリスト教、仏教というものが主である。ラム教も似たようなものだ。

シン:そうですか。

 と、2人は情報企画室へ行った。


ジアース:シンよ。人員募集の追加はしておいたぞ。

シン:では、明日当たり人が多く来そうですね。

ジアース:で、今は何人だ?

シン:40人です。

ジアース:そうか。昨日までにさらに追加になったか。

シン:はい。全体的に不足しています。

カレン:シン様。

シン:何だ?

カレン:IC5カ国の簡単なページを作ってみました。

シン:どれ。見せてくれ。

ジアース:シンよ。私にも見せてくれ。

 と、シンとジアースはIC5カ国の情報を見た。


 IC情報

  ベラカン

    総理大臣:ライト(男)

    副総理:レフタ(男)

    国務大臣:ライト(男)


   首都:ベラン


   観光地:ベラン城

      :イータン塔

      :モネイ広場

      :カラカン湖


   文化

    食事:肉―牛・豚・鳥・羊など。

      :飲み物―ワイン・ビール・スープ

      :野菜


    芸術

     ・ベラン彫刻

     ・ノルファーの曲


    技術

     ・車(ランツ社)

     ・携帯電話

     ・パソコン


    生活

    ・花・庭園


シン:なるほど。で、ベラカンに対しての主な項目はそうか。

カレン:はい。

シン:もう少し、整理して欲しい。で、私が求めているものは大まかなものではなく、もっと細かく、数多く、メジャーなものだけでなく、マイナーなものをたくさん入れて欲しい。他のIC4カ国もそんな感じであろう。できれば、全ての情報を入れたい。

カレン:わかりました。

ジアース:シンよ。大変そうだな。

シン:はい。カレンはどうやらメジャーなものを取り上げましたが、マイナーなものを入れてこそ、インタナショナルマーケットは完成します。

ジアース:本来なら、今、私がいなければ、シンはカレンと話し合っていただろう。私は邪魔みたいだな。

シン:いえ。共に考えていただければ嬉しいです。

 と、そこにキョウコがやってきた。


キョウコ:シン様。ラオウ国の情報を作りました。項目は以下の通りです。

シン:どれ、見せてくれ。

ジアース:私にも見せてくれ。


 ラオウ国情報(人事・観光)

 ・大統領:カルロス(男)

 ・副大統領:ハムウ(男)

 ・国務大臣:パンプ(男)

 ・外務大臣:キララ(女)

 ・産業大臣:インダス(男)

 ・治安大臣:ラバラ(男)

 ・防衛大臣:バトラー(男)

 ・交通大臣:ミニタ(男)


  首都:ニュータン

   観光

(ニュータン州)

    ・デモクラシーの創始者デモラの像

    ・アキラバスタジオ

  (ドライセン州)

    ・マネータワー

    ・ベガスビル

  (テキロン州)

    ・テキロ牧場

    ・スターランド

  (ミドル州)

    ・ミドル森林公園

    ・アパッチの崖

  (シズラー州)

    ・ネスコ湖

    ・ラハネ工場

  (メキタ州)

    ・メキタ動物公園

    ・ドバイ像

  (ヨウラン州)

    ・化学の町

    ・ロボット工場

  (ニュースラン州)

    ・ニュースラン公園

    ・カナデンドーム

    ・ララリパ山

  (デンロン州)

    ・デンロン医科大学

    ・デンロン薬学研究所

  (マハラ州)

    ・マハラ移民会館

    ・タール工場

  (ハイワ州)

    ・ハイワ自然水族館

    ・アロハ展望台

  (ココロン州)

    ・ココロン菓子工場

    ・ヤヤミ庭園

キョウコ:と、途中で切り上げたのですが、正直、ラオウ国の中で各州に担当、1人は必要です。

シン:なるほど。で、今、書いてあった名所以外の名所も数多くはできないのか?

キョウコ:きりが無いのでは?

シン:そうだなあ。後で人を増やすがゆえ、今、考えられるものは全部挙げてくれ。

ジアース:で、結構項目を挙げているだけでも時間がかっているように見えるが。

キョウコ:はい。ですが、情報は集めていますが、きりがありません。

シン:キョウコよ。まだ、数日しかたっていないぞ。だが、各州に担当1人以上は付ける。今は辛抱してくれ。

キョウコ:で、いつ人が来るんですか?

シン:明日には追加される。

キョウコ:わかりました。

シン:キョウコ。ちょっと待った。

キョウコ:はい?

シン:さっきの項目の名所に関しての情報はあるのだな。

キョウコ:さっきの項目の名所に関しての情報は集まりました。

シン:わかった。項目に挙げていないのは、まだ資料が完全でないということだな。

キョウコ:はい。

シン:わかった。では、続けてくれ。

ジアース:シンよ。苦戦しているな。

シン:いえ、キョウコは結構細かくやっています。今、キョウコが聞きたかったのは、ラオウ国の州に1人ずつ担当者が必要かどうかです。

ジアース:確かに。これでは人が足りないという意味もわかる。

シン:で、どこまで細かくやるかは言ってありますが、まずは皆情報集めで大変です。

ジアース:で、シンよ。いっきにやろうとしているから難しいのでは?

シン:そうですが、それをやります。

ジアース:で、シンよ。海外部が苦労しているのはどの部分だ?

シン:言葉です。各国の情報は各国の言葉で書いてあるからです。エメラル語でできている情報はメジャーなのしかありません。

ジアース:なるほど。

シン:しかし、エメラル星がエメラル語が世界共通語になってから、それほど年は経っていません。ここでエメラル語でのページを作れば、他国の先をいけると思います。

ジアース:なるほど。その様子では人が大勢いるな。

シン:はい。


ジアース:で、インターナショナルマーケットレベル1は歓喜祭前に行うと言うが、シンはハロン湾の建物でどのように展開するつもりだ?

シン:はい。まずは、世界各国の食品、雑貨、洋服、電化製品、本・雑誌を売ろうと思っています。

ジアース:だが、海外部がさっきやっていたのは各国情報ではないか。

シン:はい。この際、いっきにエメラル星の情報を集めようと思っています。

ジアース:うーん。・・・・・・。これは、すぐにレベル3へ行くシステムになっているようだが。

シン:その通りです。

ジアース:考えはわかった。シンの考えを実行するなら、もっと人が必要だな。

シン:はい。

 と、ジアースは情報企画部を出た。


次はミュウの所である。

ミュウ:ジアース。どうしたの?

ジアース:いまいち、シンがわからん。

ミュウ:どういうこと?

ジアース:シンの思っていることと、部下の考えていることに差がある。

ミュウ:でも、それは、しょうがないんじゃない?

ジアース:そうだな。で、ミュウよ。一緒に昼を食べに行かないか。

ミュウ:はい。

 と、ジアースはミュウは王国の食堂へ行った。そこにはミミとハルとキョウコがいた。

ミミ:あ、ジアース様。ミュウ様。こんにちは。

ジアース:おう。で、皆よ。シンはどうだ?

ミミ:凄く細かいですね。

ジアース:だが、キョウコとカレンのものは大まかだったぞ。

ハル:それは、カレンはジアース様の前で仕事をしているんだというアピールです。内容はジアース様は知らないと思っているのでしょう。

ジアース:なるほど。で、キョウコは?

キョウコ:私はジアース様に人が必要と言いたかったのです。

ジアース:なるほど。情報企画部もいろいろあるな。でも、キョウコよ。人が必要なのはシンもわかっているぞ。

キョウコ:でも、量が多すぎです。

ジアース:だが、時間は制限していないだろ。今の所は。

キョウコ:はい。確かに。

ジアース:キョウコよ。シンがキョウコにやらしているのは、おそらく先を見越してのことだ。それに、国内組のスタンスを固めなければ海外組へ取り掛かれない。かといって、海外組を遊ばすわけにもいかない。そういうことであろう。

ハル:ジアース様に言われると解る気がします。

ジアース:シンはあれでも不器用なところがある。それは、まだ、この国になじんでいないからだ。

ミミ:そうですね。シンはこの国に来たばかりですよね。

ジアース:ミミはシンの事がよくわかっているようだな。

ミミ:はい。私はシンが好きなんです。シンは私には打ち明けてくれます。ジアース様は、シンの気持ちを、ドンピシャに当てています。

ジアース:なるほど。

キョウコ:ですが、私は今の仕事は真剣ですよ。

ジアース:だから、シンはキョウコの力量を今のうちに測っているのであろう。

キョウコ:そうなんですか?

ハル:だけど、ジアース様の話を聞くとホッとします。

キョウコ:シン様もいろいろ考えているんですね。

ミュウ:でも、情報企画部は複雑になりそうね。

ジアース:いや、組織とはそういうものであろう。

ミミ:でも、国内のホテル情報、飲食店の情報、交通の情報は今日中に集まるのではないかと思います。

ジアース:ということは、国内組の速さはかなり速いペースなんだな。

ミミ:はい。で、ツアー企画を立ててから海外組と連携を取ります。

ジアース:なるほど。国内でのツアー企画を立ててから海外組に海外の旅行会社と交渉させるのだな。

ミミ:はい。これはシンが言っていたことです。

キョウコ:国内組ってそんなに早いの?

ミミ:ええ。そうよ。で、午後当たりに海外組にこれからの計画を話すって。

ジアース:そこには私も居たほうがいいのかもな。

ミミ:私も、そのように思います。

ミュウ:しかし、複雑よね。

 と、5人は昼食を食べ終わって、それぞれのところへ行った。


ジアースも情報企画部へ行った。

シン:では、海外部の5人、今集まりましたな。ジアース様も見学してください。

ジアース:ああ。

シン:今は、海外組はキョウコとカレンとマリモ、カール、モデムの5人だ。今日までやらせていたのは海外の情報を学んでもらってにすぎない。これからが海外組は本番である。まず、海外組がやることは、歓喜祭のために行うツアー企画を国内組が作ったのを海外組が海外の旅行会社と契約して欲しい。これが1つ。海外の旅行会社から、その国の情報を聞いて、その国の文化財を調べてもらうのが2つ。で、この文化財はインターナショナルマーケットのレベル1でハロン湾にて売買をする。これを考えてくれ。また、データは各自でしっかりとするように。以上。あと、細かいところは1人1人に話す。

ジアース:シンよ。要点を突いているではないか。正直、ホッとした。

シン:ですが、本当はもっと大きなものを目指していましたが、今はこんな感じでしょう。

ジアース:シンよ。話はまだ終わってないだろう。

シン:はい。では、個々に持ち場を説明する。カレンはIC、キョウコはラオウとレノン、カールはアムゾン大陸、マリモはペリー、カント、ショク、モデムはアルド、ワビサ、タロマ、ラシカ、シアーレ、ノース、アローンを当たってくれ。

海外組:わかりました。

シン:皆よ。明日には人員が加わる。皆担当は減るので安心して欲しい。これを踏まて、各自でいろいろ調べて欲しい。まずは、旅行会社を調べるのが先決だろう。そして、明日から契約に入ってもらう。よろしく頼む。

カール:わかりました。

キョウコ:はい。

シン:では、持ち場についてくれ。

 と、海外組は持ち場についた。

ジアース:ラガティスはどうした?

シン:それは明日加わった者にやらせます。今日はこれから面接があります。

ジアース:わかった。私は別のところへ行くよ。

 と、ジアースは情報企画部を出た。


次はグリスとの打ち合わせである。

ジアース:グリスよ。どうだ、進行具合は。

グリス:はい。次のカラジンはどういう企画でいくか考えています。

ジアース:簡単に○×クイズでいけばどうだ?

グリス:それでは何か面白くありません。

ジアース:じゃあ、立て札クイズか。これは無理があろう。

グリス:ならば・・・・・・。

ジアース:グリスよ。苦労しているな。

グリス:ジアース様の比ではありません。

ジアース:あとはばら蒔きクイズだな。

グリス:なるほど。ですが、何万人でやるのは無理かと。

ジアース:確かに。では、超難しい問題をネットで出すのはってゴンザルと同じだなあ。

グリス:お互いいい案がありませんね。

ジアース:だが、時間があるからクイズ本を売ってやろうか。

グリス:ですが・・・・・・。

ジアース:クイズ本は10月10日の午前5時にカラジンの全てのコンビニに配って売ってもらおう。数は30万部。で、その本に載ってある問題を全部正解したものが通過者。答えはメールで送ってもらう。時間は午後5時まで、コンビニで売る情報は一切流さない。だが、どうやったら情報が漏れないで、コンビニに人が並ばないように売るかだ。

グリス:で、問題数は?

ジアース:100問にするか。で、全問正解者が合格と、で、これは、何人合格してもO.K.にしよう。

グリス:100問では足らないのでは?

ジアース:超難問の計算問題をいこう。

グリス:こんどはテレビ解説なしですね。

ジアース:ああ、午前5時にテレビで流そう。

グリス:では、さっそく、CMを取りますか?

ジアース:ああ、アルスのところへ行く。

 と、ジアースはアルスのところへ行った。


アルスはテレビ局にいた。

アルス:ジアース様。お待ちしていりました。

ジアース:クイズのCMやるぞ。

アルス:はい。スタンバイをお願いします。

 と、ジアースはカラジンクイズ大会予選のCMを撮るスタンバイをした。

アルス:では、スタート。

ジアース:「ローレンシア王国のみなさん。今度のクイズ大会はカラジンです。心の準備はできていますか?カラジンのクイズ大会の内容は当日午前5時王国テレビで放送します。みなさん、午後5時です。どうぞお見逃し無く。」

アルス:カッート。

ジアース:どうだ。

アルス:そういうことですか。

ジアース:今回のクイズ大会は楽でいい。

アルス:ではお疲れ様です。

 と、ジアースはテレビ局を出た。夕方になり、自分の部屋に行った。


そこにはミュウがいた。

ジアース:ミュウ。どうだ?

ミュウ:うん。今のところ、順調。

ジアース:だけど、どうだ?オーディションの方は。

ミュウ:うん。いい曲があるよ。今、聞いてみる?

ジアース:ああ。

 と、ミュウが持ってきた曲を聞いた。

  「Way」

  深い暗闇    走ってる     光を探して   走ってる

  どこまでいけば いいのかな    どこかで何かが 叫んでる


  俺の道は    始まった     今日が駄目でも 明日がある

  だけど明日は  今が基本     未来のために  今がある


  夢へ向かって  まっしぐら    自分で見つけた 道だから

  何とか前へ   進んでく     自分に納得   できるまで

ミュウ:うん。1番だけきいたけど、どう?

ジアース:これは誰が歌ったの?っていうか、この声はシンか?

ミュウ:うん。シンも歌は好きなんだね。で、シンはどう?

ジアース:正直、少し心配だが。

ミュウ:まあ、今は夕食食べにいこうよ。

ジアース:ああ。

 と、ジアースとミュウは王宮の食堂へ行った。


食堂にはミミとハルがいた。

ジアース:ミミよ。シンはどうだ。

ミミ:はい。順調ですよ。

ハル:でも、海外組は大変そうですよ。

ジアース:で、今日中に、ホテル・飲食・交通の情報は集めたのか?

ミミ:はい。次は国内組はツアー企画に入ります。まずは歓喜祭用からです。

ジアース:なるほど。しかし、正直、ミミがいてよかった。

ミミ:そうですか?

ジアース:みんなの声を聞いて、シンと話しているのであろう。

ミミ:はい。ジアース様はお見通しですね。

ジアース:しかし、明日国内組で、ツアー企画を行なうということは海外組はまだ本格的には動けないなあ。

ミミ:ですので、明日は海外組はインターナショナルマーケットの文化財の情報集めです。

ジアース:なるほど。で、インターネット部はどうしているのだ?

ミミ:滅茶苦茶忙しいみたいですよ。歓喜祭のホームページを作っていますが、大忙しですよ。

ジアース:なるほど。だが、シンはいろいろ順序を考えて動いているな。少々安心した。

 と、4人は夕食を食べて終わり。ミミとハルは自分の部屋へ行き、ミュウとジアースはこの後は、主張大会の論文を見て寝た。








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