第40話 ローレンシア歓喜祭まであと66日(9月25日)

 ジアースは午前3時半に起きた。さっそくゴンザルテレビ局へ行き、打ち合わせが始まって、生放送が始まった。

ジアース:午後5時になりました。ローレンシア王国の皆様。おはようございます。問題は先程ネットで出題しました。今朝はゲストとしてガイ様とサハリンさんが来ています。おはようございます。

ガイ:おはよう。

サハリン:おはようございます。

ジアース:お二人とも眠たそうですね。

ガイ:当たり前だ。午前5時だ。だが悪くはない。

ジアース:ではサハリンは?

サハリン:私は今日は楽しむことにしています。

ジアース:で、これからクイズ問題を解説しながら放送するのですが、今はまだ早いですね。

ガイ:しかし、なんだ?前回のシャムルルでの第1問目は、あれは反則だぜ。

ジアース:まあ、それもありなんです。

サハリン:私も大勢の前で恥かきましたよ。

ジアース:まあ、半分以上の人が間違えたのですから、問題ないですよ。で、まずは、時間がありますので、歌を歌っていただけますか?

ガイ:そう来たか。

サハリン:でもまだ朝よ。

ジアース:では天気予報でもしましょうか。

ガイ:今日はゴンザルは晴れと聞いたぞ。

ジアース:以上。ガイ様の天気予報でした。

ガイ:おい。・・・・・・。

ジアース:では、第1問をいってみますか。

 第1問

 「時速60キロで30キロの山道を走りました。何秒間で走ったことになるでしょう。」

ガイ:これは非常に簡単なのではないか?

ジアース:答えは何秒間なので、2分の1時間や30分は間違え。1800秒間とならなければなりません。また、「間」を付け忘れても間違え。

ガイ:ずいぶん厳しいなあ。

ジアース:問題が簡単ですので。次は第2問。

 第2問

 「時計の針が180度になる時は1日に何回あるでしょうか。」

だが、これを解いてみます。まずは、時間を1周してみましょう。12時と1時の間に1回、1時と2時の間に1回、2時と3時の間に1回、3時と4時の間に1回、4時と5時の間に1回、6時ジャスト、7時と8時の間に1回、8時と9時の間に1回、9時と10時の間に1回、10時と11時の間に1回、11時と12時の間に1回、と、1周で計11回。そこで、答を11回と書いてはいけません。1周は12時間です。1日で何回ですので2周して22回が答えになります。

ガイ:なるほど。ひっかけ問題かあ。

サハリン:でも、なんかせこいよね。

ジアース:次は第3問。

 第3問。

 「配当金総額:100万G、発行済株式総数20万株の一株当たりの配当金は?」

これは、ひっかけ問題ではありません、純粋に100万÷20万で、5Gと答えてください。ひっかけがあるとすれば、配当金が5Gというのは安すぎるということです。」

ガイ:しかし、よく考えるなあ。

ジアース:次は第4問。

 第4問

 「3度のジャンケンをしても勝ちが1人に決まらない確率を求めよ。ただし、負けが1人で勝ちが2人のとき、その2人だけでジャンケンを続けるものとする」

 で、答えは、人数が、3→3→3→3、3→3→3→2、3→3→2→2、3→2→2→2のいずれかで、いずれも確率は3分の1×3分の1×3分の1で、27分の4が答えである。

サハリン:なるほど。

ジアース:次は第5問。

 第5問

 「1モルの水の重さは?小数点は切り捨てるものとする」

答えは1×2+16=18gが正解です。

ガイ:これは、化学の教科書開かないと駄目だなあ。

ジアース:いや、ガイ様。まだ、序路口ですよ。次は第6問。

 第6問

 「A型とO型の人が結婚しました。O型の子供が生まれる確率は?」

で、答えは、A型の人がAA型の場合は確実にA型。A型の人がAOの場合は2分の1で、計算すると4分の1.

サハリン:なるほど。

ガイ:しかし、ひねくれているなあ。

ジアース:次は第7問。

 第7問

 「円周率を小数点、第20位まで答えよ。」

 で、答えは、3,14159265358979323846。

サハリン:円周率を記憶している人は少ないわよね。

ジアース:では、第8問。

 第8問

 「利子年利率10%で銀行に100万G預けた時、3年後にはいくらになっているか。」

 で、答えは1年後は100万×10%=110万、2年後には、110×10%=121万G、3年後には、121×10%=133,1万Gで答えは133,1万G。間違っても100×10%×3とやらないように。

ガイ:なんか、ひっかけばっかだなあ。

ジアース:では、第9問。

 第9問

 「DNAの情報に基づきRNAが生成されたんぱく質ができる経路を何というか。」

 答えは「セントラルドグマ」です。

ガイ:ずいぶん専門的だなあ。

ジアース:次は第10問。

 「アミノ酸は3つの塩基配列の情報に基づいて作られています。では、アミノ酸を作るのにその3つの可能な塩基配列は何通りでしょう。」

 で、答えは61です。数学的にいえば64通りですが、そのうち3つの塩基配列がアミノ酸を生成しません。ですから答えは61通りです。

サハリン:ひねくれているわね。

ガイ:だが、科学者には必要な知識だ。

ジアース:次は第11問。・・・・・・っと、ここで情報が入りました。今、1番最初に採点されたのもがいました。・・・・・・。が、3問間違いで不合格。ちょっと気が早かったですね。

ガイ:いや、1番最初ということで目立ちたかったんじゃねーか。

サハリン:でも、あと3問は惜しいわね。

ジアース:だが、間違いは間違い。で、第11問に行きます。

 第11問

 「ローレンシア王国の過去の歴史で、ラガティスの100万の軍勢に戦って勝った時のローレンシア王国の軍勢は約何万人?」

 答えは3万人です。

ガイ:これは簡単だな。

サハリン:でも、この知識は歴史マニアしかわからないんじゃない。

 と、こんな感じで進んでいった。そして、全問正解者10人が昼まで集まった。

ジアース:では、正解者10人の紹介です。

 と、全問正解者10人の紹介を終えて、このクイズ大会の番組は終了した。

グリス:ジアース様。お疲れ様です。

ジアース:しかし、世の中には天才がいるもんだなあ。

グリス:でも、昼ごろには、ジアース様の解説は50問は超えていましたよ。

ジアース:まあ、そりゃそうだが。

グリス:後の方は大学のテスト問題と同じでしたが、学生には余裕だったかもしれません。

ジアース:で、今回の盛り上がりは?

グリス:テレビの視聴率は40%越えていました。

ジアース:ほう。成功といっていいな。

グリス:はい。

ジアース:で、次は10月10日か。時間はあるか。今度は違うパターンでいきたい。

グリス:はい。町ぐるみでいくのは駄目でしょうか。

ジアース:いや、無理というものだ。必ず情報が漏れる。

グリス:そうですか。・・・・・・。ただ、準備期間が長いから対策を取ればできると思います。

ジアース:町ぐるみというなら、町の立て札クイズにしようか。

グリス:いいですね。町の立て札に書いてあるクイズに答えるわけですね。

ジアース:ああ、全部の立て札を回って答えるというのは無理か?

グリス:どうしてですか?

ジアース:雨が降ったら駄目なのではないか?

グリス:そうですか。うーん。難しい。

ジアース:グリスよ。時間はある。しばらく考えていてくれ。

グリス:はい。わかりました。では、今日の全問正解者に本選の説明をしなければなりませんので。

ジアース:わかった。では。

 と、ジアースはカランの車で帰った。


王宮に着いたのは夕方頃であった。

ジアース:ミュウ。ただいま。

ミュウ:テレビ見たよ。難しい問題だったね。

ジアース:確かに。で、視聴率が40%越えたよ。

ミュウ:凄いじゃない。

ジアース:で、今日は情報企画部の面接はシンがやるって言ってたから、俺は今、何をしようか考えている。

ミュウ:論文を読んだら?

ジアース:そうだね。

 と、ジアースは主張大会の論文を読んだ。いろいろアイデアが入っていた。

 夕食の時間になった。ジアースとミュウは王宮の食堂に行った。そこにはノルワーがいた。

ジアース:ノルワー殿ではないか。

ノルワー:ジアースとミュウ様か。まずは礼が言いたい。

ジアース:サハリンのことか。

ノルワー:ああ、今日のガイ様の喜びようには、私も嬉しかった。

ジアース:そうか。ところで、ノルワー殿。インターナショナルマーケットの件だが、シンはインターナショナルマーケットのことも考えている。

ノルワー:わかっているが、今、歓喜祭があるから、インターナショナルマーケットで手が空いているのは私だけだ。

ジアース:だが、シンとは連携は取れているでしょう。

ノルワー:もちろんだ。各国の情報はシンが整理するといっていたが果たして・・・・・・。

ジアース:シンは歓喜祭のための海外部の者にはインターナショナルマーケットもやらせるようですぞ。

ノルワー:そうか。

ジアース:あらゆる文化財、技術という点で、まさにミニエメラル星といった感じになる。

ノルワー:だが、シンと話したが、このインターナショナルマーケットの規模はでかい。それを用意するまで時間がかかる。それまでミニインターナショナルマーケットをやる点をどうするかだが。

ジアース:それはハロン湾の建物を使うのでは?

ノルワー:ああ、ただ、その建物だけでことが足りるかどうかなんだが。

ジアース:それはどういうことで?

ノルワー:いろいろ商品だけを揃えても、莫大な数になる。ハロン湾のあの建物だけでは足りないということだ。

ジアース:そうか。だが、最初からいきなり大きな取引とはいかないから、ハロン湾を使うのではないか?

ノルワー:それがだな、1カ国の商品を扱うのに、どれだけの広い建物を使うかわかるか。

ジアース:だから、段階的に進めるのではないか。

ノルワー:そうか。すまん。私は頭が整理されていないようだ。

ジアース:あと、インターナショナルマーケットをきっかけに、我が国へは移民が多く来るかもしれません。

ノルワー:だが、他国の移民はたいてい宗教をやっていると聞くが。

ジアース:そう。だが、宗教は経済に生かそうと思えば生かせなくない。

ノルワー:だが、教育には悪影響ではないか?

ジアース:そこを、宗教について我々政府はあらかじめ明らかにしておかねばならない。

ノルワー:大変な作業だ。宗教者ですら、自分の宗教がわかっていないのだぞ。

ジアース:それは、宗教者は外から自分を客観的に見れないからです。まず、自分の宗教が正しいと、信じ込まされる。だが、宗教者ほど世界を知るべきだと思う。

ノルワー:確かに、宗教者は自らの価値観と世界と比較して吟味することが必要だ。

ジアース:その通り。ただ、宗教が生きるためのものであるならば、カソンがシンにやっていることは間違いだ。生きているからこそ幸せにならなければその宗教は嘘だ。

ノルワー:そうだな。ただ、宗教は指導者は信者に信じ込ませることができる。だから信者を騙すこともできる。

ジアース:そこなんだ。宗教にはそういうところがあるから嫌いなんだ。

ノルワー:しかし、我々から見たら、宗教は謎ですな。

ジアース:もともと思い込みが強くなったのが宗教なのでしょうな。

ノルワー:ただ、宗教をやると願いが叶うというのはどう思う?

ジアース:それは宗教でなくても、強い意志は未来を開く力があるからだ。強い意志と思い込みは似ていると思う。

ミュウ:ノルワーもしっかりやっているね。

ノルワー:それはそうですよ。インターナショナルマーケットは外国のものを扱う。外国の文化には宗教が絡んでいる。宗教を知らずして外国のものは扱えない。

ジアース:だが、宗教が天の道理にそっていれば、私はその宗教は認めるが。

ノルワー:そう。我が国の天の道理は一つのルールみたいなものだ。その基本は生きることから始まり、生きるための考えが法律に反映するべきと思う。

ミュウ:なるほどね。

ジアース:だから、特定の宗教が保護される法律はありえないということも言える。

ノルワー:カソンのことか。

ジアース:そういうことだ。

ミュウ:なるほど。

ジアース:で、宗教の怖い所は宗教が法律を超えることだ。法はあくまでも平等でなくてはならない。

ミュウ:人は生まれながら平等ではないよ。

ジアース:だが、権利は平等であるべきだ。

ノルワー:なるほど。しかし、宗教は使い方によれば良くもなり悪くもなるからな。

ジアース:その通り。ただ、良くなることは大いに歓迎ではある。

ノルワー:ユートピアか。ジアースはユートピアとはなんだと思うか?

ジアース:みんなが幸せに生きられる世の中だ。また、自由と平等と愛で包まれた世界が最高であると思う。人間である限りは。

ノルワー:全くだ。

ミュウ:でも、人を落とす宗教は考えられないよね。

ジアース:確かに。

ノルワー:だが、人生ってなんだろうな。

ジアース:私は、自分の役割を全うすることと思う。人の役割とはいかに多くのものを大事にすることと思う。

ノルワー:宗教では、そういうことは説いていないのか?

ジアース:ただ、私としては、宗教はあくまで他人が作ったもの。私は自分は自分で作り上げるものだと思う。まずは言われていることが本当かどうか見極める力が必要と思う。で、その見極める力は最初は真実を受け入れることからはじまると思う。

ノルワー:それは人生経験を積み上げるしかないな。

ジアース:ただ、自分の経験から、因果の法則を理解するところから始まると思う。因果の法則とはプロセスのことだからだ。

ノルワー:しかし、ジアースよ。考えが非常に整理されているな。

ジアース:私は、そう考えた方が納得がいくからだ。

ノルワー:しかし、ジアースは相手を正論で納得させる。しかし、その正論はどこで身につけたのだ?

ジアース:さあ、自然に身についたんですが。

ノルワー:しかし、ジアースの宗教に対しての考え方は、ローレンシア王国のものとは思えないな。

ジアース:ところで、ご飯は終わったな。ノルワー殿はこれからの予定は?

ノルワー:いや、特にない。ジアースとミュウ様は?

ミュウ:私もないよ。

ジアース:私もない。

ノルワー:では、このまま話を進めるか。

ジアース:ああ。

ノルワー:で、ジアースはシンの大企業計画はどう思う?

ジアース:非常に効率的で合理的と思う。

ノルワー:本当だ。カソンが真似しようとしてもできないと私は見ている。

ジアース:まあ、ケダイ自体の考えが外から吸収したものだかなあ。

ノルワー:そして、カソン自体は中身がない。もし、仮に、シンがカソンほどの組織と財力があれば、簡単に大企業計画ができたでしょうな。

ジアース:その代わりに、我が国でやらせるのは正解でしょう。

ノルワー:しかし、シンは自分の大企業計画は国営会社としてやりたいと言っている。欲がないな。

ジアース:しかし、シンは、この歓喜祭を使って独自の組織を持つのではないのか?

ノルワー:だが、大企業計画を行なうには、自分の手足がなければできないであろう。

ジアース:あるものは何でも使う。シンのポリシーの中にあったな。

ノルワー:ただ、シンは言ってたが、この国は本当にいいようだな。

ジアース:確かに。人を潰すのではなく生かすのがローレンシア王国だから。

ノルワー:しかも、ローレンシア王国は実力主義だからな。だから下手なゴマすりは不要なのだ。

ジアース:ただ、認めるとことは、素直に認める、それがローレンシア王国のスタンスでもある。

ミュウ:で、インターナショナルマーケットはうまくいきそう?

ジアース:それは、まだ期限はないから、いくらでも熟慮できる。まずは歓喜祭だ。

ノルワー:だが、シンは歓喜祭前にミニインターナショナルマーケットをやるべきと言っている。

ジアース:なるほど、では、インターナショナルマーケットをレベルを3つに分けて、レベル1が簡単な文化財の売買、レベル2が各国の主な製品の販売、レベル3が各国別で各国も者を最大限に取り入れてやるという感じがいいかも。

ノルワー:なるほど。で、レベル1が歓喜祭前に完成と。

ジアース:そういうことになる。

ノルワー:なんかインターナショナルマーケットが見えてきた感じだ。

ミュウ:そう。いきなりドカンとはしないで段階的にやるのはいい考えね。

ジアース:では、今日の話はこれぐらいにするか。

ノルワー:そうだな。ジアースらは論文がたくさんあるだろ。私にも見せてくれ。

ジアース:もちろん。O.K.だ。

 と、3人は一度ミュウの部屋に行った。そこでミュウとジアースとノルワーは論文を読んで、キリがいいところでノルワーは帰り、ジアースとミュウも寝た。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る