第28話 ローレンシア王国の外交1(歓喜祭まで78日:9月13日)ラオウ国、レノン国との対話
ザバン・ジアース・ガイ・テルルの4名を乗せた政府専用機はラオウ国のプレジデントハウスの庭に着陸した。
プレジデントハウスにはその重臣らが庭でザバンたちを迎えた。
カルロス:ローレンシア王国の皆さんよく来て下さった。
カルロスはラオウ国の大統領である。
ザバン:ラオウ国の迅速な対応に感謝します。
カルロス:では、早速対話と行きましょう。
カルロスは重臣らと共にザバンたちを招き、迎賓館へ連れて行った。ラオウ国側とローレンシア王国側は4人づつで対話が始まった。
カルロス::では、我々の自己紹介を始める。私が大統領のカルロス。
はムウ:私が副大統領のハムウ。
キララ:私は外務大臣のキララ。
パンプ:私は国務大臣のパンプ。
ザバン:私はローレンシア王国の国王ザバン。
ガイ:俺はその王子ガイ。
ジアース:私は副国務大臣のジアース。
テルル:私は外務大臣のテルル。
と自己紹介が終わり、早速話が始まった。
カルロス:で、今回の話はシンについてですな。
ザバン:その通り。我々は誤解を解きに来ました。
ハムウ:国王自ら来たというのはシンは最重要人物なんですな。
ジアース:その通りです。シンを守るためです。シンの才能と器量は飛び抜けています。
カルロス:で、貴国からの文章を見たが、確かにシンの家は盗聴盗撮されている。ケダイはいつでもシンの物を盗むことができる環境にある。
ザバン:貴国は真実を重んじる国と見込んで一番最初に来ました。また、貴国の情報収集力、分析能力も確かなものだと思っている。我々の意見はどう受けていますか?
カルロス:シンはまだ若い。だが、その歳でケダイ殿を越えているとすれば、死なすのはもったいないですな。
ザバン:我々、ローレンシア王国の重臣はシンと対話しました。シンの今までの結果は、シンにとってはまだ才能の一部に過ぎない。
パンプ:ということは、シンの能力は平和だけではないと。
ジアース:はい。経済、経営、科学に対する能力も未知数です。シンには底が無い。
ハムウ:シンとはそれ程の者なのですか。
テルル:シンが生きればこの世界中の人々が救われるでしょう。
ガイ:また、シンにはこの先10年、20年のビジョンがあるが、ケダイには無い。また、カソンには経済という考えが無い。その点貴国はどう思いますか?
カルロス:確かにシンは使える者だが、貴国はシンかカソンかどちらかを選べといっているのか。
ザバン:私としてはカソンの組織力は巨大だが、それだけ巨大であるにも関わらず。これからのやるべき事が無いといっているのではとても受け入れることだできない。
パンプ:なるほど。貴国はシンを選んだんですな。
ジアース:これは仮ですが、もし、シンがカソンと同じ組織を持っていたちしたら、3年で世界中の人々が救われているでしょう。仮にケダイがシンを取り入れたらカソンの繁栄は今の100倍でしょう。
ハムウ:貴国はえらくシンを買っておいでですな。
ザバン:そうだ。我々としてはカソンを潰せとまでは言いません。シンを国際社会に受け入れてほしいのだ。
カルロス:だが、一つ聞きたいが、帰国は宗教が無いのはわかるが、宗教を非難しているのか?
ジアース:いえ。宗教も人生に役立つものがありますので否定はしません。ただ、我が国は宗教と似た考えがあります。無いのは宗教団体です。
キララ:なるほど。宗教の考えはあるが、宗教団体は無い。ということですね。
カルロス:では、そのように言う根拠を申して欲しい。
ジアース:はい。我が国には宗教はありません。しかし、「天」という存在は認めています。例として、小説を使います。小説の中にいる者の人生は作家によって決まります。つまり、小説の中にいる者の人生は作者によって決まります。つまり、小説の中にいる者にとって作者は天です。
もしですが、我々の世界も小説の中であるとすれば、我々を創っている「天」が存在するのではないかということです。
ハムウ:なるほど。それは面白い考えですな。
パンプ:では、その「天」はこの世界に何をもたらしているのか説明できますか?
ジアース:天の道理ならば話します。
ハムウ:ならば申してみて下さい。
ジアース:天の道理とは存在するもの全てに意味があります。また、経験というのは天に帰るための修行と考えます。この世で大切なことは、いかに大事なものを大事にしたか、いかに良い行いをしてきたかで、その人の価値が決まります。大事なのは自分の役割を見つけ、役割に徹することです。また、その役割とは、いかに命を大事にするかという事です。無駄な命はこの世には何一つないのです。ですから、我々の国には死刑がありません。たとえどんなに難しい状況でも最終的には必ず解決させる、それが我が国の基本です。
カルロス:なるほど。貴国の考えはよくわかった。我々とはスタンスは違うが、自己の主張を持っている。我が国はそういう意味を持ったものは歓迎する。
ハムウ:しかし、なぜ、貴国は最初に我が国を訪れたのですか?
ザバン:ラオウ国は多民族国家であり、他宗教国家でもあります。その多くの宗教を束ねている政府なら我々の考えは伝わるのではないかと思った次第です。
カルロス:なるほど。我々政府の宗教に対するものに考え方がローレンシア王国と似ているということですな。
ザバン:そうです。
キララ:似ている点はどこということですか?
ザバン:宗教は政治に関与すべきではない。
カルロス:ザバン殿の言うことはわかるが、私も宗教者です。
ジアース:ザバン様が言いたいことは、宗教者が政治家になると、自分の宗教のための政治になるため不平等や不正が生じるということです。
パンプ:ジアース殿の言うことは最もです。だが、「天」というものを考えている貴国ならば宗教に対してどう望むのでしょうか。
ジアース:我が国ローレンシア王国は宗教には法人格を与えません。ただ、思想は自由ですので仮に国民が宗教をやってとしても罰則はありません。
パンプ:なるほど。ローレンシア王国にとっては宗教は思想の一部とお考えのようですね。
カルロス:貴国の宗教観はよくわかった。どうやら貴国は宗教に対しても科学的に考えたいのですな。
ザバン:全くその通りです。
カルロス:わかった。ローレンシア王国に理解をしめそう。宗教が科学的にどう解くかも知りたい。
キララ:しかし、ザバン殿。カソンのケダイ殿とはどういう風な関係にしたいのでしょうか。
ザバン:正直、頭を痛めております。私はカソンがなぜ、シン1人に対し、ここまで攻撃するのかということに関し、カソンの経典を調べても答えは出ない気がします。というか、詳しく経典を調べると逆にケダイが経典を自分の都合のいいように解釈している気がします。
カルロス:ザバン殿はカソンについて詳しいのですか。
ジアース:詳しいものがローレンシア王国にいただけです。
ハムウ:なるほど。だが、結局、今後はどうするつもりですか。
ザバン:まず、我が国が世界中を敵に回したとすれば、対話で誤解を解こうと思っています。
パンプ:なるほど。では、カソンに対しては和解するつもりですか
ザバン:そうですが、もちろん対等な立場での和解です。貴国を訪れた理由は、貴国は世界のリーダー的位置にいるからです。
カルロス:なるほど。
ジアース:あと、話はまだあります。我々は歓喜祭というものを計画しています。人々が智・力・美を楽しもうというわけです。
カルロス:ほう。
ジアース:また、このイベントは経済再生のきっかけにしたいと思っています。
ハムウ:なるほど。
ジアース:また、歓喜祭の他にインターナショナルマーケットというものを企画しています。インターナショナルマーケットは世界中の文化を集結させるのが狙いです。
カルロス:で、我々に求めるものは?
ジアース:歓喜祭に関しては貴国にぜひ遊びに来ていただきたいのと、インターナショナルマーケットに関しては、まず貴国の文化を教えていただきたい。
キララ:それは、いいですね。
カルロス:わかりました。貴国の対話術は回りくどくなく、要点を簡潔に話される。実に気持ちがいいです。機会がありましたら、ゆっくり貴国と話したいですな。
ザバン:ありがとうございます。
カルロス:わかった。我々は貴国のために手を貸そう。
ザバン:ありがとうございます。来たかいがあるというものです。
カルロス:カソンに関してはできるだけ手を打ちましょう。対等の立場での和解。そういうことであれば、我々は貴国のためにできることだけのことはしよう。
ジアース:では、本日は時間がありませんので、歓喜祭とインターナショナルマーケットの資料を渡します。
カルロスはジアースから資料を受け取った。
カルロス:わかりました。この資料は必ず目を通しておきましょう。今日はもう時間がないが実に有意義でありました。また、お会いしましょう。
と、ラオウ国との対談は終わった。
ザバン一行は次の目的地へ向かった。次はレノン国である。レノン国はラオウ国と冷戦状態にある国であった。ザバン一行はレノン国の総理大臣官邸の庭に飛行機で行き、レノン国との会談が行なわれた。
ブルベン:私がレノン国総理大臣のブルベンです。
サーチャ:私は副総理のサーチャです。
フータ:私は文部大臣のフータです。
ラルシェ:私は外務大臣のラルシェです。
ザバン:私はローレンシア王国の国王ザバンです。
ガイ:俺は王子のガイ。
ジアース:私は副国務大臣のジアースです。
テルル:私は外務大臣のテルルです。
両者あいさつが終わり、会談が始まった。
ザバン:我々が貴国を訪れたのは他でもない。カソンのことであります。
ブルベン:事情は書面で把握しました。貴国はシンを擁護しているようだが、シンはそれほどの男なのでしょうか。
サーチャ:シンは並大抵ではないのはわかっていますが、貴国の考えはどうでしょうか。
ザバン:シンはとても深い男です。また、分析力、観察力、発想力も我々を超えています。
フータ:そうなんですか。私は一度シンと話をしてみたいとも思っています。
ガイ:そうなんです。シンは野望はなく、人々を幸せを最優先する男です。そのような男の人生をここで終わらせるにはいかないのです。
サーチャ:なるほど。もしそうだとすれば、カソンの行動は理解できませんな。
ジアース:しかしながら、我々は解決の方法がないかを探っています。
ブルベン:で、その解決方法として各国を回ることですか。
ザバン:ブルベン殿はさすがですな。
サーチャ:しかし、ローレンシア王国は思い切ったことをしますな。まだ、国ができてからわずかしか経っていないのに。
フータ:だが、ここ3年の期間にローレンシア王国は神業に近い急成長を成し遂げている。これはどういうことでしょうか。
ザバン:それは、そこにいるジアースの才能です。
ラルシェ:ジアース殿ですか。
ブルベン:しかし、帰国は今回の訪問はカソン対策に対してだが、何をお望みか?
ザバン:まずは我が国への理解と、この問題の解決への協力です。
サーチャ:それに関わるものは?
ジアース:経営による経済復興です。
ラルシェ:それはどういう意味でしょう。
ジアース:簡単に言えば、貿易・観光などの分野の事業により、貴国の経済力をアップさせることです。
ブルベン:では、その具体的なものは何ですか?
ジアース:1つは歓喜祭というイベントです。もう1つはインターナショナルマーケットというものです。詳細はこの資料をご覧下さい。
ブルベンら、レノン国は資料をざっと見た。
ブルベン:なるほど。これは面白そうですな。
フータ:しかし、貴国はどこからこのようなアイデアが出てくるのでしょうか。
ジアース:いえ、あるものを有効に使っているだけです。
ブルベン:まあ、確かにそうですが、この目録をざっと見るだけでも驚きです。しかも内容も細かい。
ザバン:で、貴国の協力を得たいと思っている次第ですが。
フータ:総理大臣。私はローレンシア王国を助けるべきだと思います。
サーチャ:しかし、カソンとの関わりはどうしますか。
ガイ:俺的に言わせていただければ、解決で丸く治めたい。
ブルベン:確かに。ザバン殿。ちょっと我々4人で話し合いたいが、席を少々はずしてもよろしいですかな。
ザバン:どうぞ。では我々は休憩室への案内をしていただけますか?
ブルベン:わかりました。
レノン国の4人は相談をしだした。
ブルベン:サーチャ、フータ、ラルシェ。ローレンシア王国をどう思う。
サーチャ:可能性が大きい国ですね。
ラルシェ:ですが、カソンを無視はできないですね。
フータ:しかし、カソンには経済の考えが全くない。
ブルベン:確かに、カソンと組んでも実際の経済的利益は少ない。
サーチャ:カソンは賄賂を使うが、実際に経営術があるのかと思えば、全然ないのでローレンシア王国を支えるのもいいのでは。
ラルシェ:確かに。ローレンシア王国は自力で経済が再生している。しかも、技術が最先端。どこから知識を得たのかは知りませんが、ここ3年のローレンシア王国の急成長は我が国の経済の発展につながるかもしれません。
ブルベン:だが、カソンの権力は絶大だぞ。
フータ:ここは様子を見ては。
サーチャ:私が思うに、ローレンシア王国との交渉は我が国に利益があります。しかし、カソンの思考は平和・文化・教育は大いに結構ですが、実際の生活に関しては経済がものをいいます。宗教団体なだけに経済に関しては話になりません。
ラルシェ:ここはローレンシア王国と組んでみては。
フータ:ではカソンはどうなります?
ブルベン:カソンに対しては表面上でつきあえばいい。ローレンシア王国はカソンを越えている。しかも、シンを取り入れた。だが、ローレンシア王国は軍縮をしている。ローレンシア王国は平和的な国だ。ローレンシア王国との和をキープしよう。では会談に戻ろう。
一方、ローレンシア王国側も相談を始めていた。
ザバン:レノン国はどうでると思う?
ジアース:レノン国は哲学・思想よりも実生活が物を言う国です。今回に関しての提案は必ず受け取ってもらえると思います。
ガイ:しかし、ジアースがここまで頭がいいとは思わなかった。俺にはついていけない。
テルル:私もですよ。ですが、このレノン国は我が国と似ていることは国益と私欲のどちらを優先するかといえば、国益を優先する国です。ジアース殿が言われる通り、事が運ぶと思います。
ザバン:ではなぜ、この国がカソンと関わりが深いのだ?
テルル:それは、カソンのケダイの言っている文化の復興をレノン国は夢見たからです。しかし、では、具体的に何をどのように復興するかという具体的なものはカソンにはありませんでした。
ジアース:ということは、レノン国は文化の復興という点から話を展開していけばいいと。
テルル:私もそのように思います。
ザバン:なるほど。シンの言っていた通りだな。だてにシンがケダイの学校に行っていたわけではないな。しかも、シンは文化の復興に対する具体的なものを示している。
ガイ:文化と経済をつなげればこの対話はうまくいくのでは。
ジアース:しかし、この国は文化と国益を考えているが、新しい方向も考えるべきです。技術開発などです。
ザバン:その通りだな。技術開発の点からも今回の対話に入れるか。
ガイ:で、父上。結局どういう方向性に行くのでしょう。
ザバン:そうだな。まずは文化と経済がつながっているインターナショナルマーケットを前面に出すのと、さらなる技術への挑戦を行なおう。
と、ローレンシア王国側も考えをまとめて、再度対話に臨んだ。
ブルベン:ザバン殿。話はまとまりましたかな。
ザバン:はい。ブルベン殿は?
フータ:もちろんです。
サーチャ:我々はローレンシア王国を認めていますがケダイ殿も認めています。
ジアース:では、両方認めていただいても結構です。
ラルシェ:しかし、ジアース殿。シンとケダイ殿の中立は世界的に難しいと言われています。
ガイ:しかし、ケダイがシンを受け入れれば解決です。
ブルベン:確かにその通りですな。ガイ殿のおっしゃる通りです。
ザバン:まあ、とにかく、我が国ローレンシア王国のことを考えていただけるだけでも来たかいがありました。
ブルベン:そう言っていただけると我々も気持ちがすっきりします。
ジアース:で、ブルベン殿。我々はインターナショナルマーケットというものを考えています。
ブルベン:歓喜祭はどうしたんです。
ジアース:歓喜祭はもちろん実行しています。歓喜祭では我々の国のことをわかっていただくのが狙いです。で、インターナショナルマーケットは、各国の文化、科学、思想といったものを我が国に集結させようと思っています。
サーチャ:なるほど。貴国は我が国が文化大国ということに目をつけましたな。
ザバン:いや、そういうわけではありませんが。
フータ:いや、結構、結構。
ジアース:インターナショナルマーケットを行なえば、各国の経済も上がると思います。
ブルベン:貴国は世界中の利益を考えているんですか?
ジアース:そうです。
ラルシェ:貴国の資料によると、文化・科学・技術・教育・平和・社会と全分野における全体の知の向上と生活の向上を目指しておられるように見えますが。
ザバン:ラルシェ殿。そのご賢察恐れ入ります。
ブルベン;我が国は貴国の理念が経済と深く関わっていることに感銘を受けました。細かい点は両国の外務省を通じて綿密に連携をとっていきましょう。
ジアース:では、今回の会談での申すべきことは申しました。時間が余っていますので雑談でもしましょうか?
と、レノン国とローレンシア王国の両国は雑談をし、今日はレノン国の国宝級のホテルで泊まることになった。ホテルでザバンら4人は話し合った。
ザバン:皆よ。今日は思ったよりうまくいったな。
ガイ:しかし、シンからの情報がなければここまでうまくはいかなかったでしょう。
テルル:しかし、ジアース殿はレノン国とラオウ国の関係はどう思います?
ジアース:両国の誤解であろう。互いの文化の違いといわざるを得ない。しかし、我々は人間である限り、共通点はあるはずだ。共通点を互いに見つけ、そこから和を結ぶのが、国と国、宗教と宗教、の中で大事なのではないかと思う。
ザバン:しかし、ジアースの交渉術は見事だ。私だけでは到底あそこまで臨機応変にはいかない。
ガイ:俺もそう思った。
テルル:ガイ様。やけに素直ですね。
ジアース:ザバン様。今日はこれぐらいにして眠りにつきましょう。
と、ザバン一行は眠りについた。
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