第22話 ローレンシア歓喜祭8(あと84日)歓喜祭の打ちあわせ

 朝を迎えた。ジアースとミュウとサハリンは朝、中庭で体操をしていた。

サハリン:昨夜はミュウ様もジアースも満足した?

ミュウ:何のこと?

サハリン:ミュウ様。隠さなくていいですよ。

ジアース:もしかしてバレバレ?まあ、それは置いといて、今日の動きのことだが・・・。

サハリン:ジアース。逃げる気?でも、許してあげる。

ジアース:・・・・・・。まあ、今日の予定だが、全体会議は無しで、個々に動きをとってもらう。そして、できるだけ早くパンフレットを作るため、今日中にみんなそれぞれの企画を完成してもらうってことだ。連係は、俺はテレビ電話でとる。どう思う。今日に関して。

ミュウ:そうね。私のところは後は発表会についてだね。

サハリン:ミュウ様。テーマは何?

ミュウ:うーん。私はルーネ講堂で行おうと思っているんだけど、1つのテーマで7日間行うのも変だから自由にしようと思うけど・・・、何かしっくりと来ない。

ジアース:俺は、テーマが会ったほうがいいと思う。例えば、1日目はローレンシア王国の生活について。2日目は大事な者について、とかってテーマを決めるのはどうだ?

ミュウ:1日で1つのテーマは時間的にみんなあくびをしそうね。1時間で1つのテーマにすると、朝10時から6時まですると、8時間だから56個のテーマが必要になる。うーん。頭が痛いよ。これを今日決めるの?

ジアース:わかった。今日はミュウのそばにいて一緒に考えよう。他の者とはテレビ電話で連係すればいい。

サハリン:ジアースって結局はミュウ様優先?

ジアース:サハリン。誤解しないでくれ。展示会と博覧会もクイズ大会も今日が最終打ち合わせになる。コンサートについてはもう決まっている。マジックショーも決まるだろう。遊園地や名所めぐりは個々に任せればいい。何か意見ある?

サハリン:なるほどね。じゃあ、ジアースは今日は発表会と展示会と博覧会もクイズ大会についての最終打ち合わせね。

ジアース:そうだ。理解した?

サハリン:で、ジアース。コンサートもマジックショーも終わっているから私、何すればいい?

ジアース:マジックショーっていつ終わったの?

サハリン:昨日。

ジアース:出場者は?

サハリン:ナポリタン、マジック工場、ミカ、チューリップなどで、一人1時間ぐらいで1日4時間行うから28人選出したのよ。

ジアース:じゃあ、サハリンも一緒にいてくれ。

ミュウ:サハリンも賢いね。

サハリン:ミュウ様には負けませんよ。

 と、3人は発表会の打ち合わせを行った。結果は以下の通り。

1日目 幸福について

2日目 愛について

3日目 人類問題について

4日目 ローレンシア王国への意見

5日目 倫理について

6日目 技術について

7日目 人間主義について

ジアース:こんなとこだなあ。

ミュウ:あっという間に決まったね。

サハリン:ジアース。頭良過ぎ。

ミュウ:私、思うけど、時間ごとのテーマは決めなくてもいいんじゃない?

ジアース:ミュウがそう思うんならそれでいいんじゃないかい。

ミュウ:じゃあ、発表会は決定。30分で終わったね。

サハリン:私、今回の歓喜祭で何か足りない者があると思っているの。

ジアース:何?

サハリン:お笑いについての行事が無いこと。

ジアース:それはテレビでいつもやっているから特別やることは無いと思っている。

サハリン:そうね。

ジアース:じゃあ、博覧会についてアンプと話そう。


 ジアースたちはテレビ電話のところへ行ってアンプとの話を始めた。

アンプ:おはようございます。ミュウ様、ジアース様。サハリンさん。

ジアース:おはよう。今日のテレビ電話は博覧会についてだ。

アンプ:はい。博覧会については、バイオとロボットについて行う形で進めていますが問題は無いですよね。

ジアース:なるほど。私は問題ないと思う。じゃあ、博覧会についてはO.K.だね

アンプ:では私は自分の仕事を進めます。

ジアース:わかった。何かあったら連絡してくれ。


 次はグリスとテレビ電話で話し合いが始まった。

ジアース:グリスよ。クイズ大会についての最終打ち合わせだが、今回は国民的規模でやりたいと思うがどう思う。

グリス:私もそのつもりで計画を進めてきました。

ジアース:予選をそろそろ始めてはどうか。

グリス:そうですね。明日、アルスにテレビで宣伝するように伝えておきます。

ジアース:締め切りは1週間後だな。

グリス:そうですね。

ジアース:で、大筋の流れはどうだ?

グリス:予選はペーパーテストで、本線は歓喜祭のときに行います。

ジアース:わかった。私もそれでいいと思う。予選は2週間後に開始だな。

グリス:はい。

ジアース:本線は何人ぐらい残るのだ?

グリス:まずは48人で、トーナメント方式で行おうと思います。

ジアース:大体はわかった。私もそれでいいと思う。そのつもりで進めてくれ。

グリス:はい。

 と、グリスとのテレビ電話は終わった。


ジアース:さーて。今日は次はどこに手をつけるかだ。

ミュウ:ジアースって決めるの早いね。

ジアース:それが俺の主義だからな。では、次はフライと話すか。

 ジアースはつぎはフライとテレビ電話を行った。

ジアース:フライよ。仕事は順調か。

フライ:はい。パンフレット作りは国内用ができたらスピークと連係して、海外用のを作ります。

ジアース:国内用については、今日、大筋の予定がすべて決まるから、それを全部フライに報告させる形をとっているが、大丈夫か?

フライ:大丈夫だと思います。ですがパンフレットを作るのに、デザイン関係で、3日はかかります。

ジアース:それもそうだなあ。じゃあ、次はスポーツ協会とはどういう形で進めているか?

フライ:名乗りを上げているのが、野球、サッカー、バレー、バスケット、武道です。

ジアース:スポーツの進行に関しては私はスポーツ協会に一任した方がいいと思っているが、フライはどうだ。

フライ:私もそう思います。私はパンフレット作成とスポーツ協会との進行の2つを同時に行う能力はありません。

ジアース:わかった。スポーツ協会とは私が行うことにしよう。

フライ:面目ありません。

ジアース:その代わり、パンフレット作成は必ず終えてほしい。

フライ:はい。わかりました。

 と、フライとの会話は終わった。ジアースはミュウとサハリンと話し、一息入れた。

ジアース:ミュウ。正直スポーツ大会に対してどう思う?

ミュウ:そうよね。わたしたち国民もそんなに数があるわけじゃないからね。

ジアース:そう。だから、海外からの旅行客をいかに来させようかというところがポイントなんだよ。

ミュウ:でも、その真の目的は平和のためでしょ。

ジアース:さすがミュウだなあ。平和のために民衆の交流が必要と考えているんだよ。

サハリン:それなら、スポーツはローレンシア王国対外国にしたらどう?

ジアース:それだ。それなら外国人は来る。さすがサハリン。

サハリン:でも課題はあるよ。どの国と試合をするかとか。

ジアース:なるほど。それにどの種目にするかというのも考えねば。

ミュウ:ジアース。スポーツは必要だと思う。外国人が一番来やすいのはやっぱりこれよ。

ジアース:わかった。今日、スポーツ協会と話をする。

 と、これからジアースはスポーツ協会とテレビ電話で会長を呼ぶことにした。

スポーツ協会係員ローレンシアスポーツ協会ですが。

ジアース:私はローレンシア王国のジアースだが、会長のロワノフさんはいますか?

スポーツ協会係員:ジアース様ですか。お見えできて光栄です。はい。会長は今、会議中です。何かお伝えしましょうか。

ジアース:会議室にはテレビ電話はあるか?

スポーツ協会係員:はいあります。では今、会長は会議中ですが、ジアース様からの電話と来れば応じると思います。少々お待ちください。

 そして、数十秒後ジアースは会議室とテレビ電話がつながった。

ジアース:突然の電話で恐れ入ります。

ロワノフ:ジアース様ですか。今丁度歓喜祭についての会議を行っていました。

ジアース:それは丁度いい。私も会議に参加させてもらえますか。

ロワノフ:ええ。では、まず、ジアース様への報告を行います。本国で行うスポーツは、野球、サッカー、武道、と、この3つに絞りました。

ジアース:絞った理由は?

ロワノフ:他の競技はわが国ではマイナーであるため、メジャーな3つの競技を優先しました。

ジアース:進行の仕方や参加についてなどいろいろありますが、会議はどこまで決まりましたか?

ロワノフ:野球とサッカーはプロの選手の代表が他国と対戦し、世界武道大会は出場者は強ければ誰でもO.K.にしました。腕に自信のあるものが集まると思いますが、全世界の1番を目指すため、世界から大勢の参加者が訪れるでしょう。予選はわが国で行います。募集、締切日は今日から10日後にしようと思います。今決まっていることはこんなところです。

ジアース:わかった。外国人の募集に関してはスピークに伝えておいてください。

ロワノフ:はい。わかりました。

ジアース:では、野球とサッカーについてはわが国を入れて世界19カ国で、歓喜祭前に予選を行う方針ですか。

ロワノフ:いや、今回はICが5つに分かれてしまうことなので24チームとなり、丁度リーグ票を作りやくい形になっております。

ジアース:そうか。ICが5つに分かれるのは止めるつもりなのだが。

ロワノフ:ICの分裂が止まっても、ICから5チームを要請すれば同じことだと思います。

ジアース:ICだけ特別扱いというのも疑問があるな。歴史がICという連合国を作り上げた。だが、今、崩壊寸前だ。本当に5チームが参加できるかどうかだな。

ロワノフ:ジアース様。今回はICははずしてはいかがですか?18チームでもリーグ戦はやりやすいですよ。

ジアース:いや、ICの分裂はわが国は止めるつもりでいる。そういう流れになると思うが。

ロワノフ:しかし、今は時間が無いのでは。

ジアース:そうだな。ICを除いた18カ国での対戦ということで進めてくれ。

ミュウ:ジアースちょっと待って。それじゃあ、ICは世界からはぐれものになっちゃうじゃない。ICは先進国よ。ICの立場はどうなるの?

ジアース:それもそうだな。・・・・・。よし、この際は私の責任でICから5チームを出すことで進めてくれ。ICでの交渉はザバン様と話した後で決める。

ロワノフ:わかりました。成功をお祈りしております。

ジアース:では、会議中すまなかった。会議の内容は後は国内の選手の代表を決めることですよね。

ロワノフ:お察しの通りです。

ジアース:わかりました。では3種類のスポーツで行うことは決定とする。後細かいところは会議を続けてくれ。異存があれば今行ってくれ。

ロワノフ:異存はありません。我々はそのつもりでしたので。

ジアース:そうか。問題はICのことだったわけだな。

ロワノフ:はい。

ジアース:ICは私に任せて、会議を続けてください。

ロワノフ:はい。わかりました。

 と、ジアースはスポーツ協会との話が終わった。


ミュウ:ジアース。問題はICね。

ジアース:そうだな。これからザバン様のところに行く。ICについて話すつもりだ。

ミュウ:ジアース。後は任せてね。

 これからジアースはカイザーに連絡をとった。

ジアース:カイザー殿。ザバン様は今、時間空いていますか。

カイザー:ザバン様は、今外交の手はずと行っていますが。

ジアース:それは連合国についてですか。

カイザー:そうです。

ジアース:カイザー殿。丁度、私もIC連合国についてザバン様と話すところだったんですよ。

カイザー:それなら、今、ザバン様はIC連合国の対策を練っていますので、丁度いいですね。今、ザバン様に伝えてきます。

ジアース:では、今からザバン様のところへ行ってもいいでしょうか。

カイザー:ちょっと待ってください。ザバン様と連絡を取ります。

 カイザーはザバンと携帯で連絡を取った。

カイザー:ジアース殿。ザバン様からの了解が得られたので、30分後に部屋に戻るようです。

ジアース:わかりました。30分後ですね。

カイザー:ではそういうことでお待ちしております。

 ジアースはカイザーとの会話が終わった。


ジアース:さあて、30分間の間、何しようか。

ミュウ:今までの計画の確認をしようよ。まずは、クイズ大会のテレビの募集は今日ではなく明日になったこと。ミス・ローレンシアコンテスト出演者募集は今日の午後にテレビで開始。締め切りはパンフレットが3日に作成されるため、それまでということで今日・明日・明後日で募集は終わり。コンサート、マジックショーの出演者は決定している。後、発表会の参加者募集は明日の王国新聞に掲載。遊園地、動物園はそれぞれに任せている。後はスポーツに関しては問題はIC連合国。整理するとこんな感じね。

ジアース:そうか。ではまず、この間にアルスと連絡を取ろう。

 ジアースはアルスと携帯で連絡を取った。

ジアース:アルス。そうだ。今の進行状況は。

アルス:はい。私の役目は、まずは宣伝ですので、皆様の計画が決まったら報道する準備はできています。

ジアース:では、早速だが、明日の午後にテレビで宣伝して欲しい。ミス・ローレンシアコンテストの出演者募集だ。

アルス:はいわかりました。で、CMを作ろうと思いますので、そこで、第1回ミス・ローレンシアのサハリンさんを招きたいのですが。どうですか?

サハリン:私が宣伝するわけね。

アルス:はい。

サハリン:では今から通信省に行きます。

アルス:では待っています。

ジアース:サハリン。もう行くのか。

サハリン:決めるの早い?

ジアース:いや、別にいいけど。

サハリン:それって名残惜しいってこと?

ジアース:いや、やけに速いと思って。

サハリン:では、行ってきます。

 と、サハリンは部屋を出て行った。


ミュウ:ジアース。今のうちに問題を整理したらどう?

ジアース:そうだなあ。歓喜祭の他にインターナショナルマーケット、環境問題提言、IC連合国との会談ぐらいか。

ミュウ:ジアースはやる事いっぱいあるね。

ジアース:ミュウも他人事じゃないぞ。ミス・ローレンシアコンテスト、発表会、コンサートと3つ抱えているじゃないか。

ミュウ:今は少し休憩しましょ。ビタミン茶でも飲もうよ。

ジアース:そうだね。

 二人は頭の中を整理しながらくつろいでいた。そして時間が来た。

ジアース:ミュウ。ではザバン様のところへ行ってくる。

 と、ジアースは王室を訪れ、カイザーの許可で中に入った。

ジアース:カイザー殿。どうですか、インタナショナルマーケットについては。

カイザー:そうですね。コユウジという者。使えますね。これを歓喜祭でやりたいぐらいですよ。

ジアース:カイザー殿。行事が多いということは国民が動く。そうなると財が流れる。これは、わが国が国にとって物凄くいいのではありませんか。ですから歓喜祭の後のビックイベントになりますよ。

カイザー:そうなるようにするしかないですね。

ジアース:しかし、コユウジの立案は見事ですな。

カイザー:しかし、それは大筋が見えているだけ。実際に細かいところまでにつめなければなりません。


 と、そこにザバンがやって来た。

ザバン:おお。ジアースよ。よくきた。話の内容はICについてだな。

ジアース:はい。歓喜祭の行事を行うにあたり、ICの安定化重要だと思っていますが。

ザバン:では、私の客間に来なさい。カイザーもだ。

ジアース:はい。

カイザー:はい。

 と、3人は客間に行きICについてどうするかを協議した。

ザバン:ICが分裂すると面倒なのは、わが国だけじゃなく他の国もそうだろう。私の考えでは、ICの分裂をとめたい。歴史的な背景によると、ICはもともと5つの国で、世界経済に対抗するために同盟を結び、国益を拡大して行った。しかし、IC5カ国それぞれ選ばれた指導者たちが自分と自分の出身地のことしか考えていないらしく、それがきっかけで5カ国が独立しようとしている。どうするべきか。

ジアース:なるほど。ザバン様。つまり、その5カ国のそれぞれの大統領が独立を訴えているということではありませんか。

ザバン:そうか。確かにその通りだ。

カイザー:で、IC国民は納得しているのでしょうか。

ザバン:そこが解らない所なのだ。

ジアース:ですが、IC連合国がそれぞれ独立することにIC自身が納得しているならば、我々は手は出せませんね。

ザバン:その通りだ。

ジアース:では、我々はIC連合国が分裂すると見て計画を進めましょう。

ザバン:ジアースよ。IC連合国が歓喜祭と関係あるのか?

ジアース:はい。スポーツ協会との会談で、外国人を呼ぶなら、スポーツで試合をすることが有用な手段と考えています。そして、ICの参加も考えていましたので、ここにきて分裂するとは思いましませんでした。

ザバン:なるほど。では世界会議で、IC5カ国の独立は我々は支持するかそれとも不支持にするか。

ジアース:それはまず、IC5カ国の意志を尊重する形になるでしょう。

ザバン:まあ、ICは国際競争力は失うが、それは我々とは関係ないということになるな。だが、ICのためを思えば、分裂から戦争ということにならなければいいのだが。

ジアース:それについては外務大臣のテルルが各国と友好的なつながりを持つことによりわが国を通してIC連合国の安定化を図るつもりです。

ザバン:なるほど。では、我が国はIC5カ国の独立は支持するということでいいか。

ジアース:はい。だが、他国はどうでしょうか。世界会議で納得の行く論がなくてはなりません。

ザバン:それなら、さっきジアースが言っていた通り、IC5カ国自身が納得しているならそれでいいとするしかないな。

カイザー:はい。私もIC5カ国の独立は反平和的でありますが、認めるしかないでしょう。

ザバン:よし、決まりだな。世界緊急会議は1ヵ月後(30日後)だ。その間にICが独立しても国交は開いているものであれば容認するという形にしよう。

ジアース:わかりました。そういう方向であれば、問題は無いでしょう。

ザバン:世界会議には誰が行くか考えておるのだが、私ともう一人付き添いでジアースが来てくれないか?

ジアース:私がですか?

ザバン:ジアースは奇抜な発想の持ち主だ。ジアースがいると私は安心する。

ジアース:光栄です。

ザバン:よし、決まった。ではそういうことで昼になる。昼食を一緒にとらぬか?ガイとミュウとノルワーを呼んで共に食事でもどうだ?

カイザー:ザバン様。ガイ様とミュウ様は仲が悪いのですよ。それに、ノルワーはガイ様にいろんなことを吹き込んでいるんですよ。私は賛同しかねます。

ザバン:しかし、私にとってはガイは大事な息子なのだ。確かに今、2人はこの王国の後継者争いをしている。私はこの国のためにローレンシア王国が限りなく発展するために、後継者を決めるといえば、ガイは少しはおとなしくなるだろう。また、遊んでばかりもいられんだろう。

カイザー:わかりました。では、昼食はザバン様の部屋で6人で昼食をとることにしましょう。


 そして、昼食会にミュウとガイとノルワーが呼び出された。

ザバン:いや、皆、よく来た。この者たちは家族同然である。たまには語り合うのもいいだろう。昼食を楽しもうじゃないか。

ガイ:父上。何か目的がおありなのですか?

ザバン:私は父としてガイとミュウと会う機会が少ない。だが、たまにはいいと思ってな。昔は二人ともかわいかったな。ガイはいたずら好きで、ミュウはでしゃばり者だった。昔からガイとミュウは喧嘩していたな。だが、今日を持って、二人とも大人としての接し方をして欲しい。

ミュウ:父上。ご心配のほどは分かります。しかし、お兄様は度が過ぎます。

ザバン:だから大人として互いが敵であったとしても互いが嫌であっても、この世界のためな、この国のために精を尽くして欲しいのだ。私にとっては二人とも大事なのだ。

ミュウ:父上。

ガイ:父上の考えは分かりました。しかし、最終的には父上がなくなったら、後継者争いになります。これは避けて通れないのでは。

ザバン:そこでだ。次の後継者は私が決めるのではなく、国民が決めるのだ。国民投票でどっちが国王または女王にふさわしいのか。私が言っている意味は分かるな。

ガイ:はい。

ザバン:ノルワーよ。うかうかしていられんぞ。今のところ、ノルワーとジアースをどちらを比較したら今のところ、ジアースの方がはるかに有能だ。ノルワーには自覚が足りない。もっと積極的に政務に励んで欲しい。

ノルワー:はい。肝に命じます。

ザバン:皆の者食事は終わったな。では、それぞれの職務に当たってくれ。

 と、6人は解散した。

 その後カイザーはザバンと話した。

カイザー:ザバン様。後継者を国民投票で決めるというのは素晴らしい案ですね。それに、ザバン様もノルワーの策で殺されることもなくなりましたね。

ザバン:確かにそうだ。ノルワーは大臣になり、権力を握りたがっている。しかし、権力を持つ者は自分のことしか考えないようではだめだ。国民を我が家族として扱えるだけの器量を持たなければならぬのだ。私の発言でノルワーはジアースを敵視するだろう。もし仮にジアースを手本とするならガイが国王でも心配は無いんだがな。ジアースには少し気の毒かもしれんが、ミュウの補佐である限り、この国を背中でしょっている限り、ノルワーを屈服させねばなならぬのだ。

カイザー:しかし、ザバン様。ザバン様はノルワーをどれだけ認めておられるのですか?

ザバン:ノルワーには欲があるにしろ、ガイへの忠誠心はたいしたものだ。ジアースが来るまではノルワーは活躍していたからなあ。ジアースが王国に入ってからはノルワーは陰に隠れてしまった。だが、人生は自分の困難を身に受けながらも乗り越えなければならぬのだ。

カイザー:ザバン様の心中をお察しします。

カイザーとザバンはしばらく会話をしていた。


 ところで、ジアースとミュウは部屋で今日の昼食会について話していた。

ジアース:今日のザバン様は信じられん。

ミュウ:私はジアースがお兄様を何とかしてほしいとノルワーにジアースの手本となるようにという意味じゃないかしら?

ジアース:でも、あれでは俺がノルワーに命を狙われるではないか。

ミュウ:大丈夫よ。みんなジアースの人徳についていっていると思うでしょ?

ジアース:だが、ノルワーは俺を敵と見ているんだぞ。この前もミュウも狙われたではないか。

ミュウ:でも、ノルワーには、今人望が無いから、何もできないわよ。

ジアース:だが日記にはノルワーは相手が敵だったら手段を選ばない男と書いてあったぞ。敵だったらその者を悪人にして殺す男だと書いてあった。

ミュウ:ジアース。みんな守るから。

ジアース:俺にノルワーを受け入れる器量があるとザバン様は見ているようだが、果たしてうまくいくかどうか。

ミュウ:まあ、とにかく、今日はやるべきことをやりましょ。

ジアース:そうだな。ミュウは今日は時間があるのか。

ミュウ:うん。発表会は内容をフライにメールで伝えておいた。

ジアース:じゃあ、サハリンのところへ言って様子を見に行こう。


 ジアースとミュウは車で移動した。運転手はカランである。

カラン:ジアース様、ミュウ様、今日はデートですか?

ジアース:カランは相変わらずだな。

ミュウ:ローレンシアテレビ局に行って。

カラン:了解しました。

 移動中、ジアースの携帯にメールが入った。ジアースはメールを見ると、ノルワーからだった。内容は「ジアースよ。あまり調子に乗るなよ」と書いてあった。

ジアース:ノルワーは本当にやりづらいなあ。

ミュウ:乗ってるのは調子じゃなく車なのにね。

ジアース:ミュウ、ジョークを言っている場合じゃないんだが。

ミュウ:ノルワー対策も練らなきゃね。

ジアース:対策は共に動くことしかないなあ。

ミュウ:私もそう思う。

ジアース:歓喜祭で共に動くわけにも行かないが、インターナショナルマーケットの件で共に動くことにはなっているのだが。

ミュウ:そうね。でもジアース。ノルワーは本当は頭の切れる人よ。

ジアース:俺との意見の対立は覚悟しないとな。

ミュウ:とにかく今は保留にするしかないね。

 と、ジアースはノルワー対策を考えながらローレンシアテレビ局に着いた。まずはサハリンのところへ行くため案内所に行った。

ミュウ:私はローレンシア王国の王女ミュウだけど、サハリンはどこ?

案内所:ミュウ様でございますか。はい。サハリン様は今CMの撮影中です。第5撮影室へ行ってください。

 と、ミュウとジアースは撮影室に行った。

サハリン:あれ?ミュウ様とジアースじゃない。

 サハリンは休憩を取っていた。

ミュウ:サハリン。撮影は終わった?

サハリン:まだですよ。

ミュウ:私たち見学に来たのよ。

サハリン:ミュウ様。そんな時間はあるのですか?

ジアース:歓喜祭でやることは大体終わっている。

サハリン:じゃあ、私はこれからCMの撮影だから見学していて。

 と、ジアースとミュウは:第2回ミス・ローレンシアコンテストの参加者募集のCMをみていた。この時のサハリンは一段と美しかった。

と、そこにテレビ局の局長のシュウが来た。

シュウ::ジアース様。ミュウ様。局にこられているということで挨拶にまいりました。

ジアース:これはシュウさん。恐れ入ります。

シュウ:歓喜祭は今のところは順調ですね。

ジアース:はい。

シュウ:ですが、私は心配することがいくつかあるのです。歓喜祭をきっかけに国民の体質が変るのではないかと。

ジアース:具体的に言うとどういうことですか?

シュウ:外国人を呼ぶことです。一番心配なのが、他宗教から必ず宗教の勧誘があることでしょう。無宗教国家である我が国が他国の影響を受けなければいいのですが。

ジアース:なるほど。

シュウ:で、我が国での王国支持から、宗教支持になると、王国の権威が下がるのが心配です。

ジアース:それは心配ありません。王国の思想は他の宗教を超えています。

シュウ:しかし、宗教にはカリスマ性があります。その点が心配なのです。

ジアース:そうだなあ。その辺も手を打つ必要があるなあ。

シュウ:そうですね。

ジアース:ただ、宗教はそれなりの力を持っていますが、人は悟りにより天と通じることができるのです。ですから、この国に必要なのは、この世の法則を悟ることなのです。真理は一つですから。

シュウ:確かにそう思います。私もテレビで我が国の思想を反映させるのに更なる努力をしていきたいと思います。

ミュウ:ねえ、ジアース。クイズ大会での問題にローレンシア王国の思想を出してみたら?

ジアース:ミュウ。それもいい案だな。とにかく、今のうちにいろいろな問題に対し考えておく必要があるな。

シュウ:ジアース様。私は今日は挨拶する時間しかありませんでしたが、今度はゆっくりと話したいものです。

ジアース:私もです。

シュウ:では、私は今日は時間が無いのでここで失礼させていただきます。

 と、シュウは自分の仕事に戻った。

ジアース:なあ。ミュウ。この国は本当によくできているな。

ミュウ:それは前のジアースが頑張ったからよ。

ジアース:過去の未来の俺ってそんなの凄かったのか。

ミュウ:もちろん。

 と、ミュウとジアースはしばらく雑談をしていた。

そうこうしているうちに、サハリンのCM撮影は終わった。

サハリン:ねえ、ジアース。ミュウ様。何の話をしていたの?

ジアース:この世の道理について。まず。この世界には、天が存在するかどうかだ。俺は天というか、創造主はいると思う。俺は、昔小説を書いていたのだが、小説のキャラクターにとっては作者が創造主であり天である。もし俺たちの世界が、小説の世界ならば、創造主は存在する。そして、我々が生きていくには創造主の決めた法則とは何かを解明しているのがローレンシア王国の倫理であるのだ。

ミュウ:少し宗教の思想は入っているけど、これはみんな納得できると思う。私たちは創造主が作ったキャラクターであると思う。ということを話していたの。

サハリン:ジアースって深いね。

ミュウ:ところで、そろそろ夜だから、王宮に戻りましょ。

 3人はカランの王国車に乗って王宮についた。

ミュウ:ねえ。ジアース。明日は会議だよね。

ジアース:そう。各部署の最終報告だ。

ミュウ:今日は歓喜祭について細かいところを話しましょ。

 3人は歓喜祭について話し、企画書を作って夜を過ごした。

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