カクヨムファンタジア

アーカーシャチャンネル

本編

 小説投稿サイトカクヨム、西暦二〇二〇年を迎えての盛大な祭りが始まっていた。

その名は『カクヨムファンタジア』である。ファンタジーイラスト投稿のテーマ企画ではなく、あくまでも小説サイトなので小説投稿企画だ。

この企画を考えたのは、あるカクヨムユーザーの一人。このような企画を立てた理由は不明だが、間違いなくバズりたいという安易な理由ではないのは分かる。

【二〇二〇年はスポーツのイベント――と言うのは安直だな】

【今の状況では、イベントをやっても自粛ムードでSNS上ではもみ消されるだろう】

【何としても、そうしたネガティブの状況を一変させるような企画はないのか?】

【二次創作ばかりがピックアップされても、メディアミックスは望めない。やはり一次創作でなければ】

【しかし、一次創作とはどのラインを持ってい一次創作と言うのか? 一次創作サイトに投稿されている条件でも、稀に二次創作はヒットするのに】

 様々なSNS上の声をパソコン上で見ていた青年、彼が立ちあげた規格こそがカクヨムファンタジアである。

ファンタジー題材であれば舞台は異世界でも現代でも問わない――。現代物でもファンタジーと名乗っていい物だろうか?

 そして、カクヨム四周年を迎えた状況で――その企画は動き出した。カクヨム四周年も、スポーツの国際大会も四年に一度しかない。

しかし、カクヨムの四周年は四年に一度ではないのだ。今回限りなのである。かつて、昔に書かれた漫画でスポーツ大会の開催を予言したような描写が話題となった。

そうしたネタに便乗し、今回のイベントに参加するのも――四年に一度ではなく、今回限りの出来事だと思わなくてはいけない。

本物の体験は、四年に一度ではなく『目の前に一度しかない』と思わなくては――本当の意味でもリアルではなくフィクションとなってしまう。

さぁ、始めよう。四年に一度の現代を舞台にした『カクヨムファンタジア』という企画を。

 


 彼が単にバズる事を目的にして企画を書いたのか、それとも本気で環境を変える為に書いたのか――。

その後、個人企画として始まった『カクヨムファンタジア』が大反響だったのか――それは誰にもわからない。

一人の青年が企画した現代を題材としたファンタジー、それはカクヨムの世界を変える小説になるのか?

「さて、始めよう。これが四年に一度の盛大なファンタジーだ!」

 作者、読者、カクヨム――その局地的なエリアを巻き込んで、壮大な企画は始まろうとしていた。

しかし、それはフィクションでしか過ぎないのである。実際、これを書いている段階でフィクションなのだから。

小説はフィクションであり、エッセイのような特殊ケースでない限りは現実に起こり得ない。

現実で起こったSNSの炎上や事件、そうした物を書いていったとしても――読まれなければ、伝わらないだろう。

フィクションで終わるか、ノンフィクションのように変化していくかは、誰にも分からない。

単純に作品が読まれないので企画に便乗したのか? それとも彼なりの四周年記念のお祝いなのかも――判別できる要素は見つからない。

どちらにしても、これをどう解釈するかは読者にゆだねられるだろうか。

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