第16話 写真
「ねぇねぇ。写真撮ろ〜」
A子さん。今度はカメラを片手に持っています。
こんな何もない空間で…………などとは、もう誰もツッコまないことでしょう。
「なんで写真なんか……」
B子は写真が嫌いなのでしょうか、それともA子と撮るのが恥ずかしいのでしょうか、すぐさま拒否します。
こんな美少女と一緒に写真を撮るなんて、きっと全世界の男がすぐさま快諾するでしょうに、B子は渋っています。
全く羨ましい限りです。
「はい、じゃあ行くよ〜」
しかし流石はA子さん。B子が拒否をしたというのに、すぐさま写真を撮る準備をしています。
「だ、だから私は撮らないってば!」
なんて抵抗するB子ですが、そこまで強く拒絶はしていません。
ほんとツンデレさんですね。
それが分かっているのか、A子はぐいぐいいきます。
「ちょ、ちょっと近いって!もうちょっと離れてから撮りなさいよっ!」
今度がA子が接近したことに文句を言い始めるB子さん。もう写真を撮ることは拒否しないんですね。はいはい、ツンデレツンデレ。
「はい。じゃあ行くよ〜」
しかもA子はまたもや、B子の意見を無視して離れぬまま写真を撮り始めようとします。
でももうB子は何も言うことはありませんでした。
ちゃっかりA子の肩に手を回している始末ですから。
「はい、チーズ!」
A子が合図を出すと同時に、カチャッ、という音と共にシャッターが切られます。
写真を無事撮り終わると、A子は自然とB子から離れていきます。
「あっ……」
B子は無意識のまま、ほんの小さな声で、A子には聞こえない程小さく声をあげます。
ほんと、そんなに一緒にいたかったら、常に一緒にいてもいいんですよ、B子さん?
「はい、じゃあ写真渡しておくね!」
そう言ってB子はA子から写真を受け取ります。
「ま、まぁ、大事にしておくわよっ!」
少し顔を染めながらB子は大事そうに、写真をポケットに入れました。
そしてA子さんはというと、その日から数日は一度も写真を手から離さなかったそうです。
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