第14話 雨
ザーー。
大量の水が床に打ちあたる。
そう、雨である。
「ど、どうしてこんな場所で雨が降るのよっ!」
突然の雨のB子は慌てて走る。
でもこんな所でいくら走ろうが、雨を防ぐ屋根がある場所なんてないですよ?
「すご〜い!雨だ〜!」
B子の隣で走るA子は、B子とは違い、楽しそうに走っています。
どんな時でも、楽しむ姿勢を忘れないA子は正直とても羨ましく思います。
「って!走っても無駄じゃない!」
ここでようやくB子が気づいたようです。
かといって、このまま雨に打たれ続けてしまうといずれ風邪を引いてしまいます。
「くしゅんっ!」
そう言っているとB子が大きなくしゃみをしました。
どうやら本当に風邪でも引いてしまったのでしょうか?
ここでA子もようやく、B子のことを心配します。
「せめて傘でもあったら……」
B子が濡れた服を抱き寄せながら呟く。
「傘……か」
A子が呟いていますが、もしかしなくてもまさか……。
「じゃあ二人で入ろっ」
「ちょっ!」
A子がB子に抱きながら傘を広げます。
もうA子はなんでもありですね。はい。
「――傘があるならもっと早く出してほしかったわ」
もうB子もツッコむ気が失せたのか、素直にA子にくっついて傘に入ります。
「にしてもちょっとくっつき過ぎじゃない?」
「くっついた方が温かいからいいんだよ〜」
「ならいいんだけど……」
それから二人は小さな傘の中で密着しあいながら、なんともない会話をしました。
いつの間にか雨が止んだのですが、どうやら二人は会話に夢中でしばらく傘をさし続けていたようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます