みかん⑦

凛太は、なにやら女子小学生三人に話しかけて、そして、三人に引かれていた。


 どうせ、お子様ランチを注文してくださいお願いしますとか言ってるんでしょう。


 それにしても、その小学生に引かれてる人と水族館に来てるのが私とは、恥ずかしい……。


 私は水の入ったコップに口を付け、外を見て、波と砂浜のゆったりやりとりをのんびりと眺めた。一人水族館を楽しむクール系女子のものまねを頑張る私。


 一瞬凛太を見てみれば、何かぶつぶつ言って決意していた。顔が少し明るい。もしや、凛太、お子様ランチを注文するいい方法でも思いついちゃったの?



 だとしたらこの後どんな感じかっていうと……


小学生でもない凛太のもとに、運ばれてくるお子様ランチ。凛太は謎のリズムで鼻息を荒くして興奮している。

周りの人が「うわー、変な人がお子様ランチで興奮してる、やばすぎ」といった感じで見る。そして、凛太の前にいるのは私、凛太のことが好きな凛太の彼女。



あ、どうしよう。凛太のことが好きで凛太の彼女でもムリ……。


 私は立ち上がって一人で店を出た。お子様ランチは凛太一人で味わってもらうことにする。私は凛太に、「私、売店の方でお昼食べますわ」と送って、売店に向かった。


 今の凛太なら、お子様ランチをあきらめてまで、私を追いかけてきたりはしないだろう。


 私は売店についた。


 売店は行列ができていてまあまあ人気みたいで、思ったよりも品ぞろえがよかった。ホットドッグを買おうと列に並ぶ……と、前に知っている小柄な女の子とさらに小さな女の子。


「未来と……未羽、ですわ」


「あ! みかん! えーと、水族館でみかんと会う……という出来事が起こったってことは、凛太とデートだね!!」


 未来が振り向いてそしてすぐそう言う。そして、その時やっと私は、凛太と別行動になっているということを認識した。

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