小五三人と僕で眺める写真
五、六時間目も終わり、今日は放課後活動もない日なので、家に帰る。
鍵を開けると、
「お帰り! お兄ちゃん」
花凛が玄関に現れた。
ん? 花凛はそこにいるのに奥が騒がしいぞ。
「友達……来てるのか……?」
「うん」
そうか、友達か。花凛の友達ということはみんな小五かな。
こういう時って意外とリビングに入りづらいんだよな……。
「こんにちは……」
ドアを少し開けてみると、
「あ、花凛のお兄ちゃんですか、こんにちはー」
「こんにちは、お邪魔して、おります」
二人の女の子がこちらをむいた。
おお……僕が一歩下がれば女子小学生率百パーセント、一歩進めば七十五パーセント。
というわけで百パーセントを維持するためにもリビングから退散しますか。その方が落ち着くと思うし。
「あ、ちょうど四人用のゲームやりたかったからお兄ちゃん参加ね」
「あ、参加……じゃあしようかな」
断るのも感じ悪いかと思ってそう言うと花凛のお友達も歓迎してくれた。
あ、やっぱり女の子が遊んでる空間って女の子の雰囲気がいっぱいでいいね。ぼくも乗り気になって来たな。
なんとなく、みかんが今家に来たりしたらめんどくさそうなことになるように思えるけど、今日は今来てないってことは来ないかな。みかんも色々用事とかあるだろうし。
「それで……何するんだ……?」
僕はカバンを脇に置いて、花凛と花凛のお友達のちょっと離れた横くらいのところに座った。
「これ、なんか私たちの間では今流行りのなんです」
これは……なんだこれ。知らないものだ。
「動物とお話しするゲームだよ」
ゲーム? ゲームって、レースしたりスポーツしたりバトルしたりするもんじゃないのか。
しかもなぜ四人用なんだこれ。一人でできるよな。
???
僕が小学生のころはサッカーをするか、一人でゲームするか、なんとかブレードを回して一人で盛り上がってたぞ。
女子小学生の遊びは高貴? なのかな。
なんか猫とか犬が画面で楽しそうにしているのを眺めてたら僕の番が回って来た。
さて、これは何をどうすれば猫さんとお話ができるのかなと思っていたら、花凛が、
「これは……」
と半開きの僕のかばんを見つめていた。
あれ?こんなことが前あったけどその時は花凛が入れた側で見たのが後輩たちだった。つまり状況が似ているのは気のせい。
「え、この写真の女の子、誰なの?」
「これはね! お兄ちゃんの彼女だよ」
「へえ〜! なんか可愛いのに、なんかおとな」
「そうでしょ」
?!
またみかんの写真入ってたのかよ!
どうして入ってしまったんだ。写真が動く絨毯みたいに自分から入った可能性しかない気がするんだが……。
いや、まてよ。これはミステリーによくあるやつだ。つまり、花凛の自作自演。花凛がたった今、僕のかばんに自分で入れて、そして見つけたふりをしてるんだな。
真相がわかったのでほっとこう。僕は猫さんとお話するんだ。
「それにしても、なんというか……スタイルが良くて……」
「おっぱい大きいでしょ。私の目標!」
あれ?なんでそんなことがわかるんだろう? 服の上から胸の大きさを推定する能力が小五女子の間でも発達しているとは初耳だな……。
と思って仕方なく写真を見てみれば、水着姿のみかんだった。
そして、その写真は封筒の裏についていた。
てことは。つまりは、柚川がやったんだな。
うーん。何がしたかったんだろう?
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