妹とトランプしてのんびり
家に帰った僕は、流石に明日提出なのでやらなければいけない学校の課題をやったり、料理コンテストの情報を一通りインターネットで調べてみたりしてから夕食の準備に取り掛かった。今日はみかんはいなくて、花凛と二人。みかんがいないのは珍しくないというか普通のことではあるが、今日に限っては少しそれが気になった。
しかしそんな気持ちも料理をしていると、どこかに飛んで行ってしまう湯気のように、消えていく。
みかんが前に近いうちにお子様ランチをまた作って欲しいと言ってたから明日はみかんも呼んでお子様ランチの予定。
今日は家庭的なメニューで生姜焼き。まあ僕はお子様ランチが最も家庭的な料理である時代がいつか来て欲しいと思っているんだけど。
僕も小学校の時に使っていた懐かしの、みどりねこ漢字スキルで漢字の練習をしていた花凛も、途中から手伝ってくれた。
「ねええええ!」
「なんだ……花凛……」
「なんで生姜焼きの付け合わせグリーンピースなの? ひどい! 私サプライズプレゼントしたのに」
「サプライズプレゼントでひどい目にあったんだよな……」
もともとグリーンピースご飯におかずグリーンピースだけの予定だったから、これでも僕は心を入れ替えて優しくしたんだけど。
「うううう……どうして」
「わかった。 ……人参とトマトにするからそれは食べるんだぞ……」
「うん。グリーンピースから解放された……はあぁ〜」
そんなにむちゃくちゃ安心するくらいグリーンピース嫌いなのか。
そこまで嫌いになる要素があるようにも思えないけど。
「お兄ちゃん」
「どうした……」
二人の夕食が始まり、グリーンピースがなくなって満足そうに生姜焼きを口にいっぱい入れていた花凛がちゃんと飲み込んでから話しかけてきた。
「最近ますますみかんと仲いいよね」
「まあ……」
「私、お兄ちゃんの彼女になりたいとは思ってないけど」
「そうだろうな……」
花凛がラノベの中の世界の妹になっていたらそれは流石に驚いて驚きのあまり一週間連続でお子様ランチを作ってしまうかもしれない。
「でも……、最近二人が仲良いからちょっと寂しいな〜って」
「そうか……」
「あ、そうは言ってもね、私お兄ちゃんの彼女になりたいとは思ってないよ」
「わかってる……」
でも……花凛が家にいる時は、一人か、僕と二人か、僕とみかんと三人なんだもんな。
「たまには……一緒にトランプでもするか」
「え? いいの?」
花凛はデザートが後から出てきて喜ぶ子供のように目を大きくし、笑顔になる。無邪気な花凛は、僕的には一番可愛い。
「ああ……学校の課題も無事終わったしできるぞ……」
「ほんと? じゃあ、まずスピードとページワンやろうお兄ちゃん」
「よし、じゃあ、夕飯の片付けが終わったらやるか」
「私も手伝うねお兄ちゃん」
「ありがとう……」
こうして、久々に妹と遊ぶことになった。花凛と二人でやるスピードやページワンは楽しかった。全体として大きく負け越したんだけど。花凛は小学校でたくさんやって鍛えてるようだ。
今度みかんも入れて三人でもトランプやるか。
僕はのんびりそんなことを考えていた。
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