太もももいいよ


「思ったより……たくさん人がいるんだな……」


 会場には出場する選手らしき人たちが学校ごとにところどころ集まっていたが、中には一人でいる人もいた。個人戦って言っていたから、卓球部の人数が少ないところだと、この会場で試合する人は一人だけで、応援に来てくれる人もいないっていう人もいるのかもしれない。うん。料理部も人が少ないから親近感がわく。


「さて、未来は……えーと、あ、十番コートで、九時半からだ」


「あと三十分もないよ。行こうお兄ちゃん」


 僕は体育館を仕切って作ったコートを見回す。あった。あそこの角か。


 僕は、みかんと花凛を手招きして、十番コートへと向かう。それにしても、この会場は女子の試合しかないのか……? 女子が多いな。


 卓球は短めのウエア着ている人たちが多いからたくさんの太ももが見れて、こうなんか、ぱっと見て太ももが視界の大部分を占めて…… あ、しまった。ちょうどすれ違ったポニテの女の子のすごい綺麗な太もも見てたら間違えて違う方向行ってた。


 「へんたい凛太! こっちですわ!」


 大きな声で僕をそんな風に呼ばないで……。というか、僕が女子たちの太ももを見てたのバレてたのかな……。みかんって僕の考えてること大体当ててくるからな……。



 十番コートに着くと、準備運動している未来を発見。未来と同じウエアの二人と一緒だ。未来は小柄だけど、準備運動でも動きが軽やかで、なんか卓球少女って感じだ。あ、太ももも良いよ。


 僕たちはコートの仕切りの外に並べられた椅子の一つに座ろうと思ったら、僕が座る直前に、みかんが僕のお尻の落下地点にみかんが紙切れをさっと置いた。


 なにこれ……?


 紙を開いて見ると、みかんの字で、


 未来の太もも見るの絶対禁止!


と書かれていた。


 ほんとに把握されてるな。僕は体育館の高い天井を見ていることにした。これなら文句はないでしょう。

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