格言シリーズ

いのなか


少しカビくさいけれど、住み慣れた井戸の底。

太陽はめったに見れず、日光浴は年に数回。

だけど、空はいつでも澄んでいて

まだ見ぬ世界に憧れは募る。



ある日、そいつは飛び跳ねた。

力の限り飛び跳ねた。

広い世界の果てにある海を目指して。

一瞬、空に近づくけれど、すぐに暗闇の元へ。



空の青さは

海のあおとは違うけど

お前が見ているその空は

海よりずっと綺麗だよ。



暗闇の中、必死でもがく姿に。

気づいているか?

夢と希望を知ったこと。

暗闇の中、その瞳には空だけ映した。

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