『小さなお話し』 その37

やましん(テンパー)

『唯一の解決法』

 むかしむかし、


 しもふさ生まれの、やくたたずで、やましんさん、という、人がおりました。

 

 やましんさんは、うつぎみで、閉じ籠りで、片腎で、糖尿病で、アレルギー持ち、すごく頭が悪い、目が悪い、鼻が悪い、耳が悪い、口が悪い、性格が悪い、そのほか、色々、な、人でありました。


 とくに、糖尿病は、厄介です。


 この病気の場合、食べ過ぎると、しにますが、あまり、食べられないこともあり、体力、抵抗力がしばしばたりないのです。


 ちょっとした細菌さんでも、大病になりやすい。


 それに、人とかかわると、なかなか、話がうまくあわず、ストレスがたまります。



 だから、総合的に、やましんさんにとって、唯一の解決法は、寝ること、に、尽きると、思われたのでした。


 ある、真夜中のこと、お部屋にひとりでいるやましんさんに、声が聞こえました。


 『これ、やましんさん、少しは、運動しなさい。』


 『あなたは、どなた?』


 『わたしは、健康の神である。』


 『え〰️〰️〰️。そのような、神様がいらっしゃいましたか‼️』


 『さよう。なかなか、全員をみてまわれぬが、あまりに、そなたは、巡りがよくない人生であった。少しは、助けてやろうほどに、あすから、ランニングしなさい。』


 『お医者さまと、同じ話しです。』


 『神様の、お墨付きであるぞ。』


 『はあ〰️〰️〰️〰️』



 そこに、現れたのは❗


 『あなた、困るなあ。ぼくの、獲物、とっちゃだめだよ。』


 『おや、キミは、邪神くんではないか、久しぶり。』


 『ども。でもね、健康の神様、こいつは、ぼくの、売り上げのひとつなんでさ。ちょっかい出さないでくださいよ。』


 『いやあ、ちょっかいは、ださないが、人には、選択の余地があるものだ。サルトルさんも、そう言っていた。』


 『いやあ、その選択の結果が、これなんですぜ。すでに、自分で、地獄行きを決めたんだから。』


 『いや、まった。決めてないでしょ。』


 やましんさん、が、口をはさみました。


 『いや、いや、寝てるということは、決めたんだから。』


 邪神さんが、言い返しました。


 『まあまあ、も、一回くらい、選択の余地があっても、よかろう。』


 『あと、一回、ですかあ?』


 邪神さんが、舌打ちしました。


 『うん。せっかく、私が呼び止めたんだ。いくらか、顔を、たててくれたまえ。』


 『いやあ、あなたに、言われると、弱いなあ。じゃ、あと、一回ですぜ。あすにも、つれて行こうかと、思っていたんですがね。どうせ、ダメだろけど。じゃ、あと、一回。』


 『ああ、いいとも。』


 邪神さんは、消えました。


 『あの、そんな、きわどいことに、なってましたか?』 

 

 やましんさんが、恐る恐る尋ねました。


 『ああ、きわどい。人には、なかなか、気がつかないものだがな。それに、職場回りは、仕事がら、注意するだけで、おおかた、形式だし。みな、忙しいのだ。神様も、忙しい。まして、出世しなかったきみのようなやつは、退職後は、なおさら、ほっとき、だからな。まあ、きみが、思っているより、ずっと、きわどいわけだったわけさ。あすにも、危なかったんだ。しかしだ、ここは、最後のチャンスだよ。いいかな、そこんとこ、よーく、考えよう。君しかできないことがある。いのち、かけますか?』


 『むむむ。そこまできていたか。神様に救われたのか⁉️ いや、それとも…………』



 その後、やましんさんが、どうしたかは、伝わって、おりません。 


 いまは、むかしの、ものがたり。


 とってつけたんだべな。




            おしまい


 



 


 

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『小さなお話し』 その37 やましん(テンパー) @yamashin-2

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