カノン

相応恣意

0(前奏)

「……したがって、山崎みどりさんは、爆風に直接巻き込まれたわけではなく、衝撃で吹き飛んだ扉と廊下の壁に挟まれ、全身を強打されたようです。そのため火傷などはないのですが、頭を強く打っていて、依然意識は戻っておりません。それから……」

 曖昧な意識の中、一つだけ確実に分かること、それは山崎先生が怪我を……それももしかしたら命に関わるかもしれない怪我をしたということだった。

 ほんの数時間前の僕は、こんなことが起こるだなんて、考えもしなかった。

 山崎先生と話をしたのも、それこそほんの数十分前までだというのに……

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