花守り

ひつじ

第1話朝

キラキラと朝日が差す温室は様々な花や果実で溢れている。

温室の真ん中には、大きな蕾がある、まるで人が1人入れるくらいの大きな蕾。

蕾にもたれ掛かると優しい温もりがじんわり背中に伝わる。

その背中には大きな白い羽、透き通った白い真珠の用な肌に紅い眼、黒い髪は丁寧にとかしてありまるで神話に出てくる女神に似ていた。


「アリーチェ様、アリーチェ様こちらにいらっしゃいますか?」


メイドが自分の名前を呼んでいる、またろくなことではないだろう、もう少し返事はしないでおこう。

もう少しだけこの温もりに触れていたい。

トクン…トクン…と蕾の囁くような音が心地よく耳をすますと…

「アリーチェ様!やっぱりここにいましたか、早く広間に来てくださいまし。」

悪魔のような形相をしたメイド長が蕾の近くまでくると腰に手をあて怒りはじめた、いつものこと。

姫様としてしっかりしろとか、自覚が無いとか、朝ごはんが冷めるとか

「はいはい、わかりましたよメイド長、怒りすぎるとまた血圧があがりますよ。」

またムキーと怒り出したが、動き出した私の姿をみてやれやれとしていた。

蕾に手のひらをあてつぶやいた


「また、後でね母さん」

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