冥火のランプ
鍋島小骨
再会
小さな花束を手にして郊外の自宅に帰った。
夜の曇り空は寒く暗いが、手にした花のひよこのような黄色は朗らかだ。今日は待ちに待った日。
家に入り着替えると、花を
時間が来る。
きっと来る。
薄暗がり、秒針の音、風の音。
私が過ごした、この四年間という時間。
吊るしたランプの中で一度二度、火花が弾けた。それから煙のようにゆるやかに、銀の
それを合図に、私は蝋燭の火を吹き消した。
両目を閉じる。
暗闇。風の音。
等間隔に刻んでいた秒針の音が
そうして。
足音が聞こえる。
登って来る。
待ち切れないかのように軽い小走りで。
大丈夫、ここには日の光も月の光もない。君を
閉じたこの小さな部屋の中、待ちわびた君の気配が私の前にやって来る。
私は祈りながら口を開く。
ああどうか、今回もうまく行くように。
「イリヤ」
私が呼ぶ。
「バーデル」
私が呼ばれる。
成立だ。私は両目を開き、目の前の
待ち焦がれた恋人を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます