ポストシーズン:第2クォーター

[Game Day] 第2Q

「ダラス・カウボーイズ、FGフィールドゴールで3点を加えました。26対0と大量リードしています。林さん、ダラスの攻撃オフェンスは前の3回ともTDタッチダウンで、このドライブで初めてFGフィールドゴールで終えたわけですが、ジャクソンビルの守備ディフェンスがようやく対応できたということでしょうか」

「そうですね、最初の二つのドライブでは3rdサードダウンになることもなかったんですけど、後の二つは3rdサードダウンコンバージョンがありました。さっきのドライブの最後が5回目だったと思いますが、ようやく止めたということですね。守備ディフェンスは反則が全くなくて、これは見方によってはアグレッシブさに欠けるとも言えるんですけども、3rdサードダウンショートでオフサイドして相手に1stファーストダウンを与えてしまうとか、3rdサードダウンロングでパスインターフェアをしてしまう、ということはないので、焦ってはいないと思います。ただ、攻撃オフェンスはもっと時間を使って、点を取ってくれ、と考えているとは思いますね。まあ、それはいつものジャクソンビルらしい展開なんですけれども」

「ジャクソンビルの攻撃オフェンスは最初こそセーフティーでしたけれども、その後、3&スリー・アンドアウトに終わったことは一度もありません。ただ、いずれも惜しいミスが絡んでドライブが途切れています。ちょうど"MISCUEミスキュー"というまとめの映像が出て来ましたけれども」

「セーフティーの次のドライブは敵陣まで入りましたが、3rdサードツーのスクリーンパスをRBランニングバックがドロップ。非常にイージーなミスでしたね。捕った後のことを考えてしまったんだと思います。それからランでロングゲインをしたプレイではラインのホールディングもありました。10ヤード罰退でもったいなかったです。それとパスでゲインした後のトーンティング、これは全く余計な反則でしたね。確かにサイドラインに出てから守備ディフェンスに強く押されたので、レイトヒットだと思って、でもフラッグが投げられなかったのが不満で、相手に何か言ってしまったんでしょう」

「二つの反則は、その後で1stファーストダウンを更新できずにドライブが止まってしまいました。また攻撃オフェンスのフォルススタートも何度かありました。これから4回目のドライブですが、こういったミスをなくしていくことが大事ですね」

「そう思います。まだ4分以上残ってますから、3点でも取りたいですね。スーパーボウルの最大の逆転は28対3からというのがありますので、後半に期待できるでしょう」

「その逆転は2017年の第51回、ニューイングランド・ペイトリオッツとアトランタ・ファルコンズの対戦で、前半アトランタが21対3とリード、第3クォーターには28対3と更にリードを広げましたが、GOATグレーテスト・オブ・オールタイム、トム・ブレイディ率いるニューイングランドの攻撃が、ツーポイントコンバージョン2回を含む3本のTDタッチダウンと1本のFGフィールドゴールで同点に追い付き、オーバータイムで先に攻めてTDタッチダウンを獲って勝利という展開でした。ジャクソンビルはワイルドカードプレーオフでロサンゼルス・チャージャーズを相手に0対27からの逆転というのがあります。それを知っているファンの方は『まだまだだよ』と思っているかもしれませんけれども、相手は今シーズン得点力ナンバーワンのダラス・カウボーイズですから、この後の守備ディフェンスも頑張らないといけません」

「そうですね。ただ、先ほど説明いただいたアトランタも、そのシーズンで得点力ナンバーワンだったんですよ。第3クォーターTDタッチダウンを獲ってから、1点も入れられなかったのが敗因ですので、ニューイングランドの守備ディフェンスが頑張ったということですね」

「ジャクソンビルは同じような逆転を再現できるでしょうか。キックオフはタッチバックになりましたので、自陣25ヤードからの攻撃、第2クォーター残り4分21秒です。時間は十分にあります。ショットガン隊形で、レシーバーはツーバイツー。左の短いパス! 捕りました、RBランニングバックフレッチャー。サイドラインの外に出て6ヤードほどのゲイン。RBランニングバックをショートターゲットに使ってきました」

「はい、これは決め打ちだと思うんですけれども、外のレシーバーを真っ直ぐ走らせて、RBランニングバックフレッチャーは内から外へ行くというクロスのパターンなんですけれども、LBラインバッカーがマッチアップしていましたし、確実に捕れるパスなんで、こういうプレイでゲインを重ねて行けばいいと思います」

「またショットガン隊形。レシーバーはツーバイツー。ノーハドルですが、オーディブルでプレイを変えたようです。今度は右へのパス。ドーキンズ! 捕りました。タックルを一つ躱して、サイドラインへ逃れました。14、5ヤードのゲイン。1stファーストダウンを獲得。残り時間は3分30秒を切りました」

「いいプレイですね。このドライブではダラスのDBディフェンスバックがクッションを大きく取っているので、レシーバーは7、8ヤードのところで振り返って、パスをキャッチして、外へというルートでした。ダラスのこの守備ディフェンスは、FGフィールドゴールを1本蹴らせてもいいから、とにかく時間を使わせようということかもしれません」

「油断ということはないと思いますが、FGフィールドゴールも蹴らせないという守備ディフェンスにするとどうなるんでしょうか」

「そうするとDBディフェンスバックはレシーバーにタイトに付くことになりますが、奥へ走られるのが怖いんだと思います。ジャクソンビルは一発狙ってくる可能性がありますから」

「ショートパスで進むと見せかけて奥へ、ということでしょうか。自陣45ヤード。またショットガン隊形。レシーバーは左に3人固めています。スナップを受けて、QBクォーターバックは奥を見ている。しかし投げたのはのミドルゾーン。ダレイマス! 一人躱して、ロングゲインになった! 敵陣40ヤード超えたところで捕まりました。37ヤード付近でしょうか」

「いいプレイでしたね。ダレイマスは内側にいましたが、外へ走ってそこで止まると見せかけて、ドーキンズがDBディフェンスバックを奥へ連れて行った後にミドルゾーンへ走り込みました。ダラスの守備ディフェンスはゾーンだったんですが、その縫い目シームをうまく突きましたね」

「時計が進みます。3分を切りました。ショットガン隊形で、QBクォーターバックの左右にRBランニングバックを一人ずつ置いています。左のモスが右へモーションして、そこへ早いパスを投げましたが、これは捕まりました。ダラスの守備ディフェンスの出足が早かった。3ヤードのロス。スクリーンパスでしょうか」

「はい。前でレシーバーがブロックに失敗しましたね。止めたのはLBラインバッカーのパーキンズですが、スクリーンパスを読んでいたんだと思います」

2ndセカンド13サーティーン、残り時間は2分20秒を切っていますが、ツーミニッツワーニングの前にもう1プレイするでしょうか?」

「すると思いますね。ランプレイでもいいんですよ。ツーミニッツで時計が止まりますし、このドライブで得点を取れたとしても、ダラスに時間を残さないことが大事ですから」

「ショットガン隊形で、レシーバーはツーバイツーツーミニッツまで残り5秒でスナップを受けて、QBクォーターバックはまた奥を見ていますが、遅れてブリッツが来た。捕まるか? いや避けました。奥へパス! しかしこれは投げ捨てでした。サックを逃れました。ここで前半のツーミニッツワーニングに入ります」

「一発ロングパスを狙ってもいい状況でしたから、DBディフェンスバックは二人がディープを守っていました。それでターゲットが空かなかったですね。ショートゾーンへ投げてもよかったと思うんですけど。2プレイで13ヤードを獲ればいいですから」

3rdサードダウンで13ヤードが残りました。こうなるとダラスの守備ディフェンス1stファーストダウンを取らせなければいいということで、30ヤードライン辺りで待ち構えていればいいわけですね」

「そうなりますね。ただ35ヤードまで進めば、ジャクソンビルはFGフィールドゴールを蹴ってくるでしょうから、ダラスはそれでもいいとするのか。あるいは4thフォースダウンでも残り1ヤードか2ヤードだとギャンブルで1stファーストダウンを狙ってくるかもしれませんし、そう見せかけてオフサイドを誘う、というのもありますので、お互い何ヤード地点が狙い目なのか、考えどころだと思います」

「さてツーミニッツワーニングのオフィシャルタイムアウト中ですが、スタジアムの大型ディスプレイではまたVIPが紹介されています。今映っているのはブルガリアのテニスプレイヤーのユーリヤ・ドブレヴァですね。1月の全豪オープンで優勝して、今は休みなんでしょうか。他のツアーのゲームがあるはずですが」

「確か去年の全米オープンでも優勝したんじゃなかったですか。だから招待されたんですよね」

「予選を免除されているということかもしれません。それからこちらはルーマニアの体操選手シモナ・スタネスクです。まだ15歳ですが、去年の世界選手権、女子個人総合で金メダルでした」

「それもアメリカで行われた大会じゃなかったですか」

「確かマイアミだったと思います。スポーツ選手だけではなく、芸術の分野の方もたくさん呼ばれていまして、今映っているのはジョージアのバレリーナのケイティー・バティアシュヴィリです。日本にも公演で来たことがありますが、今年はアメリカでツアーをやっているとのことです」

「これ、座ってる席が判ってるのでカメラで撮れるんですかね。VIP席ではなくて一般席だと思いますけど、周りの人が気付いてる様子がないですが」

「アメリカ人というのは外国の有名人をさほど知らないということかもしれません。ヨーロッパのサッカーで有名な選手でも全く気付かれないこともあるそうですから」

「アメリカのスポーツと芸能だけで、有名人が多すぎるからでしょうか」

「さあ、ツーミニッツワーニングが明けまして、ジャクソンビルの攻撃オフェンス再開です。残り1分57秒。敵陣40ヤードから3rdサード13サーティーン。ショットガン隊形で、レシーバーはツーバイツー。右から左に一人モーション。ダラスは6人でブリッツ! ナイトはうまく躱して、ワンバンプ入れてから、左へパス! ドーキンズ、通った! 通りました。見事なジャンピングキャッチ。走りながら身体を捻って、背面跳びの体勢から頭越しに片手でキャッチ。背中からフィールドに落ちてもボールを放しませんでした。敵陣25ヤード付近で1stファーストダウンを獲得」

「スーパープレイ、出ましたね。ブリッツが入ったのでワンオンワンのタイトカバーだったんですが、きっちりブレイクしました。ドーキンズでなければ捕れなかったですね。見事です」

「残り時間は1分40秒を切ります。しかしまだ時間はあります。ここでランプレーというのはあるでしょうか?」

「ありますね。ショットガンからのハンドオフもありますし、WRワイドレシーバーのエンドアラウンドも考えられます。ここまで来ればゲインが少なくてもいいんですよ。FGフィールドゴールはほぼ確実ですし、ダラスに攻撃時間を残さない方が大事ですから」

「敵陣25ヤードから1stファースト10テン。残り1分30秒。ショットガン隊形で、レシーバーは右に3人、左に一人。リッキー・モスにハンドオフして、右のオフタックルを抜けた! ロングゲインになる! 10ヤード付近で捕まりました。1stファーストダウンを獲得。サイドラインを出なかったのはわざとでしょうか?」

「そうですね。時計を進めるためだと思います。選手はよく解ってますね」

「まだ1分以上残っています。ここで一度パスを投げるでしょうか」

「難しいところです。エンドゾーンに近付いたので、エリアが狭まって、パスが守りやすくなりましたから。しかし奥の隅、コフィンコーナーへ1本投げてみるというのはあると思います」

「エンドゾーンまで10ヤードで1stファースト10テン。ショットガン隊形で、レシーバーはまたツーバイツー。残り1分を切りました。早いタイミングでパス! ダレイマスへ通ったか? 落とした! いや、ダラスの選手がボールを持っていて、インターセプトをアピールしているようです」

「ダレイマスが捕ったボールを掻き出されて、一度フィールドにヒットしたように見えましたので、パス失敗と思うんですが、違うんでしょうか」

「審判のシグナルはタッチバックです。やはりインターセプトということでしょうか?」

「ビデオが出ました。ダレイマスの胸にボールが入ったんですが、パンチングされて、落としたのが……ダラスの選手の足の甲に当たって跳ねたんですか? それを他の選手がキャッチしたのでインターセプトということでしょうか」

「ターンオーバーなのでオフィシャルレビューがあると思いますが、判定が確認されますとタッチバックということになります」

「別角度からのビデオも出ていますが、これは明らかに足に当たって跳ねたのが解りますね。レビューをしても覆らないと思います」

「場内で歓声が沸き上がっていますが、これはダラスファンですね。ジャクソンビルは10ヤードまで迫りながら得点できませんでした。逆にダラスには50秒の時間が残りました」

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