王太子撲殺から始まるムキムキ領主生活 〜わけあって女装プレイをしていたら民の忠誠度がとんでもないことに〜
ナナハシ
第一章 〜いかにして王太子は殺されたか〜
第1話 王太子、撲殺事件!
俺の名前は公野乙春。
17歳の普通の高校生だ。
ちょっと訳あって、AROというVRゲームで公爵令嬢をやっている。
しとやかなピンク色のドレスを着て、右手に金塊を握っている。
そして……。
――ガッシャーン!
天上高くに吹っ飛んだ王太子さまを、間抜けな顔でポカーンと見上げていた。
「あー」
大広間に吊るされた巨大なシャンデリアに激突した王太子は、そこから絡み合うようにして落っこちてくる。
――グワガラーン! ガチャーン!
「グフー!」
そして夥しい地形ダメージを食らい、口から盛大に血を吹き出して絶命した。
――パリーン!
速やかに、ポリゴンのかけらとなって消滅する王太子。
【王太子ジョーンを倒した。250の経験値を獲得しました】
大広間に訪れる静寂。
やがて。
「まあ! ジョーン様!」
いわゆる1つのヒロインさまが、すでに存在しないはずの王太子の下へと駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか! ほっぺたが赤くなっていますよ!?」
そして何もない空間に向かって声をかけ、見えない王太子をゆすり起こそうとする。
純白のドレスに、ゆるふわ系のピンクブロンドが良く映える彼女は、王国全体に回復力促進の効果をもたらす聖女。
AIによって動かされている、重要NPCのエルマ子爵令嬢だ。
「え……」
俺はその姿を見て動揺した。
まるで、王太子の消滅を受け入れられずに狂ってしまったみたいだ……。
「えーとぉ……」
――ワイワイ、ガヤガヤ。
国家の一大事にも関わらず、誰もそれを気にとめていない。
今は王太子の誕生日を祝う晩餐の席だが、王様も王妃様も、椅子に座ったまま呑気に歓談している。
聖女様だけが必死になって、誰もいない床に向かって声をかけている……。
これってつまり……。
「バグった!?」
ARO――オールランク・オンライン。
それはあらゆる身分・職業からプレイを開始できる、自由過ぎるVRMMOである!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます