未言少女ゆらの*とはゑ

奈月遥

第0話 前日譚から少女たちの物語へ

幕前

 二つの前日譚で育まれた愛は、それぞれに奇跡として芽吹いた。

 霧で隠されて存在を否定された世界の欠片たちは、自分達をまた見つけてくれる命の誕生を歓び、祝い、讃える。


 響乃ゆらの。インクを水に落としたように、水滴や音が瞬く間に広がり辺りに染み込む様子。また、そのように一つの言葉や発想から創作の世界観が瞬く間に構築されること。響きが乃ち依報の境となる。

 それは一念に拡がる生の色。


 永久会とはゑ。何度生まれ変わろうとも必ず再び出逢うこと、またはそのような絆。旅する男を、女は永久会を祈り信じて見送る。

 それは久遠に満ちる命の詩。


 そして二人の少女は出逢いを迎え、未言みことを見つけていく。

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