第693話 キトリーの追求
リュークは自身の能力に自信がなくなり、去ったという事に。
そんな事はないはずだと誰もが思ううのだが、特にパーティを離れたとはいえ、時々合流してくれるアルフォンシーナがリュークの事柄に関して否定しなかったので、皆引き下がった。一人を除いて。
魔術師キトリーである。
彼女はクサーヴァーが時々いなくなったり、密かにアルフォンシーナと接触している事に気が付いており、しかも時々女性3人を変な目で見ていたり、きつく当たったり、明らかにいやらしい感じでにやにや笑いをしているのを目撃していたが、他の2人は嫌がっていたが、キトリーはクサーヴァーの目が時に苦しそうであったり、わざとらしかったり、そしてにやついている時もその目が一度も笑っていない事を見抜いていた。
「何でよクサーヴァー!あんたが何か私らに隠して何かやってるって気が付いてたのよ!私は密かにアルフォンシーナ様に相談したわ!だけどいつもはぐらされたわ!何で相談してくれなかったのよ!!」
そういうキトリーは泣いていた。
しかもキトリーがなぜこのように怒っているのか、皆知っていた。
3人の女性のうち、キトリーだけは独身を貫いていたのも、全てキトリーとクサーヴァーがお互いに好きあっていた事を知っているからだ。
そしてクサーヴァーの裏切り。
ある日魔王を追い詰めてあと一歩で仕留められる、というその時、クサーヴァーは突然裏切ったのだ。
そのせいでライナスは深手を負い、しかもドラゴンの生息地に飛ばされてしまい、命からがら脱出したのだ。
そして出会ったシラカワ侯爵。
ヨーリスがかろうじてゲートを取り出し、全員ゲートに入り脱出できたからだが、その先はシラカワ侯爵の館のゲート部屋。
侵入者と思われ、面識のなかった女性3人はシラカワ侯爵に捕獲されシラカワ侯爵がゲートを辿らなければ今頃3人の命はなかったであろう、と。
しかもこの後、この場に何故かいたアルフォンシーナ・アメリータ親子のおかげで胸・乳房の再生・再建と、肩の烙印の呪いの解除をしてくれた事で、自由を得た3人。
その後キトリーはアルフォンシーナを問い詰め、恐らく今回のクサーヴァーの裏切りは、シラカワ侯爵と3人の女性を合わせる事が目的で、しかも今魔王を仕留めても意味をなさない事を伝えられ、ショックを受ける。
そして、他のメンバーには秘密だが、クサーヴァーはある密命を受けており、それはおそらく魔王をただ仕留めるだけではなく、仕留めても数年後には復活する魔王、その復活をさせないように仕留める策を講じているはずといわれ、ある意味納得をするものの、
「何ですかそれ!もっとやり方があったでしょうに!それにリュークの事もあります!今も行方不明なのでしょう!本当に必要な事だったのですか!」
「キトリー、貴女は勇者パーティにあって一番賢いわ。ずっとクサーヴァーと行動を共にしたからわかるでしょうが、彼は本来の実力の半分も出していないのよ?恐らく本気を出せば彼一人でも魔王を討伐できるでしょう。ですが何かあって、これは言えませんが、その指示に従っているのです。」
「何でよ!」
後にクサーヴァーの抜けた穴を彼女が埋める事になるのだが、彼女は冒険者としての実力も優秀で、その後再び魔王を追い詰める原動力となる。
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