第690話 聖女様はリュークを連れてくる
聖女アルフォンシーナを加えた急増勇者パーティ、クサーヴァー・ヨーリス・ライナス・アルフォンシーナであったが、このままではレベルが低すぎて話にならず、外でレベル上げをする事に。
この頃にはアルフォンシーナの娘・アメリータは別行動を。
そして勇者一行は時に野宿、時には町で・街で宿に泊まったり。
そして時折宿に泊まるとクサーヴァーの姿が見えない時があったが、
「あいつ何だかそわそわして、『金があるんだから察しろよ!』と言って居なくなるんですよ。いいんですかね聖女様。」
目ざといライナスは時々いなくなるクサーヴァーを疑問に思うのだが、アルフォンシーナは
「少しぐらい大目に見てあげなさい。まあ彼も男の子ですから。」
「何故聖女様はいつもあいつの肩を持つのですか!」
「ライナス、人にはそれぞれ役割というものがあります。そして
クサーヴァーには、彼の役目というものが存在しています。ですので、見て見ぬふりをしてあげるのです。」
聖女はそういうが、意味が全く分からない。
「聖女様、僕には理解できません。その役目って何ですか?いつも一人で勝手に消えるし、常に主導権を握ろうとしているし。」
そしてじっと見ていたヨーリスは
「まあライナス、クサーヴァーはなんだかんだ言って孤児院で暮らした仲じゃないか。少しは信じてやらないと。もともとあいつは自分で仕切りたがっていたし、孤児院にいる間にも時々姿を消していたじゃないか。いまさら聞いしても仕方がないさ。」
納得していないライナスだが、これ以上追及しても何も進展がないのを悟り、諦めて出直す。
こんな事を繰り返しているうちに、ある日クサーヴァーは聖女を伴って出ていく。
「おいヨーリス、今度は聖女様を巻き込んだぞ!いいのかあんなの放っといて。」
「しかしライナス、聖女様は問題ないと言ってるぞ。」
クサーヴァーが聖女と出かけると聞き、ライナスはやめさせようと聖女に詰め寄ったのだが、
【問題ありません。自分の身は自分で守れますから、気にせずに。それよりそろそろアイテムの補充を行っておいて下さい。ポーションがもう手持ちにほとんどないはず。】
今ヨーリスとライナスは、言いつけ通りに買い物をしていた。
その間にクサーヴァーは聖女を伴い出かけていた。
そして暫くして、一人の青年を伴って戻ってきたので、2人は驚いた。
「聖女様、その青年は誰ですか?」
人のよさそうなその青年。いったい誰?
「彼はリュークというそうですが、どうやら記憶をなくしているようです。魔法を使えるようですので、今後は私たちのパーティで活動してもらいます。」
驚く2人。
2人に、特にこのパーティは勇者たるヨーリスを中心としたパーティのはずなので、ヨーリスに相談もなくパーティメンバーを増やすとか、あり得ない!そう思っているライナスだが、
「彼は魔王を討伐するのに必要な人材ですから。」
そう言って聖女様はリュークなる人物を置いて、何処かへ消えていきました。
「あ、あの僕、リュークといいます。本当は自分の名前も覚えてませんが、持ち物からリュークという名前とわかりましたので。今後ともよろしくお願いします。」
2人は唖然としてしまった。
既に話が付いている。
「聖女様も困ったお方だ。まあしばらく様子を見よう。僕はライナス。こっちはヨーリスだ。」
こうしてリュークを加えたパーティが出来上がったのだった。
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