第592話 素材の”声”

おっさん材料を取り出し・・・・どうしようと思ったんだけどね、なんか勝手に炉の中で・・・・混ざったみたいなんだよね・・・・え?なんで?

「まあ・・・・素材が歓喜で満ち溢れておりますわ。流石はマスター。素材の声を超越し、素材そのものを自在に操っているのですもの。」

「なあ意味が分からんけど?」

「そうですか?まあつまりはですね・・・・普通は素材の長所を生かそうとしますが・・・・マスターのはそうではないのでしょう。つまり素材が自らの判断で、一番良い状態になるべく、自ら意思を持って行動しているのですよ。無機質の物のはずなのですが・・・・それがマスターの力により、有機質になってしまっているのですわ。これがマスターの・・・・シラカワソードなのですね。」


・・・・なんの事だかさっぱり分からん・・・・

ちなみに今は炉を開けっ放しにしながら高火力で素材を溶かしてるんだけど、あ、普通そんな事したらね、熱が逃げたり、その熱が周りにね・・・・だけどおっさんの魔法でいかようにもなるんだよね。

で・・・・さすがに素材がああして混ぜあってるから・・・・もうおっさんのする事は、現段階ではないので、炉を締め切ってさらに加熱を。


そしてどれだけ時間が経ったかわからないけれど・・・・


《完全に融合しましたので、そろそろ次の段階へ・・・・》

「うん?和佳なんか言った?」

「いえ、私は何も・・・・まさかとは思いますが、素材の”声”でしょうか?」

「え?そう言えば今までもそういう事言ってたよね?だけど知らないんだよ。おっさん自己流だからね・・・・」


【間違いなく素材の声ですわ。ただ・・・・これはスキルでどうこうできる部類ではないので、完全にマスターの才能でしょう。マスターはスキルに頼った、スキル一辺倒の人物と思われがちですが・・・・真に恐ろしいのは、素材が自らの意思でマスターのために全力を尽くしている、これに尽きますわ。普通あり得ませんし・・・・それに、私は炉の中も確認できますが、すさまじい魔力でもってして素材に新たな生命が与えられようとしていますわ。惜しむならば・・・・マスターにこう言った事に関しての”欲”がない事ですわ。もっと貪欲になってもよろしいのに・・・・まあ、これがマスターらしさと言えばそれまでですけどね・・・・】


おっさん和佳がそんな事を考えているとは夢にも思わず、炉を開けて素材を取り出すことにしたよ。

さて・・・・おっさん専用回復魔道具・・・・なんだっけ?

「マスター、”回復くんいちごう”ですわ。」

「あれ?なんでわかるの?」

「秘書ですから♪」


そうなのか?これが秘書の能力?

おっさん制御を中に入っている精霊さんにお任せにし、早速炉を開け、素材を取り出したよ。

だけど・・・・あれ?なんか・・・・多くない?こんなに入れてた?


そこには数十振り打てるのじゃないかと思われるほどの大量の素材があった・・・・

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