第582話 え?双剣キラスとキウス、本人(精霊)が直接渡すの?

城の人がおっさんの所へやってきて、今から来るように連絡をしにきたよ。

「マスター行きましょうか?」

そう言って先にゲートで城へ行っちゃった秘書さん。いやあ和佳って本当容赦ないね。

あ、剣、と思ったけど、何故かキラスとキウス自身が直接持って行くらしい。

あれ?剣の中に戻らんの?

「よいのですよ??(戻れないのですよ、子を産むまで・・・・)」

「そう言う事ですので、このまま行きますよ?(あの子アークマスターに伝えてないのね・・・・顕在化している精霊が妊娠すれば、腹の子を産むまで剣に戻れないって。)」


よく分からんまま2人?は自分の本体を持って行っちゃったよ。


・・・・

・・・

・・


おっさんがゲートで移動すると、エルヴィーラが待っていて、抱きついてきた。

「旦那さまお帰りなさいまし!今日は私のターンですから!」

何が私のターンなんだ?

「元気そうでよかったよ。あ、そうそう、この2振りの剣を紹介するよ。」


おっさんそう言ったんだけど、

「もう紹介してもらいましたわ。父上に会うのはもう少し先でしょう?」

「え?今すぐじゃないの?」

「なんだかんだでもう暫くかかりそうですわ。ですので・・・・」

そう言うが早いか、エルヴィーラ、おっさんを捕獲し、どこぞへと連れ去って行ったよ。

あ、いい匂い・・・・

そんな事を思いながら、また絶倫さんのお世話に・・・・


そしてエルヴィーラに抱きつく形で朽ち果てていたおっさんを、和佳さん容赦なく引っ立ててったよ。

あ、服・・・・とか思ったんだけど、どうやってかおっさんいつの間にか服を着させられてたよ。

和佳さん貴女何者ですか?

「え?秘書ですよ?」

うわ・・・・その一言で片付くんですか?


そしていつもの謁見の間ではなく・・・・

「なあ和佳さんや。」

「何でしょう、マスター?」

「何処に行くの?」

「え?今現在皇帝陛下のいらっしゃる場所ですよ?」

「何で謁見の間じゃないの?おっさんアポ取って皇帝と会う時は、必ず謁見の間なんだけど?」

「ええと、もしかして何も聞かされていないのでしょうか?」

「うん?何の事?」

「皇帝陛下は死の淵に立っておられます。」

え?何それ?聞いてないよ?ほんのちょっと前までダンジョンで暴れてたじゃないか!

「どういう事だ?殺しても死ななさそうなあいつが、今更病気とか有り得ないんだけど?」

あれ?そう言えば最近領地の温泉にこないなあとかは思ってたんだけどね?

まあエルヴィーラも城にいるし、孫見におっさんの領地に来る必要が無かったから忘れてたけど。


・・・・

・・・

・・


今おっさんは皇帝の前にいる。

「何してんだよ?」

「見て分からんのか?死にかけてるんだ!」


そう言う皇帝の言葉に力はなく、死相がはっきりと出ていた。

「何だよもう逝くのか?」

「まだ逝かねえよ?」

「・・・・エリクサーか、この珠使えば・・・・死なずに済むぞ?」

「・・・・エリクサーは兎に角、その珠使えば人間やめねえといけねえんだろ?そんなのをホイホイ出すんじゃねえ!」

「・・・・この異世界でおっさんと言い合えるのって、あんたぐらいだったんだけどなあ。」

「それはこっちのセリフだ!皆なんだかんだ言って遠慮するからな。そうしなかったのはてめえぐれえだ。で、今日は何しに来やがった?」

「ああ、剣を打ったのでな、あんたにやろうと思って持って・・・・自分でやって来た?」

「あ?何だよ自分でやって来たって?」

「あ、紹介するよ。双剣キラスとキウス、精霊剣だ。今後セアリアス帝国を守護してくれるだろう。」

2人は剣を持ったまま・・・・まああれが本体だしね・・・・皇帝の前にやって来た。

「精霊キラスですわ、マスター。」

「私は精霊キウスですわ、マスター。」

「あ?てめえら精霊か?それに・・・・その剣からはどんでもない力を感じるな。ちょっと見せて見ろ。」

そう皇帝に言われ、2人はそれぞれ本体を差し出す。

紅い剣から受け取り、鞘から出す皇帝。そして今度は蒼い剣を受け取り、鞘から出し、2振りの剣を交差させる。


「・・・・確かに受け取った。俺は疲れた。しばらく寝る。精霊はこの場に残れ。」

おっさんは和佳と共にこの場から去ったよ。

こののち暫くして・・・・こうして遂におっさんの喧嘩相手の皇帝は、その生涯を閉じたよ。
































【死んでねえし!勝手に殺すなよ!】


あれ?あのパターンは死んだと思ったんだがな・・・・

しぶとさが身上の皇帝は、死ななかったよ。

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