第553話 切られたはずなのに

「きゃあ!ご・・・・ごめんなさいごめんなさい!」


驚いたフレドリカが、おっさんを押し倒している形だ。

何せ剣でズバッとの後、おっさんにぶつかっちゃったからね、そのまま2人して倒れちゃったよ。

ああ・・・・剣、豪快におっさんを切りつけたな・・・・

回復させないと・・・・と思うんだけど、あれ?痛くない?


確かに剣がおっさんお体に可也食い込んでたよ?

おっさんの服、相当防御力あるはずなんだけど、それを突破してね・・・・

剣先20センチぐらいだと思うから、下手したらおっさん真っ二つになってたはず。

だけどね・・・・

念の為、起き上がってみる。

うーん・・・・普通に起き上がれるよな?


目の前のフレドリカも一緒に助け起こし・・・・うわ、泣きじゃくってるじゃないか・・・・安心させてあげないとね。

あれ?お互い剣どこ行った?まあいいや。

「ええとフレドリカ、怪我してないかい?」

「ごめんなさいごめ・・・・あら?シラカワ様?起き上がっても大丈夫なのですか?」

「ああ、何だか大丈夫みたいだ。流石はおっさんシリーズの服だよ。怪我してないっぽいし。」

「よ・・・・よかったです。明らかにあの剣で切りつけてしまったので・・・・あの、剣は何処へ?」


2人して見渡すけどない。もしかして勝手に引っ込んだ?

念のため念じて見る・・・・出てきた。フレドリカも同様にだ。


「勝手に引っ込んだみたいだな。今更なんだけど、何だろうね、この剣。」


この頃には今ここにいる全員がおっさんとフレドリカ、そして自身の剣を見ている。

だけど、カトリーンだけは何か違う。あ、剣がないからか?

「主よ、その剣なんじゃがな・・・・精霊様がおられるのではないかえ?」

「どうしたんだカトリーン?」

「恐らくじゃが、主のその所持しておる剣もそうじゃが、他の4振りの剣にも今、姿の見えずにおる精霊様がおられるのではないかと思ったのじゃ。何やら気配もするしのう。」

《そうなのか?》

おっさん無意識に頭の中の声に語り掛けてたよ。

【気が付いていただき感謝ですわ。先ほどから何度か語り合いましたが、まさか気が付かれておられないとは・・・・】

《ああ、そう言われれば、何かと会話してたな。君だったのか?》

【はい、左様でございますわ。今はマスターの所持しておられる剣の中には複数の精霊が常駐していますの。顕在化にはしばらく魔力を蓄える必要がありますので、もう暫くお待ち下さいまし。それと、他の4振りの剣に入り込んでいる精霊ですが、現在の剣の所有者様の魔力を各々精霊が取り込む必要がありますので、今しばらくお待ち下しまし。あ、ただいまの会話は皆さまにも聞こえるようにいたしましたので、説明は不要かと存じますの。】

・・・・ええと?何が起こってるんだ?

「ほう・・・・主は精霊様と語っておられたのじゃな。流石は主じゃ!」

へ?そうなのカトリーン?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る