第540話 精霊 Side 1

Side 精霊's


話は少し前に戻り・・・・


おっさんの領地からフェンリルが去って久しく、フェンリルは十六夜の元でガルムと共に暮らしているせいで、魔獣の空白地帯が生まれてそこそこ時間が経つ。


フェンリルほどの魔獣が去っても、数十年は他の強い魔獣は寄り付かないのだが、たまたまこの森を散策していた?精霊たちが、フェンリルの不在を不思議がり、これは何とした事か!と、好奇心旺盛で調べ始めたらしい。


すると、元々この付近に住んでいた精霊と接触、説明を受ける。


フェンリルが人間に負け、テイムされた、と。


驚く精霊達。


何せ人間がフェンリルを討伐などありえないし、さらにテイムするなんて、レベルの差で出来ないでしょ?


ああ、テイムに特化している人間がいたのね?

そう思っていると、フェンリルは、驚く事にたった一人の人間の手によって討伐、テイムされたとか。


そんな事信じられない・・・・


そう思っていると、近くのダンジョンにその人物がやってくるようになったのだとか。


今はそのダンジョン近くの、人の住む街に住んでいるようで、私たち精霊はあまり人の多い場所へは行きたくないので、ダンジョン付近で待ってみる事に。


幸いフェンリルの住んでいた場所から近く、この状態であれば精神力(魔力)が切れる心配はなさそう。


すると・・・・その男はいた。

何かもめているようだけど・・・・


私たちは見た。Gをテイムしているのを。

うわさに聞いていたフェンリルを使役しているのは間違いなさそう。

いくらGとはいえ、あれだけの数を一度に扱うのはおかしすぎる。

私たちはこっそりと後を追い、そこそこ大きな建物に入っていくその男を追尾。


どうやら建物の中でGを解放したらしい。


戻るGを捕まえ問いただす。


『お、姉さん方どうしたんですかい?精霊様が俺っちに用なんて聞いた事ねえっすけど?』


『君を使役していたあの男の事だ。』


『ああ、あの人ですかい?俺っちのご先祖様がずいぶんお世話になったらしくってね。呼ばれた後、言う事を聞けばいつもご馳走をふるまってくれたんすよね。今回もそうらしくって。あ、おいしい餌食べたいんで、この辺で、では!!』


ちなみにこのゴキチャンのご先祖様は、ここの領主のいる場所へ頑張ってついてきたらしい。


・・・・精神力はまだまだたっぷりある。どうする?

ここで4体の精霊が行動を共にする。

4体を一つに紐づけすれば、数か月はこの世界に留まる事ができる。


やるしかない!


この男に気がつかれないよう、こっそり中に入る。


「え?誰か何か言いました?」


「何を言うておるのじゃ?何も・・・・何か空気がおかしいが、何もないぞえ?」


「そう?ならいいけど。」



気が付かなかったようだ。


そしてこの男は強かった。

ダンジョンの奥へどんどん向かっていく。


道中私達にとって住みやすい鉱物がいくつか見つかり、どうやらこの男は剣を打つ事ができるらしい・・・・


もしや、私達の仮宿を作ってもらえるのでは?

そう、例えば剣だ。

昔から精霊が人の世界に留まり続けたいと願えば、剣に入り込むのが一番負担が少ない。


なのでばれない範囲でこの男に助言を。


時々頭の声がとか言って不思議がっているが気にしない。


そしてこのダンジョンは、オリハルコン・アダマンタイン(アダマンタイト)・ヒヒイロカネ・・・3つが揃っていた。


ミスリルでもいいのですが、私達高位の精霊では、素材が悲鳴を上げてしまいます。


幸い3種の鉱物の配合は私は知っているので、この男にやってもらいましょう。幸い竜族の女も一緒にいる事ですし、ブレスでね・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る