第320話 カトリーンの出産

「流石は主じゃな!妾の出産に立ち会ってくれるのじゃな!」

「え!カトリーン、お腹がかなり大きいなあとは思ってたけど、もう臨月?」

「そうなのじゃ!もう子宮口がかなり開いてきておるのう。」

・・・・こんな所にきてはいけないやん!


「あ・・・ひょっとして陣痛も来てる?」

「少し前からあったりなかったりじゃな。流石は主じゃな。伊達に何人も孕ませてはおらぬようじゃな。」


・・・・どう反応したら?

そう思ってたらデカいドラゴンが口をきいたよ。

「カトリーン、さあ、早く戻るのです。」

このドラゴン、雌か・・・・そう思ってたら、目が合ったよ。

「其方がカトリーンの伴侶かのう?」

「あーそうだけど、あんたは誰?」

「これは申し遅れた様ですね。わたくしはカトリーンの母です。」

げ!そう言えばカトリーンからそういった事は聞いた事がなかったな。

「そ・・・・それは・・・・えー白河小次郎です。」

「まあ、色々お話もしたいのですけれど、娘を連れて行きたいのですが、よろしいか?」

「あ、どうぞ。」

「さあカトリーン、乗りなさい。そなたら、この方々を乗せてついてまいれ。」


そう言ってカトリーンがドラゴンの背に乗ると、さっさと行ってしまったよ。

「主よ―待ってお・・は・・・」

あ、途中で何言ってるのか聞こえなくなった・・・・。


む、ドラゴンが数匹近付いてくる。

「さあ、シラカワ殿、我らの背に乗って下され。」

「あ、ちょっと待ってて。この2人を送ってくるから。」

おっさんそう言って勇者たちの方に向かって話しかけたよ。

「まあ、という訳でここがドラゴンの里だよ。あれ?そういう名前か??あれ?まあカトリーンの里で間違いないんだけど。まあ君達には関係なさそうだし、君たちの連れと合流するかい?」

「出来ればお願いいたします。」

ヨーリス君がそう言ったよ。

「よっしゃ、じゃあゲート使うか。先に行くからついてきなさい。」

おっさん先にゲートで館に戻り、ジスラン君に説明して、現れた勇者たちをジスラン君に任せて一人でカトリーンの元に向かったよ。


・・・・

・・・

・・



おっさんドラゴンの背に乗せてもらい、カトリーンの所へ向かったんだけど、やたらデカい建物が・・・デカいというか広い?に降り立ち案内を受けて、カトリーンの所へ向かったよ。


「主よ・・・・来てくれて嬉しいのじゃ!」

既にカトリーンは分娩台?で股を広げて出産の準備をしていたよ。

もうそんなに子宮口開いてるの?

どうやらカトリーン、かなり苦しそうな感じで、さっきまではかなり無理してたんじゃなかろうか?

そう思ってふと見ると、カトリーンによく似た女性が・・・助産師か何かかな?

出産の準備をしてるのに気が付いてね・・・・

もしかしてさっきのドラゴン?


・・・・

・・・

・・


暫くして無事男の子を出産したカトリーン。

取り敢えず人の形で生まれてくれたから安心したよ。

ドラゴンの姿だったらどうしようかって思っちゃったからね。

「カトリーン頑張ったね。」

真っ青な顔をしてるけど、落ち着いた顔つきのカトリーン。

「主よ・・・妾は・・・・頑張ったのじゃ・・・・」

「うん・・・良かった・・・・」


何度見ても出産の立合いは感動するよ。そして力尽きたのか、カトリーンは寝てしまったよ。そして気が付いたら、カトリーンによく似た顔の女性が、産まれたばかりの赤ちゃんを抱いていて、おっさんに見せてくれたよ。

「さあシラカワ殿、息子を抱いてみますか?」

「ありがとう、うん、そうさせてもらうよ。」

いやー産まれたての赤ちゃんはやはり小さい。そしてうつらうつらしてたようだけど、カトリーンがいつの間にか起きてこっちを見ていてね。

上体を起こしてもよさそうだったので、おっさんそのままカトリーンに赤ちゃんを渡したよ。

いやー幸せそうな顔をしてたよ。

「流石、主と妾の子じゃな!よい顔つきをしておるのじゃあ。」

そしてカトリーンは赤ちゃんをこの女性に渡して、また寝たよ。


・・・・

・・・

・・


しばらくして、この女性がおっさんに話しかけてきてね。

「この姿では初めましてでしょうか、カトリーンの母です。」

・・・・顔が似てると思ったけど、この女性がお義母さんか・・・・若いな、顔つきが。どう見てもカトリーンの姉にしか見えん。

「えーカトリーンの姉ではなく、お母さん?」

「まあ嬉しい事を言ってくれる事。我らは人間とは違い寿命が長い。それ故老けにくいのですよ、シラカワ殿。」

・・・・どう見てもおばあちゃんって感じじゃないんだよ。


その後しばらくこの・・・お義母さんと話をした後、屋敷に戻る事にしたよ。勇者パーティの事も心配だからね。それに幾つか気になる事もあるし。


・・・・

・・・

・・



「申し訳ないですが、一度戻ります。」

「わかりました。娘は暫くは里で過ごす事になります。また来てあげてください。」


おっさん、既に設置してあるゲートで戻る事にして、ヨーリス君たちが使ったゲートは回収しておいたよ。

そして、おっさん、ゲートで館に戻ったよ。

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