第299話 妻たちの今後

「旦那様、少し宜しいでしょうか?」

うん?珍しく十六夜が何かあるみたい。

「何だい、十六夜、珍しいな、こういった場所で何か言うのって。」

「そうですね、あまりこういった場で話す事はなかったですね。」

どうやら十六夜というより、夜叉の3人が話したい事があるみたいで。


「私達3人、一度夜叉の国に帰りたいと思ってるのだが、駄目だろうか?」

「突然どうしたの?」

何だか十六夜恥ずかしそうにしてるんだけど、そんな恥ずかしいの?

「お姉さま、ここは私が言いましょうか?」

「月女、お願いします。」

「旦那様、私達3人話し合ったのですけれど、3人共妊娠いたしましたので、出来れば夜叉の国で出産をしたいと思いまして。」

あーそういえばエルフの里でカトリーンと十六夜たちに囲まれて拉致られちゃって、その後・・・・

恐るべしエルフの秘薬!

「あーその何だ、妊娠おめでとう、でいいのかな?」

「勿論だよ、旦那様!人間と夜叉では中々子が授からないんだよ!尤も夜叉自体が妊娠しにくいんだけどさ!」

紅渚、さらっと凄い事言うね。その妊娠しにくい夜叉が3人共妊娠したんだからやっぱり秘薬はすごすぎる!

「で、何で3人共夜叉の国・・・おっさんよく知らないけどさ・・・・に何故戻るのかが分からないんだけど?」

「人間と夜叉では出産に対する考えの違いでしょうか?夜叉の女性は皆、国で出産するのですよ、旦那様。」

うーん、月女のいう事を考えると、里帰り出産というやつか?

「戻るのはいいけど、今妊娠初期だろう?すぐに戻るのかい?」

「あの船を使わせてもらえれば問題ない。この十六夜、たとえ旦那様と離れていても心は常に旦那様と共にある。勿論月女も紅渚もだ。」

・・・・そんな事言われれば反対するわけにはいかないよな。

「わかったよ。準備ができたら出発できるようにしとくよ。」

3人、最近は殆どシラカワ領にはいなかったから、そんなでも無いけど、すぐに会えない所に行くというのは少し寂しいな。


そう思ってたら、今度はカトリーンが。

「主よ、皆が主から離れるようで言いにくいのじゃが、妾も一度里に帰らせてほしいのじゃが、駄目かのう?」

・・・・そうだった、カトリーンは十六夜によって召喚させられて無理やりこっちに来たんだよな。


「その、何だ、カトリーン、ごめんよ・・・・」

「今更だが、申し訳ない。カトリーン殿を無理やり召喚したのは私・・・・ごめんなさい・・・・」

「十六夜殿よ、気にするでない。そなたが妾を召喚してくれたおかげで、こうして主とめぐりあい、さらには腹に子を授かった。感謝こそすれどもその事を恨んだことは一度としてないぞ。」

・・・・カトリーン、なんてできた女性なんだ。おっさん泣けてくるよ。

「じゃが流石に妊娠しておるのでな、一度里に戻って報告せねばなるまいて。」

「あー夜叉の国もそうだけど、カトリーンの所は竜国だっけ?どんな所なの?」

「ふむ、妾の国は力がすべてじゃ!強い者が優遇されておるのう。」

「じゃあ弱者はどうなのよ?」

「無論弱きものを一方的に襲ったりといった野蛮な事はないぞ。それなりの決め事もある故な。」

うーん、とんでもない所だ・・・・

「わかったよ。やっぱり船で行く?」

「そうじゃのう。竜になるのは妊娠中は避けたいしのう?しばし・・・そうじゃな、十六夜たちが出立する時に妾も乗せてもらおうかのう。」

「わかったよ、じゃあ4人とも、久しぶりの国だと思うけど、たまには羽を伸ばしてね。」


そしてさらに珍しく、香苗ちゃんも何かあるようでね。

「旦那様?あの、言いにくいんだけど、私もっと料理を学びたいんだけど、どこかでいい料理人居ないかしら?」

「ごめん、それに関しては全く知識がないよ。むしろロニーさんやオリアーナ、リュシエンヌとかの方が詳しいんじゃないかな?」


そう言って商人の親子と公爵親子に話を振ったら、どちらも心当たりがあるようで、香苗ちゃんとリュシエンヌとオリアーナで別の機会に話をする事になったよ。

うーん、香苗ちゃんはスキルがあるから何作ってもおいしいんだけど、最近流入してくるインダルチャンス王国からの難民の中にも料理のスキル持ちの料理人が何人かいるんだよね。

そう言った料理人と香苗ちゃんは色々交流があるみたいで、刺激を受けたのかな?

・・・・

・・・

・・


こうして後は色々あまりおっさん個人に関係ない話もあったけど、話し合いは終わったよ。


ふと思ったら、気が付けばあれ?女性陣のほとんどはおっさんから暫く離れる?

今までこんな事なかったなあ?

どうなるんだろうね?

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