第289話 覚悟を決めないといけません

まあ、聞いた話と報告を受けた内容が少し違ってるけど、インダルチャンス王国の軍事施設はかなりひどい状態みたいだし、街も彼方此方燃えてしまってもう住めない場所も多いらしくてね。

その所為で焼け出されてこっちに逃げてきた人々がかなりいるみたいなんだよ。

身1つで来てる人もちらほらいるし。

何かしらの職人はすぐに働く場所を提供して頑張ってもらってるし、何もできない人には、ちょっとした教育をしたりして、後は広大なシラカワ領は人手不足だから、農地での農作業に従事してもらったり、店のお針子として働いてもらったり、開拓してもらったりと、まあかなりやる事はあるからね。

しかもここまで来る人って、体力がそれなりにないと来る事ができないから、働けない人はここにたどり着けないんだよね。

この辺りは厳しい世の中だって思うよ?思うけどそこまで手が回らないよ。

ゲートを設置すればもっと逃げ出せる人もいるんだろうけど、そのゲートを奪われたりしたら大事になるからそれもできないし。

まあおっさんにも限界があるから、何でもできないんだけど、それなりに手助けはしてるよ?ちゃんと逃げてきた人を受け入れてるし。本当はもっと色々してあげられたらいいんだろうけどね、そうは言っても他にもする事あるし、おっさんの考えもあるしね。

そしておっさんが考えてるのは、まずこのインダルチャンス王国の現状の打破として、民衆が国を捨てて逃げてるこの現状を解決すべく、シュラハト連邦からインダルチャンス王国の領地を取り戻すのに力を貸したよ?おっさんのできる範囲でだけどね。

しかもセアリアス帝国とシュラハト連邦は停戦したし、インダルチャンス王国の領地からシュラハト連邦は撤退してるからね。

この後は復旧なんだよね・・・・。

インフラの復旧、居住地の復旧、政治的な復旧・・・・

後はね、精神的な復旧も必要なんだよ。

で、ここでメーネアなんだよね・・・・


インダルチャンス王国の今までの支配は、国王中心での統治で、というか支配かな?

国王の絶対的な権力の元、大臣をはじめ一部の権力者による支配。

そして典型的なピラミッド形式の図式が出来上がる分布。

そして国王が強制的に退位させられ、新たな国王が国を追われて死んでしまっても、やっぱり国王中心の国なんだよね。


そこで唯一生き残ったメーネアが国に戻ればメーネアを中心とした国が・・・・国王が戻ってきた事による政治的な安定、それにどうやらメーネアは民衆からの評判がよかったみたいで、新たな国王としての期待も大きいみたいでね。

メーネアが国王になれば・・・女だから女王か・・・・

色んな意味で一気に復旧するんじゃないかっておっさん考えてるんだよ。

ただ、圧倒的に人材不足なんだよね・・・・


は!いかん、メーネアが女王になる事前提な考えだな。

・・・・とまあざっとウェンディとメーネアにも説明したよ。

メーネアは食い入るように聞いてたよ。

そしてメーネアは

「流石は旦那様です。そこまで調べて下さってるなんて。私も覚悟を決めないといけませんね。」

そう言ってメーネアはおっさんの目を真っすぐに見つめてきたよ。


メーネアの目にはもはや迷いがなかったよ。

あーそんな目で見ないで・・・・おっさんそんなにいい人じゃないよ?

だからそんな真っすぐな目で見られたらおっさん耐えられないよ・・・・

だからと言ってここで目を逸らすのは何か違う気がしてね。

そう思ってたらなんだか急におなかが痛くなってきてね。

あーまたかよ!トイレに行きたくなってきた・・・・


「メーネアちょっと待って!腹の調子が悪くなって、トイレに行ってくるよ。」

うう・・・何だか胃が痛い・・・・

「大丈夫ですか?何だか顔色も悪いみたいですが?」

「大丈夫だから、ちょっとトイレに行かせてね?」


こんな所で粗相しちゃうわけにはいかない!可能な限りダッシュでトイレに向かうおっさんだったよ。

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