第225話 アフェール侯爵と対面する

「凄い・・・・さっきはじっと見る余裕がなかったけど、こうして手に取ってみると、この剣の違いがよくわかるわ!」

「そう言ってもらうと恥ずかしいな。」

「何であんたが恥ずかしがるのよ・・・ってあんたが打ったんだっけ、この剣?」

「そうなんだよね。ちなみにエルヴィーラも同じの持ってるよ。」

「・・・・見た目はごく普通の剣なんだけど、この強度とこの軽さ!そしてロングソードなんだけど、そこいらに落ちてるような木の棒ほどの重さしか感じられない・・・・どうやって作ったのよ!」

「企業秘密!」

「??企業秘密って何よ?」

「まあ、製作方法は秘伝中の秘伝という感じだよ?」

「知りたい!教えてくれたところで作れないけど、ねえ、教えてよ!」

「教えてもいいけどさ・・・・教えておっさんに何か得になる事でもあるのかい?」

「いいじゃない、教えてくれても!」

「剣を貰っておいて、さらにそこまで要求するの?」

「駄目?」

ちょっとそんな上目遣いで見ないでくれよ・・・・あ・・・・ちょっとからかっちゃおうかな?

「じゃあ、おっさんが教えるに値する対価を用意してよ。」

「対価・・・・何が欲しいのよ?」

「逆に言うけど、何が用意できるんだよ?ちなみに剣を渡すのは、君が約束通りおっさんの妻になってくれるっていう事と、護衛をしてくれる事へ対するおっさんの気持ち・・・・まあ、婚約指輪だな、言ってみれば?」

「はあ?婚約指輪?あ・・・・でも・・・・約束しちゃった・・・・でも剣ほしい・・・・でも、対価って何があるのかしら?」

「そんなの簡単だよ!さあ、今すぐベッドで熱い夜を二人っきりで過ごす事さ!」

「ベッドで熱い夜をって何のこと?」

「えっ?分からない?夫婦だったらみんなしてるでしょ?夫婦の営み、ザ!子作り!」

「・・・・こ・・・・この・・・・けだもの!!!!」

おっさんのほっぺには見事なモミジマークが出来上がったよ。からかうのは面白いけど、ちょっと痛いな。

「まあ、冗談だよ?ちょっと優しくハグしてくれたらそれでいいよ。まあ作り方は教えられないけど。」

「けちんぼ!まあ・・・・剣のお礼にハグぐらいなら。してもいいわよ?ハグって何?」

「お互い軽く抱き合う事だよ?」

「何よそれ!いやよ!」


何だかんだ言って優しくハグしてくれたよ・・・ってなればいいんだけどね、剣だけ持ってどっか行っちゃったよ。ちょっとぐらいハグしてくれてもいいやん!


・・・・

・・・

・・


シュラハト連邦がここまで凄まじい速度でインダルチャンス王国を侵略してたけど、ここにきて1月ほど、膠着状態が続いていてね。

おっさん達はひたすら待機だったよ。

いつ攻めてきてもいいように準備はしてるんだけどね。


そして、今までおっさんに接触してこなかったアフェール侯爵・・・・商業都市アフェールの領主、アフェール侯爵なんだけどね・・・流石にシュラハト連邦対策で話し合わないわけにもいかず、また、皇帝からおっさんと色々打ち合わせをするように言われてたのか、ゲートを使ってこっちに来てね。

今まで用がある時は、ロニーさん経由してたんだよね。まあ、そんな機会もほとんどなく、領主に納める金も商会を経由してたから、領主に一商人が会う機会もそうないしね・・・・尤もおっさんは辺境伯という貴族になってたけど・・・・


アフェール侯爵は60代後半の温厚な初老の紳士でね。

あまり社交的じゃないし、健康状態もあまりよくないから殆ど出歩かないそうでね。

今回はアフェール領が侵略の危機に直面してるから、対応の為に久しぶりに領地の館から出てきてるみたいでね、ゲート使ってなかったらきっと来なかっただろうって感じでね。

で、本当ならおっさんが呼び出されるはずなんだけど、娘さんとお孫さんにせかされ、おっさんのお店に来たかったからみたいだけど、侯爵自らおっさんの店に来たらしくてね。

今はおっさんと2人で話をしてるんだけど、侯爵と一緒に来た女性陣は、軒並み店に行ってしまったよ。

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