第116話 残念な女神?

で、何で壊したかだって?




知らなかったんだけど、別にこの門から出入りする必要はなかったみたいで、ちょっと離れた場所からそいつは出てきたよ。


いやーフェンリルが駄神っていうだけあるわ。


見た目がと言うか、服装がね、ひどいのよ。


よれよれのジャージみたいのを着てるんだけど、サイズが合ってないうえに、所々伸びてるし、穴が開きまくってるし、何か知らないけど汚れまくってるし、臭いはするし・・・・


で、現れてそいつは言ったよ。


「何やらかしてくれとるんじゃボケ!!」


問答無用で襲ってきてね。後衛職は何もできないまま吹き飛ばされたよ。


フェンリル、ガルム、ドラゴンの姿のカトリーンがその後何とか防いでくれてね、おっさん達はかわるがわる攻撃を仕掛けるんだけど、これがなかなか当たらず。


この間に後衛職が復活して支援してくれてね。


この間におっさん、またもや気配遮断で気配を消して、死角から隙を窺ったのよ。


でもね、隙が無い。隙が無いけど、何かおかしいんだよ。


何がおかしいって、時々女性陣に目がいってるんだよね。


でも、隙を見せるほどではないけど、チラッチラッてね。


ここでおっさんひらめいたのよ。


こいつ女日照りなんじゃないかって。




だからね、おっさん、阿呆と思われようと、思いついた事をやったのよ。


そう、エロ本。


エロ本を購入してね、何冊か。


それをね、一気にそいつの目の前に放ったのよ。


そうしたら、そいつ、本を凝視しちゃってね。


あほかこいつと思ったね。で、一気に切りかかったら、当たる当たる。当たるんだけど、はじかれてる。


で、おっさんが切り込んだら、あれ?ザクッと切れてね。


なんかダメージを与えられるとは思ってなかったのか、そいつの驚愕の顔ったら。


「いってーおい!お前どうやって俺に怪我を負わせた!怪我ってレベルじゃねえじゃねーか、あーこれ致命傷じゃねーかどうしてくれるんだ!」


「普通に切っただけだけど。」


「てめえ、俺様が誰か知ってるのか?俺様はな、冥府の神、ハーデス様だ!神なんだぞ!何で人間が神にダメージ与えられるんだよ!というかやべえ、回復できねーじゃねーか、マジ何してくれるんだよ・・・・」


あれ?確かにやばい気配だったよ?


本当だよ?


冥府の神って名乗ってるんだから、本物だったらマジやばいよ?


でもこれって、冥府の神っていうより、引きこもりの駄神?じゃね?


あ、そうだ、そういえば似たやつがいたっけな。


何だっけ、そうそう、何か珠あったな。






おっさん取り出してみたら、何か光ってるんだよね。


で、じっと見てたら、輝くというか、眩しいというか、辺り一面目をあけれないほどに光ったと思ったらね、いたよ、そこに。残念な女神が。


うわ、駄神と似た格好してんじゃねーよ。




しかも、何かわからんけど慰めはじめたよ。おい泣くなよ、駄神。


気が付けばやばい気配もなくなって、駄神ハーデス?は去っていったよ。


で、この残念な女神?がおっさんの所に来て、


「言ったでしょ?また会えるって。」


「記憶にねーよ!録音してなかったら気が付かなかったよ!記憶操作してんじゃねーよ!」




・・・・


・・・


・・





こいつ、勇者に加護を与える女神らしい。残念な存在だけど。


で、この冥府の門はこのままおっさんに管理してほしいんだってさ。ただ、きちんと綺麗にしてほしいからって、おっさんのやらかした溶接やら壁やら外してほしいと。




もうここにハーデスは来ないから、門も必要ないのだけど、門自体がないと冥府が困るから、そのままにしてほしいんだとさ。何だよ、冥府って。




よくわからないけど、あれ本物の神だったのか?人間にしか見えないんだけど。


ひょっとしたらあいつら異世界の住民で、この世界はゲームとかで、あいつらはこのゲームの操作してるとか?考えすぎならいいんだけどさ。




まあ、よくわからない結果に不完全燃焼なおっさんだったけど、シラカワ領のモンスター討伐はどうやら終わったようで、これでやっとこさ色々できる状態になった?




で、気が付いたらスマホがブーブーいってるから見てみたら、久しぶりに受信ができてたよ。


以前受信出来てた所は火事の後受信できなくなってて、その後も受信できる場所が見つかってなかったんだよね。




なのでおっさん、この付近にも拠点を作ったよ。


おっさんはこの時は気が付かなかったんだけど、この場所が今後のシラカワ領の中心地。


おっさんの住む場所。


シラカワ辺境伯の屋敷が何世代にもわたってこの地で栄えていくのを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る