第110話 シラカワと言う土地

 皇帝との謁見を済ませ、ロニーさんは別行動になったんだよね。

 きっと現地妻の所に行くんだな。

 お盛んな事で。



 そういえば、おっさん、皇帝に新たな剣を献上しといたんだよね。

 前のよりもすごい奴だから、えらい喜んでたよ。

 まあ、あんなんで機嫌がよくなるんだから、安いもんだけどね。


 さて、突っ込みどころの多い謁見だったけれど、先ずは何だあのシラカワ辺境伯って。

 シラカワって土地があるのか?あったとして、何でおっさんの名字なの?

 ひょっとして何もなかった土地にとりあえず名前つけちゃった?

 もしそういうのなら、村すらないんじゃない?


 未開の土地、本当の辺境。モンスターの跋扈ばっこする土地。

 何をするにも先ずはモンスターを討伐しないといけないとか、そんなのおっさん嫌だよ。

 道すらなかったら勘弁願いたいな。

 あと、突っ込みどころと言えば、アメリータだ!

 いつフラグがたった?

 殆ど接触すらしていなかったし、おっさんラブになる要素はなかったはずだ!

 しかもしかも、まだ15だろ!


 若いって素晴らしよね!っていう奴いるけれど、おっさんは違うよ?大人な女性が大好物なんだから!


 え?たまにはつまみ食いも必要だって?いやいや、そこは否定しとくよ。

 後はあの皇女さまだな!控除しときたい・・・・


 ごめん、めっちゃ外したね。全力で謝るよ。



 エルヴィーラ、結局押し付けられたな。

 顔もスタイルもいいし、大人しければ凄くいい女なんだけどな!


 ヒートアップすると危ない性格になるし、普段も微妙に会話が成立しないというか、都合の良い方向に強引にもってっちゃうし。


 前途多難だ・・・・


 さて、先ずは情報収集だな。皇帝はエルヴィーラに聞いてくれって事だったからね、聞いておくか・・・・



「なあ、エルヴィーラ、それとも皇女さまと呼んだ方が?」


「まああなた、そんな他人行儀に皇女さまって、もう降嫁したのですからエルヴィーラと呼んでほしいですわ。」


 あ、もう降嫁しちゃっているんだ。この国と言うか、世界?は結婚式とかしないんだろうか?届け出とかした事も無いし、どうなってるんだろう?


「なあ、これから新たな領地に行くんだろう?どんな所なんだ?」

「そうですわね、シラカワと言う土地は、お父様がお名付けになったのですわ、ごく最近。」


「・・・・」

「?どうしました??」

「あのさ、エルヴィーラ、めっちゃ嫌な予感しかしないんだけど?」

「大丈夫ですわ、あなた。私もおりますし、あなたの周りにはお強い方が沢山おりますもの。それに今回は勇者様も同行されますし、呼び出せばクィンシーもきっと来てくれますわ。」


 ・・・・おいおい、モンスター討伐が前提とか、勘弁願いたいんだけど。


「あらら?ひょっとしてとんでもない数のモンスターを討伐するとか思ってないですか、あなた?」

「違うの?」

「ええ、ほんの数匹討伐すれば大丈夫なのですわ!」


 逆に聞きたい、ほんの数匹って何?


「色々突っ込みどころがあるんだけど?」

「まあ、早速私を突っ込んでくださるのですか?愛されておりますわ!嬉しい!」


 ・・・・何を突っ込むんですか?昼間っから?多分違うからね!


「なあ、数匹って何を討伐させるんだよ?」

「ドラゴンをいとも簡単に討伐できる私達ですから、何も心配はいりませんわ。」

「ちょ!ドラゴンよりすごいとか勘弁してほしいんだけど。」

「フェンリルと 饕餮とうてつ、後はケルベロスぐらいですわ、あら、たった3匹ではないですか!」


 え?フェンリルって伝説の獣なんじゃね?十六夜の使役してたガルムと同等らしいけれど、たぶんフェンリルの方が強いんだろうな・・・・それに饕餮?あれって場合によってはフェンリル以上の厄介者なんじゃね?


 フェンリルは・・・・上手くいけばテイムで何とかできそうだけど、饕餮は無理だろうなあ?あとケルベロス?強さはフェンリル程じゃないけれど、そこにいるってのが大問題だよね?


 よからぬ場所の出入り口が近くにあるんじゃないの?ケルベロスって何かの番犬だったよね?忘れちゃったけど。しかもこの世界ではどうなってるのか、3匹ともわからないし。


 行くとしても準備が必要だな。


「それで、エルヴィーラ、シラカワって土地の場所って遠いの?」


「あら、意外とここからは近いのですよ?商業都市アフェールとは丁度反対方向になりますけれど、ここからは隣の都市、農業都市クルーンの向こう側ですわ。」


「何で帝都から近い場所がそんな危ない土地なんだよ!」

「立地は申し分ないのですけれど、モンスターが縄張りを主張している所為で、今まで開発が出来ていないだけで、よい土地なのですよ?」


 ・・・・これあかん土地やろ。






 こうしておっさん、自分の領地として割り振られた土地を治める前に、土地の主を何とかしないといけなくなったんだよ。いや、もうモンスター討伐とかマジ勘弁なんですけど?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る