第26.5話 石壁の村 ルッカ



 ゴギョウが地下へ向かったその後、ルッカはルッカは村へと戻りテトの宿へとむかう。


 ゴギョウの掘ったトンネルは地面が平らにならされとても歩きやすい。薄暗く出口は遠く、小さく見えるが時々壁に埋め込まれた輝石がぼんやりと足元を照らしてくれる。

 ルッカの小さな足でたっぷり1時間はかけてトンネルから外へ出る。

 昼を少し過ぎたくらいの時間だろうか。とりあえず村へと向かう。



 村の中を素早く走り抜けテトの宿に入ったルッカは、テトの部屋に向かうがだれもいない。

 厨房に行ってみるとテトが野菜を洗ったり、皮を剥いたり下ごしらえをしていた。


「テト!戻りました!」


「おかえりなさい、ルッカ」


 どこかのんびりとした風にテトは顔を上げ、ルッカを足元に見つける。

 その周りを見渡してみるが転位者の男性はいない。


「あれ?ルッカだけ?」


「はい!聞きたいことがありまして、ひとりで戻ってきました!」



 ルッカはゴギョウとトンネルを進んでいると地下に向かう仕掛けを見つけたこと、そこにゴギョウ一人で降りていってしまったことなどを伝える。


「というわけで、そんなものがあるのはご存知でしたか?」


 ルッカは割と単純で、質問や疑問もシンプルに伝えてしまう。


「それと、白くてぶよぶよして、きキバやツメのあるモンスターなんてこの辺りににはいますか?」


 うーん、とテトは顎に指を当て考える仕草をする。


「聞いたことないなあ。この辺りに出るモンスターは蛇とかカエルとか、あとは熊や狼の鴨ばっかりよ」


「んー、たしかに、ここに来るまで沼地のモンスターがほとんどでしたね…」


「村長やオババなら何か知っているんじゃないかな?」


「はっ!そうですね!ちょっと聞きに行っていただけませんか?」



 この村ではルッカのような種族と交流のある者は少ない。モンスターと間違えて攻撃でもされたら面倒くさいのだ。



「じゃあここで待ってるといいわ、オババがそろそろお茶を飲みに来てくれるはずだから」



 こうしてルッカはオババを待つことになる。

 その間、ルッカは土のついた体を洗い、宿の床掃除や椅子を拭いて回ったりとテトの手伝いをしながら時間を潰した。


 程なくしてカラコロとドアベルが鳴り、宿の入り口からオババがやってきた。





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