僕は夢の世界で君と逢う

水月 アオ

第1話プロローグ

死んでもいいからもう一度彼女に逢いたい。でも、彼女はもういない。現実を受け入れられなくなり彼女を失ってから僕、桜沢嘉人は、世界から色を失った。

すべてがモノクロのようだった。

彼女の葬儀に僕は、彼女の顔を見ることができなかった。ただひたすら涙を流し続けた。苦しかった。辛かった。死んでもいいとさえ思った。しかし、ひとつの手紙が僕を変えた。葬儀の際に彼女の母から僕にというものだった。その手紙は、亡くなった彼女からのものでそこには、「よしくん、私は死んでもあなたのそばにいるから安心して、またきっと逢えるから待ってて」という手紙だった。

最後の1文には、「死のうなんて考えちゃだめ、私の分まで生きて!」そう綴ってあった。

当たり前だ。死のうなんて思わない。でも、彼女のいない世界で僕は、何を頼りに生きていけばいいの?どうすればいいの?疑問が浮かぶばかりだった。もう一度逢えるなら逢いたい。遭ってもっと色々なことがしたい。もっとたくさんの思い出を作りたい。

どうしたら逢えるの?

しばらく僕は手紙を何回も読み返していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る