第11話 手合わせ
さて、どうしようか。
手合わせしろという割にネウロの剣の腕は上がってるのか下がってるのか分からない事でもある。仮に私が勝ったとしたら、周りに反感を買いかねない。
そこまではお断りと願いたいものだよ。
「お互い本気でかかってこい。手を抜くでないぞ」
この脳筋魔女め。殺す気で来いとでも言いたいのか。
「……」
手加減しとこ!周りから反感買われたくないし!
ネウロは訓練用の剣を取り、構える。
私も練習用の剣を取り、逆に構えずに出方を伺う。
「貴様……舐めておるのか?何故構えん?」
「舐めてはいないさ。手合わせなんだから早くかかって来なよ」
あえて先制を譲らせる。相手はバカではないが、出方をいち早く伺い。対策できればこちらのものだ。ただ、知ってるという自負は思ってもいない方向へ行く時がある。
なら、あえてネウロの
「ではいくぞ!」
ネウロの持つ剣が炎を纏い、炎の刃と化する。完全に私を焼き殺す気かこいつ。
手合わせとはいえ、戦闘になれば脳筋だ。昔から変わんないなこの
ネウロは魔力を込め、炎の刃を伸ばす。リーチの長い長剣と化したものを私に振り下ろすが、それをひらりと左に躱す。
「【
「ヒットアンドアウェイ戦法は私の得意分野でね。躱すのは得意なんだ」
反撃として私も剣に魔力を注ぐ。剣がどんどん鋭利になっていき、次第に守りを砕く力を纏い始める。さらにもう一個追加しておく。
武器には【
「来るか!」
合計五つの魔法をかけてやったんだ。さすがに本気だと気付くだろう。
まぁ、本気は出してないがね。
お互いに剣がぶつかり合い、火花が飛び散る。
どうやら【超鋭利化】は相手もかけていたようだ。
「やるではないか!ではこちらも本気を出そう!!」
案の定うまくいった。本気を出したと思ってる……後は私が負けるだけだ。
ネウロの剣が赤く染まる。練習用の剣とはいえ、刃こぼれと溶解状態が見えている。
この一撃に賭けへ出るとはクレイジーだな。
「これで決める!」
「じゃあ、こうしよう」
私はある魔法を二つ展開する。
一つ目は衝撃波を引き起こす魔法。剣劇になる前にお互いの武器をぶっ壊す。
二つ目は高速で武器を復元させる魔法。これは自分の武器しか直せない。これによって私の武器だけが復元されて優勢なのだが、あのネウロだ。同じ戦術は使うだろう。
「準備は整った!さぁ来い!!」
「ほう?ならば行くぞ!」
お互いに接近し、剣が振り下ろされる。
キィン!
しかし想定外な事が起きた。
「!?」
ネウロの剣が宙に回転し、地面に刺さる。
そう、武器は壊れずにネウロの剣が衝撃波で吹っ飛んだのだった。
「……勝ってしまった」
あまりにも想定外だ……大体負けるのは私だが、烈火の魔女の炎の剣に打ち勝つなんて予想もしてなかった。
周りを見れば、辺りは静寂に包まれていた。
「えーと……どうしよう」
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