第72話空と優里奈
菫は空の様子を見優里奈に話す。
「優里奈さん貴方のその気持ち偽りないですか?一時的なものではないですか?空を本当に好きになるならそれ相応の覚悟が必要ですよ。」
麗奈は娘の様子を見守る
優里奈は菫言葉にじっと考え空を見て話す
「空さんを好きな気持ちに偽りはありません。聞けば空さんには複数の婚約者がいらっしゃるとか、覚悟というのが婚約者になる条件なら受け入れます。」
菫は優里奈の発言を聞き優里奈の母と祖母に尋ねる
「華音様麗奈様よろしいのですか?空は複数の婚約者がいます。皆それぞれ空に救われ空の心に魅かれ空の過去を受け入れ家族として一緒になることを決めた者達です。日本では重婚はできません。ですから皆家族として空を受け入れています。
なので優里奈さんはその家族に加わる事になります。」
優里奈は二人に意思を伝える
「おばあ様お母様私は空様以外の殿方を受け入れたくないです。」
麗奈は娘の強い思いを感じ頷き話しかける
「優里奈それほどなのね。恐らく空様の全てを知るのも相当覚悟がいるはずよ。いいのね。」
「はい。」
華音は菫に話しかける
「優里奈もああなったら私たちの意見など聞かぬじゃろ。私たちも優里奈同様覚悟を決めました。孫が家族になる相手を私たちの方でも支えます。私も麗奈も空様の親族に加わらせてくださいませ。」
華音と麗奈二人は頭を下げる
それを見て菫は空に尋ねる
「空どうする?お母さんは貴方に任せるわ。まぁここにいない家族は空が決めた事なら何も言わないでしょう。だから貴方が決めなさい。貴方の過去については私が話すわ。」
空はコクンと頷く
「大丈夫ソラが話す。」
「いいの?空辛くなってまた体調崩すわよ。」
「あ・・・皆に迷惑かけるから詳しく話すのお母さんと風香お姉ちゃんに任せる」
「わかったわ。風香が来たら私たちが説明するわ。それまでは新しく家族になる優里奈さんとそのお母様たちに話してあげなさい。」
「わかったの」
菫は華音と麗奈に話しかける
「空の事に関して詳しくは空の婚約者兼護衛の風香が来たら説明します。あと空の家族になるのですから四葉グループの方でも妖精様を使ってもらっても構いません。ただし空の体調を十分考慮してですけど」
「その件については後ほど話し合いをさせてください。ただ私たち四葉グループもかなりの妖精信者がいるようなので四葉としても助かります。」
空が優里奈たちに話しかける
「優里奈さん麗奈義母様華音おばあ様お話いいですか?」
3人が頷くと空は話始める
「優里奈さんボクの名前は瑞樹空と言います。年齢は30歳くらいです。空には沢山のお嫁さんがいてお母さんも子供もいます。みんな空の辛い過去も知っています。それに空には身体の秘密があって、事故の影響で大人なのに話し方も変で、後大人の男の人が怖いの。こんな空だけど大丈夫ですか?空も優里奈さんのこといろいろ知りたいので一緒の時間過ごしたいです。」
優里奈は空の手をとり目を見て話す
「私は大勢の人が見てて誰も助けてくれなかったあの場所で助けに来てくれた空様が大好きです。あの時意識は混濁してましたが何となく小さな女の子が助けてくれたんじゃないかと思ってたのですがあの男が言葉巧みに意識を誘導されてしまいました。でも調べていくうちに思い出しました。
助けてくれたのが空様だと・・・私も皆さんと同じように貴方の全てを受け入れ貴方を支えたいです。愛してます空。」
空は恥ずかしくて下を向く
優里奈は両手で空の顔を起こし口づけをする。
「空様・・・愛してます。」
チュッ
そんな二人を見て菫も華音、麗奈もほほえましく見つめる
「優里奈さんこれからよろしくなの。空がこんなのは空の過去の事が関係してるのだから知ってもらわないと空が不安になるからなの。だから空が話せてない事は菫お母さんと風香お姉ちゃんに聞いてください。多分空が話すとまた思い出して体調悪くするから・・・華音おばあ様麗奈お義母様こんなだけどよろしくお願いします。」
空は華音たちの前まで行き深々とお辞儀をする。
華音はそんな空を起こし抱きしめる
「ありがとう空さん。貴方の行動で私たちは救われました。本当にありがとう」
ギュー
空も中学時代に優しくしてくれた最愛の祖母を思い出し泣きながら華音に抱き着き呟く
「グスおばあちゃん・・・空頑張ったよ。いっぱい女の人助けたよ」
空の行動に華音は何も言わずそのまま抱きしめる
「うんうん。空はよく頑張ったわ。」
その様子を菫たちは黙って見守る
暫くして空は自分が華音に抱き着いてるのに気づき慌てて離れ謝罪する
「ごめんなさい華音さん。空死んじゃった優しいおばあちゃん思い出して華音さんに・・・ごめんなさい」
華音は何も言わず微笑んで空を見つめる
菫が恥ずかしがる空に話しかける
「空は高校生の時亡くなった優しい祖母を思い出したのね。いっぱい辛い思いした時に唯一優しくしてくれた人を・・・」
空は菫の言葉に頷き華音に話す
「空はいっぱい酷いことされた養父さんから空を守ってくれてたお母さんが死んでおばあちゃんに引き取られました。でも親戚の人達はいろいろ言って来て空は人が怖くなりました。学校でも嫌なことされました。そんな時ずっと守ってくれたのがおばあちゃんでした。華音さん見てるとそんな優しいおばあちゃん思い出して・・・ごめんなさいなの」
空の言葉に華音はたまらずまた空を抱きしめる
「嬉しいわ。空さん私の事は本当の祖母として甘えるといいわ。空さんはこの祖母が何があっても守ります。」
麗奈が母親の行動に驚く
『お母様があのような行動をなさるなんて・・・孫の優里奈ですらあんなことしなかったのに、確かに私も空ちゃんを抱きしめたくなりましたもの』
その後しばらく話した後空は体調を考え帰らせた。
空が帰宅し少しして風香が3人の待つ部屋に来る。部屋には菫、風香、梨香が空の過去と現在に至るまでを話し始める
「私は空の護衛兼婚約者の風香です。警視庁に努めています。現在空の殺人未遂の犯人一条を捕らえるため捜査本部で指揮しています。空の過去は数々の犯罪を見て来た私でも目を覆いたくなるような辛いものです。
それをお話しするのですが、大丈夫ですか?空が家族に迎えると言ったので私達家族が共有する空の過去です。
空を支えるために絶対必要な事なので最後まで聞いて下さい。」
風香は小学時代。中学時代。高校時代。そして卒業してからを話し始める。中学高校と空の一番辛い過去を話す時には風香も菫も梨香も涙を流していた。そして辛く耐えれなくなりリストカットまでした話をすると涙が止まらなくなっていた。
優里奈も樺音も麗奈の三人も想像以上の過去に涙が止まらなくなっていた。
「空さん悲しすぎます...」
風香は皆が落ち着くのを見て高校時代、卒業してからのことを話す。
「空は小学校中学と屑な父親のせいで辛い思いしたのに高校生になってからもそれは続きます。それは空のからだの成長もあって酷くなります。
空は男の子であり女の子でもあるのです。それは医学的にもかなり希少なことらしいのですが、あり得ないことではないらしく、その事で空は高校時代男子学生に犯されネットに曝されました。」
樺音はハンカチで何度も涙をぬぐい優里奈もあまりの衝撃に下を向き何度も涙をぬぐていた
風香は話を続ける
「そんな高校時代に優しく唯一空を守ってくれていた祖母が亡くなり空は壊れました。辛いことがあっても祖母がいてくれてたから耐えてこれた。その祖母が亡くなり精神が壊れました。その空を救ってくれたのが菫母様です。」
菫が頷き静かな口調で話し出す
「あの時の空は本当に酷い状態でした。目はうつろで話しかけても答えず、衣服は汚れ部屋も無茶苦茶でした。あの時は主人がいたので会社は全て任せて私は空ちゃんを回復させるのに全てを捧げ浸食を共に過ごしました。
あの時は楓のせいでこうなったと思い罪滅ぼしのつもりだったのですが、それではダメだとこの子を回復させるには本当の親の愛を注がないとダメだと思い空ちゃんの家に住み込み続けました。」
話を聞き華音が話す
「それで菫様は空さんのお母様だと納得いたしました。」
「あら私は華音様が羨ましいですわ。空が唯一心を許してた優しい祖母に思われたのですから」
麗奈も羨ましそうに呟く
「ほんと羨ましいですわお母様。私も菫様のように空さんにお母様と呼ばれたいですわ」
「それなら問題ないですわ。あの子は人の心の中の悪意を敏感に感じ取るから最初にお二人を家族呼びされたので大丈夫ですわ。」
それを聞き麗奈は顔を崩す
『はぁーあの空ちゃんが私の事をお母さんと思ってくれたの・・・嬉しいわ』
優里奈が麗奈に注意する
「お母様お顔が崩れてますわ。」
「あらいけない」
その後も話は続き3人の空へ思いが深くなっていた。
菫たちは今後の事について話し合った。
結果妖精ソラネだけ完全に切り離しサクラと四葉の共同出資の独立会社妖精の森を設立した。
社長は菫が兼務し副社長に四葉華音が兼務、業務、経理等の部門は四葉とサクラからそれぞれ1名づつ、スケジュール管理などのマネジャーは百合と理沙と優里奈が担当することになった。
のんのんのんびり温泉巡り出会い編 クロミnov25 @n_kuromi
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