第60話没落の一条と婚約者優里奈
一条は、事件の後警察に事情聴取を受け、その後拘留されるもすぐに釈放される。
「あのクソチビのせいで僕の経歴に傷がつくところだったじゃないか!」
しかしあの道の駅にカメラがあったとは失態だ。
警察に見せられた画像では僕があのチビを蹴っているところが映っていたが画像が悪くはっきりと映っていなかったのが幸いした。
『あれが蹴ってる足元まで見えてたらヤバかったな。
なんせ刺さったガラスを蹴って血がドバドバ出て来て面白くて、他のかけらも蹴って埋め込ませたからな』
詳しく解析される前に四葉の力で元の画像回収してもらうか・・
ゆくゆくは四葉グループは俺が引き継ぐ事になるんだ。
四葉優里奈は今俺にメロメロだしな。フハハ
あの時誰か知らんが、優里奈に絡んでたチンピラを蹴散らして去って行ってくれて助かったよ。
何せ優里奈はあの時、一時的に頭を打って記憶が混乱してたから俺が助けたと思い込んでいる。
俺はただ単にやばいから陰から見てただけなよ。
ハハハ警察が来て助けた奴が逃げ、チンピラも逃げてしまい、仕方なく出て行った。
そしたら意識が混濁する優里奈が、抱きついて来て感謝されたのには驚いたよ。
彼女は俺が助けたと思い込んで、事件の事をそのまま四葉商事の社長に報告してくれた。
社長からは凄く感謝され、今の会社にヘッドハンティングされ重要ポストまで用意してくれてるほどたから相当感謝されてるのがわかった。
今回の件も上手く言えば四葉の力でもみ消してくれるだろう。
『しかし優里奈のやつ最近様子がどうもおかしいんだよな・・
抱かせてくれないどころかキスまで拒みやがるクソ!』
そう思ってたら案の定優里奈の祖父四葉孝蔵総取締役から呼ばれ、警察に呼ばれた理由を聞かれ上手く誤魔化して答えた。
しかし祖父孝蔵総取締役は、俺のやって来た事を知ってたみたいで、釘をさされる。
「一条君!今回の件は私の力でもみ消した。君は他にもいろいろとやってるみたいだが、ほどほどにしなさい!
優里奈は勿論母親の麗奈と祖母四葉華音には絶対気づかれるな!絶対だ!
暫く海外支社にでも行って大人しくしてなさい。」
俺は四葉の総取締役の威圧に震えながら返事をした。
「わ・わかりました…」
マジ怖いんですけど…
まぁあの道の駅の監視カメラの映像が悪くてはっきり確認できなかった。
だから疑われた事を言ったけど…
孝蔵からは疑われるような事はするな!と厳重注意され、あの警告だ。
恐らく二人共に優里奈を可愛がってるからだろ。
だから警告された…
フン!まぁ婆さん達に気づかれるヘマしないし、俺に惚れ込んでる優里奈は気がつかねぇよ。
『しかし海外支社か…まぁ仕方ない我慢するか・・四葉グループのトップになるためだ。』
…………………………
一方の優里奈は最近の一条の行動に不安を覚えていた。
自分と婚約してるにも関わらず女性関係の噂が絶えないのだ。
この前も世界的有名女優でもありファッションブランドのCEOでもあるキャサリンを口説こうとしたとか…
そのマネージャの女性を口説こうとして、キャサリン側からクレームが来てたと私に教えてくれた。
この前そのマネージャーさんとばったり会った。
向こうは私の事を重役と思い話しかけられ、お叱りを受けた後さらっとアドバイスされた。
一条は好みの女性に見境ないと、私に注意したほうがいいと親切に教えてくれた。
私はこの事をきっかけにいろいろ調べることにした。
お父様には婚約者を疑うような事をしてはいけないと注意をされたが、私はやめる気はなかった。
一条は度々警察に事情聴取に呼ばれ、社内でも一条の裏の顔の噂が出回っていた。
そして私は、まず見ることは無かった、ライバルグループのホームページを見てしまった。
私の親友がどうしても見た方がいいと教えてくれたのは、妖精ソラネの部屋だった。
そこはホントに妖精かと思うほど幼く可愛い少女がいた。
私は少女を見ると激しい頭痛が起こりすぐにPCを閉じた。
私はこの少女を知っている気がするなぜ?
私はこの事もあり私が襲われた事件も調べることにした。
でも私がいろいろ調べてることに、お父様やおじい様からも注意され、一条の事を調べにくくなっていた。
私はどうしようもなくなり諦めているとお母様とおばあ様から呼び出された。
お母様もお婆様も私の事を溺愛してくれている。
それは異常なくらいまで、お父様もおじい様も四葉の会社を任されているが、実際一番権力があるのは、おばあ様でありお母様だ。
その二人から呼び出しを受けるなんて今までなかった。
四葉は、代々女系の血統を重視してきた。
その血統を代々受け継いだおばあ様やお母様が、有能な人材を使い四葉を陰から支えている。
お二人の抱えている諜報部や弁護士、監査の者達は、ここまで四葉を守るために陰から支えて来た優秀な者達だ。
そのおばあ様から呼ばれたのだ。私は覚悟を決めおばあ様の部屋に向かった。
部屋に着き扉ををノックした
「おばあ様優里奈です。」
「入りなさい」
私は部屋に入ると、お婆様とお母様その後ろに秘書と弁護士他数名が立っていた。
おばあ様達に挨拶をすると席に着くように促され用意された椅子に座る。
私が座るとおばあさまが今回呼び出した理由を教えてくれる。
「優里奈さん今回急にお呼びしたのは貴方も調べてる一条彰の事です」
おばあさまがそう言った時、後ろに控えてた秘書が私の目の前に書類を置いて行く
秘書が戻るのを待ってお婆様が私に尋ねて来ました。
「優里奈さんは、婚約者の一条彰さんを何故調べてるのかしら?教えて下さる?
一時あんなにべったりだったのにどうしてなの?」
私は正直に話した。ここ最近いろいろあった事、他の会社の方からも一条についていろいろアドバイスされた事等全て話した。
お母様とおばあ様は優しく私を見つめ安心したように話してくる
「優里奈さんよく気が付きましたね。私も安心しました。」
「母としてどう説明しようかな悩んでいたのよ。あの一条彰の事を・・
貴方が恋に溺れて正しい事を見れなくなってるんじゃないかと、心配していたのです。」
やはりおばあ様もお母様も気づいていたのですね。
おばあ様が私の目の前に置かれた書類を見るように言われ私は書類を手に取り目を通していく。
そこには丁寧に調べ上げられた一条彰の事が詳細に書かれていた。
そして一番ショックだったのが、私が絡まれ攫われそうになった時助けてくれたのが一条ではなかったことだった。
私を助けてくれた方は、現在サクラグループにいる瑞樹空と言う小柄な男の子だと言う事だった。
一条はその子が立ち去った後に、自分が助けたように装ったとのことだった。
さらに一条の数々の女性と関係を持ち一部で訴訟にまで発展した事も報告されていた。
私はそれを読みショックを受けた。
一条の女性のトラブルはわかっていたからどうでもよかった。
私が許せなかったのはあの時助けてくれたのが別の人で、一条は私が乱暴されそうになってるのを遠巻きに見ていた人物だったという事だ。
私はこんな奴に身体を許してしまったのかと思うと、悔しくて涙が止まらなくなった。
そんな私をお母様が側に来て優しく抱きしめてくれた。
「優里奈一条の事は私達に任せなさい。大切なあなたを傷つけたのですから…
それに一条の女性問題に気づきながらもみ消そうとする主人達も処罰します。」
お婆様とお母様は、その事について説明してくださいました。
二人とも先ほどまでとは、全く雰囲気が違い真剣な表情です。
「優里奈さんよく聞きなさい。今回一条彰を四葉に入れた事で、私達は日本最大のグループ企業サクラグループを敵に回すことになりました。」
私は驚きなんでそんなことになったのかわかりませんでした。
お母様が事の発端を説明してくれました。
それが私にも関係していると、言われ驚きました
「一条彰は、サクラグループの広告人材の会社エイトクローバ―に所属する九条真帆さんに異常な執着を見せていて、この方の事で問題を起こしています。
さらにサクラグループの重要人物に暴行を加えその方は現在意識不明の重体です。」
私は一条がそこまで酷い事をする人物だったとは知らなかった。
でもなぜ私が関係があるのだろうか?
私が疑問に思ってるとお婆様が何か指示をし弁護士の方が私の前に何枚かの写真を提示してくれた。
私がその写真を見てると弁護士の方が説明してくれる
「この写真はお嬢様が襲われた時に助けて下さった方です。
小柄で女性のような容姿が特徴があり身元を調べる事ができました。」
え?まさか…
私が驚いてると弁護士の方がもう一枚写真を見せてくる
そこには大柄な男性が小さい女性を蹴っている写真だった。
しかも蹴っている場所が何かが突き刺さってる場所で血が出ているのがハッキリ写っていた。
「酷い…」
私が呟くとお母様が悲しそうに私に話してくれた。
「優里奈…そこに写ってる小さな女の子は貴方を助けてくれた方なの。
それに… その小さな女の子を蹴っている方は、顔はハッキリ写っていませんが様々な分析状況証拠を調べた結果
一条彰である事がわかりました。」
そんな…
私はショックを受け項垂れる
「お母様私はほんとうに助けられた方ではなく、その方を傷つけた一条を好きになり婚約までしてしまうなんて…私はどうしたら…」
お母様はそんな私の手を握り励ましてくださいました。
「あの時貴方は頭を強く打ったため意識が混濁してたのです。
そこにつけ込んだ一条は許せません。
そんな腐った一条の事をよく気づいたと思いますよ。」
お婆様は私に提案をしてくださいます。
「優里奈さん四つ葉は一条彰を厳しく断罪します。
勿論一条の不貞な行いを知りながら養護した者も厳しく断罪します。
そしてサクラグループ会長に私と麗奈さんが謝罪に向かいます。」
それを聞いて私も同行する事をお願いすると許可されました。
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