第49話空のリハビリとクリス・テラルト

パーティーでの出来事から数ヶ月、空の精神状態もよくなり、空は普通に生活できるようになった。


真帆たちは、サクラグループ会社からイベント参加やCM撮影雑誌撮影、そしてファッションモデルとして、忙しく動き回っていた。


そして空達が、1年間の契約で借りた家が、サクラ不動産が買い上げ、エイトクローバーの事務所として、破格の値段で賃貸された。


そして、空の事全てに関しては、菫と梨香が話し合い、お互い協力して空の事を見ることになった。


そして今日空は、菫と一緒に今病院に来ていた。


「菫さんボクこのままでもいいよ」


菫は、むっとして空を叱る


「こら空!私の事は、お母さんって呼びなさいって言ってるでしょ!

私は、あの時からあなたの事は、ずっと私の子供なのよ!

だから親として、子供の怪我の事を見るのは当然でしょ!

遠慮はしない!わかった?」


お母さん・・ボクは大人の記憶あるのに、どうしてもしゃべり方も態度も子供っぽくなってしまう…わかってるのに・・


でもそんな子供っぽいボクでも、周りにいる人たちは、変わらず優しくしてくれる。


そんなボクの大切なお母さん、一番壊れそうな時、ずっと一緒にいてくれた。

菫さんは、日本で一番大きなグループ会社の会長で、忙しいのに今日もボクに付き添ってくれている


「うん、ごめんなさいお母さん」


ギュー


ホントにお母さんだ・・優しく抱きしめてくれる・・


「空は!何も心配しなくていいのよ、だからちゃんと検査を受けて、身体を治して私達家族を安心させて」


「うんお母さん・・」


そしてボクは、検査の結果、脚は腱を移植することで治るし、治らないってあきらめてた心臓の病気も手術をすれば今よりも楽になり後は薬で少しづつよくなる事がわかった。


エイトクローバーは、サクラグループの傘下に入り、各企業の仕事が沢山入り、社長の梨香は、真帆、志保、紫苑の3人の割り振りに奔走していた。


ただ空に関しては、菫と話し合い身体を治す事を優先する事で、グループ各社に通達されていた。


ただ梨香の元には、サクラ総合出版や、コスモスミュージックから毎回問い合わせがあった。


特に未だに動画再生回数が伸び続けている、和倉温泉旅館での空のミニコンサートの動画は、天使の歌声と称され、全世界で3億再生回数を超えていた。


それもあり、サクラグループでも空の歌声が聴きたいと、コスモスミュージックへの圧力が凄いらしく、何とかならないかと毎日のように連絡がきていた。


「何とかと言われても、あの子には身体を完治してから、仕事に取り組んで貰うつもりなのよ…」


コスモスミュージックの平山舞子は、熱心に説得する。


「安西様、空様の身体の事は会長からもよく言われています。

ただ天使の歌声動画が、数ヶ月前にUPされてから、その再生回数がとんでもない事になってるのはご存知でしょ!

あれが流れてからグループ各社が、騒ぎ出したのです。1曲でもいいので、グループ用に歌って欲しいと、お願いします。」


梨香は、その熱心さに根負けし、空と相談して改めて連絡する事で何とか納得してもらった。


梨香は、平山の言ってた、天使の歌声動画を聞いて見た。


温泉旅館の浴衣を来て湯上がりなのか、頬を赤くして熱唱する姿に梨香は夢中で聴きいってしまう。


『はぁーほんと天使の歌声にぴったりね…』


この動画をUPした温泉旅館は、確かに動画の許可を求めて来ていたので、あまり考えず許可をした。

まさかこんな事になってるなんて…

これは、何とかしてあげないといけないわね。


それにあの温泉旅館からもお礼がしたいから、是非一度お越しくださいとも言われてる。


『ほんとあの子凄いわね…』


梨香は、空と話をして事情を説明した。


「お母さん、大変みたいだから、ボク歌ってもいいよ♪

できたら自分が作った曲歌いたいんだけど、ダメだよね…」


え?空ちやんそんな事までできるの?


「空は凄いね、そんな事までできるんだ!凄い…

詩とかは、あるの?」


空は嬉しそうに答える


「うん♪春色とか恋島とか作ったよ」


「えーー!空凄いよ!お母さんに聴かせてくれる?」



空は嬉しそうに返事をして、自分の部屋に戻ってギターを持って来る


「え?空ギター弾けるの?」


「うん♪百合お姉ちゃんに教えて貰ったの。」


私はどうせならと空に着替えて貰って、動画を撮る準備をして、歌って貰った。


「瑞樹ソラです。春色!聞いてください。」


え?瑞樹ソラ何それ…

歌い始めた質問は後でいいか…


ポロン♪

ジャンジャン~♪


「桜舞散るこの季節…… ♪

あなたと歩いたこの…… ♪

あなたはもういないから…… ♪

この道を…… ♪」


何でこの子の声は心に響くの…

ぅう…

ほんとに凄い…


「恋島です。聞いてください」


ジャンジャカジャンジャカ♪


「バイクで走る……♪

二人で走る海岸線……♪

…………

…」


うわー凄い楽しくなる~

凄い凄い!


「これは凄くテンポが良くて楽しいわ♪」


二人…


ポロン~♪


「だぁーい好きなあなたと…

二人で話したぁ~…………」


「はぁ~いいわ~うるうる」


ほんとにこの子の歌声はメロメロになるわ


「お母さん泣いてる…ダメだったの?」


「違うわ空の歌声に感動したのよ…」


この後私は空に話をする。


「ねぇ空、もしよかったら今の動画に撮ったから、コスモスミュージックの平山舞子に見せていいかな?」


「えーー!ボクの作った曲なんかダメぇー!恥ずかしいし曲も歌詞も変だから…」


梨香は、空を安心させるように話す


「そうかな?お母さんは凄く良かったと思うわよ、一度プロの人に聴」いて貰ったらどうかな?」


梨香は、空が了承したので、録画したデータを平山さんに送った。


そしてすぐ連絡があった。

興奮してて何を言ってるのかわからなかった。


要するに、コスモスミュージックの有料チャンネルに、1曲だけ登録させて欲しいとの事だった。


梨香は、空を説得して登録を了承した。


しかしその後空は、体調の良くない状態が続いた。


梨香も真帆達も仕事の忙しいにもかかわらず、全員で空が一人でいることがないように、予定を調整した。


そしてそんな状態が1ヶ月以上続き、空は再び入院、このままでは、後数年の命と言われ、梨香達、全員で話し合い空の手術を受けさせた。

結果、空の手術は無事成功した。

その後退院できるまで数ヶ月がかかった。


空が入院してから、菫が新しい家をエイトクローバの事務所兼自宅の隣に、建てた。敷地1000坪に3階建ての大きな家で空のためにリハビリ施設も作られていた。


この家は、菫だけでなく、楓家族も住む事になっていた。


家の中にはリハビリのため設備は、様々なトレーニングマシーンなどがあった。


そして、退院してきた、空のために専属の理学療法の先生も来て貰った。


そして空は、無事退院して身体が日常生活を送れるようになるまで、菫達の家で暮らすことになった。


「菫お母さん、ボクここに住んでいいの?楓さんも一緒に暮らすのに、ボク邪魔でしょ…」


菫は空を叱る


「こら!空!ここは私達家族の家よ!空も家族何だからここに住むのは問題ないのよ!

わかった?」


「うん…」


「楓は、子供の転校手続きとかいろいろあるから、もう少ししたら越して来ると思うわ」


そっか…楓さん子供いるんだ…


落ち込む空を見て菫は尋ねる


「空はどうして落ち込んでるのかな?」


空は恥ずかしそうに答える…


「楓さんに子供がいるって聞いて…結婚してたんだって思うと、ショックで…

あれ?ボク何言ってるの…

なんかボク変なの…」


菫は優しく空を抱き締める


「空のその気持ちを知れば、楓凄く喜ぶわよフフフ…

お母さんも凄く嬉しいわ」


ぅう…よくわからないけど…


「ボクリハビリしてきます。」


あら?空は、恥ずかしいのかしら逃げちゃったわね


☆……☆……☆


ボクは、菫さんの家で暮らしながら、ここで毎日専属トレーナーさんと身体の機能回復のため頑張っていた。


「ソラ、OKヨ!ヨクガンバッタ、シャワーアビルネ」


そうこの人、ボクのリハビリの先生で、カナダ人のクリスさん凄く有名な医学療法の先生なのです。


菫さんが、ボクのリハビリをどうするか考えてたら、楓さんが、僕との絆を深めたいと言い出し、ボクたちの家の横に新しくこの住居を兼ねた設備を作ったのです。


そして、ボクのリハビリの先生を募集、女性限定・資格・精神ケア・性格・など条件にしたらこのクリスさんが来たのです。


クリスさんはかなり有名な人で、日本に講演のために来てて募集を見て来たらしい…

でも報酬もそんなに高くないのに、どうして来たんだろうって思う。


でもクリスさん、不思議な人なんだよね、ボク初めての女性は、絶対警戒してなかなか打ち解けないのに、何でか普通にできている。


身体触られても何ともないし、凄く不思議クリスさんてどこかであってる?

あんな綺麗な女性会った事忘れるわけないし、何でだろう・・


ガチャ


「ソライッショニアビルネ」


突然入って来る


えーー!


「な・なんで入って来るの?先生!ボクは男ですよ!」


綺麗な裸でなにも身につけず、ニコニコ微笑みながらボクに近づいてくる。


「I don't remember me?」


「え?覚えてない?どういう事?」


「I remember you clearly…」


やっぱりこの人と、ボクの事覚えてるって…

どこかで会ってるんだ…


私はこの子にわかるように話して見た。


「Thank you for your help on Ishigaki Island.」


空が反応する

「え?石垣島…」


「At that time, your kind words saved us.」


表情が変わった…

間違いないやっぱりこの子だったんだ


あの子が私を見つめて話しかける


「I'm glad I was able to protect my sister.」


『この子は私の事覚えててくれた…』


私はその言葉を聞き涙が溢れ、小さな空ちゃんに抱きついていた。


空ちゃんは何も言わず優しく抱きしめてくれた。

クリスさんもボクを裸で抱きしめキスをしてくる


『空は私の王子様だった…大好き』


涙を流しキスをしてくるクリスさんをボクは素直に受け入れていた。




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