文学補給のためのSS勝負巌流島⑵
東山ききん☆
秋のゾンビ小説、その一
『怪盗フニクラ』
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0.
腐肉喰ら(フニクラ)
それはゾンビを焼いて喰う行為である!
かつて食糧難の時代。人工肉技術の暴走により、人間と同化し増殖する恐怖のゾンビ細胞が誕生した!
人類の大半は瞬く間にゾンビ化し、それは牛肉の味がした!!!!
ゾンビは人工肉だった!!
やがて文明は崩壊し、倫理観は荒廃した。
そして人々は焼肉を求め、ゾンビを狩り始めた!
1.
———時は文明崩壊歴十五年。
キタナイ・ヴィレッジ。
村と呼ぶには些か堅牢な山村だが、
その小高い山の頂上には豪壮華麗な屋敷が一軒あった。
村の権力者、北内兼望(きたない かねもち)氏の邸宅だ。
野生のゾンビを避けた高所に築かれた威容は花の如き豪奢さである。
キタナイ・ハウスの俗称で呼ばれるこの屋敷には、大広間に武装した一団が集まっていた。
彼らはゾンビハンターと呼ばれる者たちで、北内氏に飼われた半ば私兵のような連中である。
まあ実際のところ、ゾンビの跋扈する世の中では、村人全員が武装したゾンビハンターなのだが。
なので、その場にいた者達には老若男女の隔たりもない。
とはいえ、今宵のキタナイ・ハウスに隣村の者達の姿まであったことは特筆すべきだろう。
皆が口からヨダレを垂らし、ギラついた目を何処でもない方角へと向けている。そんな大広間には煙と肉の焼ける匂いが充満していた。
「待たせたなぁ皆の衆」
言葉とともに、広間の奥の壇上からひとりの男が姿を現した。
北内兼望(きたないかねもち)氏、その人である。
屋敷の主人である彼は大斧と鎖帷子を装備しており、いかにも金持ちらしい出で立ちと言えよう。
北内氏が現れると同時に、ゾンビハンター達から歓声の声があがった。
「兼望様だー!」
「汚い金持ち様最高〜〜!」
「さっさと焼肉パーティーを始めようぜ!」
そう、今日は旧暦の15日。月に一度の焼肉パーティー。比叡山ゾンビ狩り祭の日である。
弱肉強食の世界で、毎月15日は誰もが分け隔てなく肉を振舞われる。
分け隔てなく山狩りを行い、
分け隔てなくゾンビを狩り、
分け隔てなくゾンビを喰らう。
そして、狩ったゾンビをキタナイ・ハウスで分け合う村の月例イベントだ。
広間には巨大な熱された鉄板の上、ゾンビの熟成肉が焼かれる瞬間を今か今かと心待ちにするかのように、熱気が迸る。
「慌てるな皆の衆!今夜のイベントに来てくれてありがとう。
さてお待ちかねのようなので早速本日の主役に来てもらおうか」
北内氏が合図をすると、部屋の奥から黒服の男が幅12メートル四方はあろうかという肉の巨塊を携えて現れた。
12メーメルといえばどれほどの大きさか。少なくともその高さから落下すれば死は免れないだろう卸したての熟成肉である。
「紹介しよう。今日ワシが仕留めた、巨大ゾンビじゃ。」
それは近隣の山々でもその巨体でゾンビハンター達に知られていた突然変異の規格外ゾンビだった。
「おおっおお…おめでとうございます」
「あれは間違いなくA5ランクの超大物に違いねえ」
「それよりはやくゾンビをくいてえ」
巨大な霜降り肉を前に、ゾンビハンター達がめいめい自分勝手な言葉を口にする。
会場に集まった近隣の山一帯の住人、しめて300人は抗いがたい食欲の魅惑に心を奪われていた。
ゾンビ肉の価値とはまさに荒廃した世界における宝石に他ならないだろう。
実際、山一帯ではゾンビ肉が貨幣として流通しており、これは北内氏の尽力によるところが大きい。
「フハハ、この食いしん坊どもめ。では皆でゾンビを喰らおうぞ」
北内氏が合図をすると、部屋の奥の鉄格子が開き、ゾンビの群れ85体が新鮮な人肉を求めて姿を現した。
「ヒャァ〜!やっぱりゾンビは生に限るよな!!」
ゾンビハンター達は歓喜しながら各々武器を構える。財産のためではなく、彼らはゾンビを狩る楽しさ目当てに生きていたのだ。
楽しいパーティーが幕を開けた。
2.
人々は一時の生の享楽に命を費やした。
ゾンビの頭部を破壊し、肉を割く。
彼らの武器は主に小回りの効くチェーンソーや爪、牙などである。
その場で解体されたゾンビ達は熱々の鉄板のうえで焼かれ、食われてゆく。
ハンターの中にはゾンビに噛みつかれたりゾンビ化する者もいる。
とはいえ300対85。ゾンビハンター達という数の暴力に、ゾンビ85体が敵うはずもなかった。
そしてあたり一面に香ばしい熟成牛肉の焼ける匂いが立ち篭る。換気扇がないのだ。
「ふう今日のイベントも大成功だなあ」
一人、仕事の成功を喜びながらゾンビ肉を鉄板のうえで焼きつつ、北内氏が呟いた。
「安心出来やせんぜ大将。今宵は隣村からこっち近隣の全人口がここに集まってる。つまり他は全部ガラ空きってわけだ」
北内氏にそっと近づき、鉄板の上の肉を箸で取るのは、先ほど12メートル四方の巨大肉塊を一人で抱えて運んできた男。
北内兼望のボディーガードである。
「ええいうるさいぞ。鷲尾圭吾、お前はワシを警護していれば良いんだ」
鷲尾圭吾、プロのボディーガードである彼は焼肉を美味そうに食べていた。
「そうは言いやすがね、大将。どうにも妙な予感ってやつがするもんで。今日みてえな天気の良い夜は、あの野郎が出るんじゃねえかと」
「あの野郎?あの怪盗の話をしてるのか。またワシの邪魔をしおるとでもいうのか、小癪な奴め。あとワシの肉勝手に食べないでえ」
「まだ確定した訳ではないですがね。血が騒ぎやす。ついにあの怪盗フニクラを仕留めるチャンスかもしれませんぜ」
二人が話しているのは正体不明の怪盗についてである。
怪盗フニクラ。
神出鬼没、時に金持ちの家や銀行に現れては金目のものを奪って去って行く。
北内氏と怪盗フニクラの因縁は古く、15年以上前から攻防を繰り返していた。
北内氏がゾンビ食のことを「腐肉喰ら(フニクラ)」と称してPRし、人々の間に流布させたのもイメージ戦略の一環である。
とはいえ、世界がゾンビに溢れてからは怪盗を見かける回数もめっきり減ってしまった。
今となってはどうでも良い存在かもしれない。
「ふん、今更コソ泥如きに心を乱すワシではないわ。鷲尾、とりあえずもう一度肉を焼いてから何気なく村の見回りにでも行こうか」
「じゃあ旦那が焼くから俺が食いますよ。意外と怪盗フニクラも香ばしい匂いにつられてこの館にいるかもしれませんね」
3.
キタナイ・ハウスから徒歩で2時間以上行くと開けた土地に出る。
そこでは要塞と呼ぶべき厳重な警備の下、200体のゾンビがのびのびと育てられていた。
ここはゾンビ牧場。しかし、キタナイ・ハウスで祭りが開かれる今夜、生きた人間はひとりしかいない。
「おほほほほほほ、こりゃゾンビの人手が多すぎて俺たちの人手が足りねえなあ。怪盗フニクラともあろうものが情けねえ!」
男は高笑いをあげながら牧場内を走り回っていた。背後に続々と迫るのは200体のゾンビの群れだ。
「もう2時間もゾンビから逃げ続けてる。
ああそうさ。短パンにベリー系果実の柄のアロハシャツを合わせ、青白くペイントした顔面が特徴的さ。
怪盗フニクラ!その名を知らぬ者はいねえ!だがどうだ、今は右手に持ったハンマーでゾンビ達に応戦してる」
周囲はなにも障害物のない草原。だが、ゾンビが2000体ともなればゾンビたち自身の歩みの遅さが障害になる。
意思なきゾンビ達は他人の歩幅と合わせて器用に歩くことはできず、やがて足を縺れさせ、ダルマ式に転倒してゆく。
それでも圧倒的な数の前には怪盗ほどの健脚も限界が迫りつつあった。
「こっちくんじゃねえよゾンビどもが。こりゃダメだ。オイ!誰か!誰か助けてくれ」
なぜこうなったのか。怪盗である彼は貨幣としても用いられるゾンビ肉を求め、人目につかない時間帯に牧場へ侵入した。ハングライダーで。
だが、そこで困ったことが起こった。警備が厳重なせいで、外に出られなくなったのだ。
「ほほほほほ、ヒーヒッヒッヒ!まさか道中でバスが木にぶつかって仲間がお陀仏になっちまうとは!本当ならこんな危険な場所になんて一人で来るわけねえ。
だが、予告通りに仕事をしなきゃ怪盗フニクラの名折れってなあ。ほほほほ!怪盗フニクラ!さあて、早いとこここから脱出せにゃ。開きやがれこの門め!門め!」
彼はゾンビの塊をあえて混乱させるよう、周囲を旋回するように動きつつ、出入り口の門へ到達した。
到達したは良いが、なにぶん厳重すぎるほどに管理された要塞の如き門である。
ゾンビ200体から逃げながらひとりで太刀打ちできるようなヤワな門ではない。
「嗚呼、こんな時に仲間がいれば。せめてバスが事故らなきゃあ、こんな門なんて易々突破できてたのに。誰か助けにきてくれねえか
『おーい兄貴!』誰だ?
『おーい兄貴!聞こえるか!』声だ!声が聞こえるぞ。ヒヒ、ヒヒヒ!おほほほほほほ!
『兄貴!助けに来たよ!俺だよ、あんたの弟分だよ』弟分ん?俺に弟なんていたか?
『細かいことは気にしないでよ兄貴!』ああ気にしてる場合なんかじゃねえとも!向こうか?この門の向こうにいるのか?
『そうだよ兄貴!門の向こうにいるんだ!』」
ゾンビの他には男が1人。
後ろ足でゾンビを蹴りながら門の錠前をハンマーで叩き続けている。
門を叩く音がわめき声とともにこだまする。
「門の向こうにいるのか!!これは不幸中の幸いってヤツだ!おい、まさかあのバスに乗ってるのか!?
『乗ってるよ兄貴!』デカした!じゃあその巨体をクソッタレの門に思いっきりブツけてくれるか?
『もちろんだよ兄貴!クソッタレの巨体をこの門に思いっきりブツけるよ』お前は最高だ!じゃあ、いちにのさんで頼むぞ!
それ、いち———」
4.
強烈な爆発音が鳴り響き、頑丈な鉄の門扉がひしゃげて吹き飛んだ。
当然だが門をハンマーで叩いていた男もこの爆発で2メートルほど吹っ飛んだ。ゾンビ達も吹っ飛んだ。
「見つけたぞゾンビ泥棒め。よくも俺たちの牧場で盗みなんて働こうとしたな」
硝煙とともに門の向こうから出てきたのはロケットランチャーを構えた村人たちだった。
村人の中には長い鉤爪を生やした男やチェーンソーを装備した男、鋭い牙でゾンビを食う少女、虚ろな目をして両手で喪服を持った老婆などがいた。彼らはゾンビハンターたちの中でも歴戦の猛者である。
「ほほほ!おほほ、ほ、ほほほ!ほぉら開いた。待ってたぜぇ」
男は仰向けの状態から両手を広げて起き上がり、村人たちを歓迎する態度をとる。
背後ではゾンビの厩舎が炎上していた。
彼は脱出のため、あえて村人たちに知らせるために、既に牧場に火を放っていたのである。
一方、村人たちは月に一度のゾンビ狩り祭りのフィナーレの山狩りに散策へ出かけていたところであり、両者のタイミングが一致して現在の状況になったのである。
「ウチの村では盗っ人は問答無用で撲殺する決まりだ。お前には死んでもらう」
「おぉ、そいつは怖えなあ。近寄んじゃねえ!お前ら見た目が怖ええんだよ!こんな奴らと一緒に居られるか!俺はひとりで逃げさせてもらう」
「ヒヒヒ、そんな言い訳がアタシ達みたいな善良な村人に通じると思うかい?」
「おいっ通してくれお前ら!泥棒の顔を見せろ!俺は北内兼望様のボディーガードだ!」
村人たちを押しのけて、北内氏のボディーガードである鷲尾圭吾が現れた。
ゾンビ狩りを見て血の騒ぎが収まらなかった彼は、北内氏の焼いた肉を食べ終わってから、たまたま牧場に忍び込んでいたのである。
「おほっ、見ねえ顔だなぁ、随分な伊達男じゃねえか。サングラスなんかかけてどうした?」
「誰だお前は?」
鷲尾圭吾は男の姿を確認する。
男は顔面を青白く塗っている。全身はゾンビに噛まれ、爆発に巻き込まれてキズだらけだ。
正気を失った表情は奇妙にニヤけていた。
「おっと忘れるなんて酷いぜ!怪盗フニクラさ!本当はあんたのことも知ってるよ。あの汚い金持ちの護衛だろ?俺を捕まえに来たのか?お仕事ご苦労さんだなあ」
「誰だお前は!?怪盗フニクラはそんな顔をしていない」
「怪盗フニクラさ!俺が怪盗フニクラじゃないだって!?馬鹿も休み休み言え。さあ俺をよく見ろ!!青白くペイントした幽霊のような顔を!お前が怪盗フニクラの素顔なんて知ってるのか?俺は怪盗フニクラ!ほほほほほほほ」
鷲尾は地面に座り込む青白い顔の男を観察していた。
この男が怪盗フニクラでないことは確かだ。本物の怪盗が、こんなところにいるはずがない。
「俺が知る怪盗フニクラは1人だけだ。そいつは生きていれば現在30歳くらい。君と同じくらいの年齢だが体格は違う。顔の輪郭もだ。声もそんなに高くないはずだ。それに本物はもっと悪運が強い」
「本物!?そう本物!こんな社会的な価値観のぶち壊れちまった世界で真贋に拘るなんておかしいんじゃないか?神出鬼没、正体不明!つまり人間はみんな怪盗フニクラなのさ!」
「そうか…つまり君は、自分が怪盗フニクラだと思い込んでいるんだな」
鷲尾は1人納得するように言葉を呟いた。
周囲のゾンビハンター達は心配そうに鷲尾を見つめている。
「鷲尾さん、このクソッタレの罪人をどうします」
「この村では盗みを働いた奴は撲殺する。この男も例外じゃねえ。ただの狂った一般人だ」
鷲尾の言葉を聞くと、村のゾンビハンター達は嬉しそうに1人の狂人に飛びかかった。
「おいおいおい、待て、待て、やめろ!ウギャー!おい、アンタ!こいつらを止めてくれ!」
やがて苦しそうな絶叫が広い牧場に響き渡った。
自分のことを怪盗フニクラだと思い込んでいる一般の狂人はゾンビハンター達に石や拳で殴られ始めた。辺りには血や臓物が散乱し、この騒ぎにはゾンビなどもちゃっかり参加していた。
「この野郎、俺たちの大事な大事なゾンビちゃんを盗もうとしやがって。喰らえこれは死の制裁だ」
「ううー、これは仕方のねえ盗みだったんだ。本当なら怪盗フニクラが狙うのは嗜好品だけだ。食料を盗むなんて怪盗のやることじゃない。だからなあ、ゥギャー!頼む、なあ!許してくれ!盗みでもしなきゃ生きていけなかったんだ。わかるだろ?」
「うるせえっ!俺たちは生きていくためにゾンビを育ててるんだ。そんな俺たちの食料を盗むのは俺たちを殺そうとする行為に等しい。つまり我々は貴様を殺す権利があるッ!」
男の申し立ては却下された。
今日を生きるのに必死なのは誰もが同じである。そんな中で1人だけ盗みを働いて許される道理はない。それは純朴なゾンビハンター達にとっては殺人の正当化に他ならなかった。
「やっぱり新鮮な人肉を裁くのは最高だぜえ」
「ヒヒヒヒヒ」
「ウワァァァーーッ!わかった!わかった!アンタだろ!鷲尾圭吾さん!あんたが本物の怪盗フニクラなんだ!」
男は村人達に殴られながら、必死に叫んでいた。その言葉に、思わず鷲尾も振り返る。
周りもゾンビハンター達も「えっそうなの?」という表情で鷲尾の方を振り返った。
「えっ…ちっ…チガイマスヨ」
鷲尾は両手を震えさせながら、北内氏から勝手に借りてきた斧でゾンビを捌き、七輪の上で炭火焼にしている最中だった。
「嘘だ!俺にはわかる!人間はみんな怪盗フニクラなんだ!だからお前も怪盗フニクラだ!俺アンタのファンなんだよ!ほほほ、だって俺も怪盗フニクラだからなぁ〜〜ほほほほ、ほほほ!ウギャァ〜〜〜!!!」
「やだなぁ、俺が怪盗なワケないじゃないか」
「そうだぞ盗っ人め!鷲尾さんがお前みたいな盗っ人なわけないだろうが!さあこの喪服を着ようね」
「ウギャァ〜〜!やめろ〜!やめてくれ〜!やめ」
辺り一面に血痕が広がり、男の声がプッツリと途絶えた。鷲尾はその光景を後に、七輪を抱えて何処かへ行ってしまった。
5.
北内兼望氏は嬉しそうに1人で夜の散歩をしていた。
「フンフンフフーン、やはり夜の散歩は楽しいのう!」
山の林道はデコボコ道が広がっており、整備すら行き届いていない。とはいえ、その道は事故車一台もない。
なぜなら社会が崩壊して15年、車の一台も走るはずがない。
やがて脇にある木々の間から誰かが飛び出した。
北内氏は咄嗟に拳を構えたが、すぐにそれがゾンビではなく、ボディーガードの鷲尾圭吾だと気がついた。
「んんっ?なんだ、鷲尾か。ゾンビかと思ったぞ」
「げっ大将じゃねえですかい。こんなところで何してやがるんですか」
北内氏はすぐに鷲尾の抱えているゾンビ肉と七輪と大斧に気がついた。
「あー!鷲尾!お前また勝手にワシのゾンビ肉と七輪と大斧を持ち出しおって!今日という今日は許さん!鷲之圭吾、お前はワシの警護だけしておればいいんだ」
「やだなあ、俺の名前は鷲尾ですよ」
「そうかそうかすまん!アッハッハッハ!」
「オホホホホホホ!」
2人は談笑したり、道端から飛び出した幻の変異型S5ランクゾンビを瞬殺したりしながらキタナイ・ハウスへ戻っていった。
北内兼望、33歳。
13歳の頃から怪盗フニクラによる盗難被害に悩まされてきた彼は生来の金好きであり、世界の崩壊後は好きだった貨幣社会の再建に力を尽くしている。
怪盗フニクラ、28歳。
正体不明かつ神出鬼没な彼は主に北内氏の財産を狙うことがやたら多いが、世間では神出鬼没だと言われている。昔は美少年怪盗として一世を風靡した。現在は引退したと言われているが定かではない。
日本の全人口1000人、ゾンビの全人口40億人の世界で、味がよく熟成肉として保存の効き自己進化するゾンビはちょいちょい分裂したりするものの、貨幣として最適として生き残った人々の間で流通していた。
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『怪盗フニクラ』
東山ききん☆
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