第78話 迷宮都市バルディ再び Ⅰ

船は、早朝にバルディに到着した。

こんな朝早くに着いても、酒場は開いていないし、行くところがない。

う~ん、どうしよう。

まだ街の一日は始まっていないらしく、猥雑なはずのバルディの通りがすっきりと寂しい。

そうだ、大迷宮会館に行こう。

バルディと言えば大迷宮だし、あそこの酒場なら開いているかもしれない。それに、マイルスさんの店が開いていたら挨拶はしておかないと。


と言う事で、大迷宮会館の中まで来たが・・・、

ガランとしてて何処も開いていない。やっぱり朝が早すぎたのだ。

たまに人が居ると思ったら、会館の床に座り込んでいたり、酷いのになると大の字になっていびきをかいている。迷宮の中から朝帰りで戻ってきた冒険者達が、ホッとして店が開くまで休んでいるのだ。


う~~ん、どうしよう。

あっ、そうだ!

あいつの体を造るのを忘れていた。

ネンジャ・フン、あの魔物の体を魔法の『受肉』で作らないと。

ネンジャ・フンが出てきてもいいように、迷宮の中でやらないと。


そして、静かな会館の中を迷宮の入口にいって、縦穴をたった独りで降りてゆく。

底に着くと迷宮の入口の横穴が以前と同じく開いている。当たり前だが・・・。

そして、そのに入ると、いきなり頭の中に迷宮の案内が広がった。

グリモワールだ。

アッシュの迷宮内と同じように、迷宮の地図やそこで生まれてくる魔物が知らさせる。

やはり迷宮は何らかの意図で作られ、外来者を待っているものなのだ。


その案内をじっくりと観ていると・・・。


”ナツカシイ。フン ト プ ココデ生マレタ。”


いきなり念話が聞こえてきた。

大迷宮の中の濃厚なマナに反応して、どうやらネンジャ・フンが目を覚ましたようだ。


”フンとプ”って?


”ネンジャ・フン ト ネンジャ・プ、フタリ ハ 仲 ノ イイ 友達ゴブリン ダッタ。

デモ コボルト ニ 殺サレテ 喰ワレテシマッタ。

大神様アラワレテ 真ノ名『ネンジャ』ヲ クレタ。

ソシタラ 生レ変ッテモ 昔ヲ 憶エテイテ 二人ハ 友達ノ ママ。

ネンジャ・フン ハ 強クナッタ。ネンジャ・プ ハ 賢クナッタ。

ネンジャ・フン ハ 迷宮ノ王様ニ ナッタ。

ネンジャ・プ ハ 迷宮ヲ 出テ 人間ニ ナッタ。"


"そう、そんな事があったの。

・・・、

じゃああなた、この迷宮の中でいいのね。"


"?"


"あなたの体を『受肉』でもって、今から作るわ。

ここはあなたの生まれ故郷なんでしょう。だから、これからはこの迷宮の中で過ごせばいい。"


"オマエ フン ノ 体 マダ ツクッテ ナカッタ ノカ?"


"・・・うん・・・"


"メンドウクサガリ ナンダナ・・・

ネンジャ・フン ヤサシイ、ネンジャ・フン オコラナイ。"


"ちっ違うわよ、そうじゃないのよ。変な場所で作って、マナの無いところに放り出されたらあなたが困るでしょ!

だから、敢えて作らなかったのよ。"


"・・・ソウカ・・・、

ネンジャ・フン ヤサシイ、ネンジャ・フン 信ジル。"


"とにかく、受肉!"

魔法の発動と共に大量のマナが吸い取られてゆく。


・・・、

・・・、


あれ?、なにもおこらないぞ・・・。

確かに魔力をごっそりと使った。だのに、何も起こらない。

失敗か・・・。


"ソンナコト ハ ナイゾ。ネンジャ・フン ノ 体ガ デキアガッタゾ。"


えっ!、何処に?


"オマエ ノ 亜空間 ノ ナカニ。"


・・・、


"じゃあ、さっさと出てきなさいよ。"


"マダ 産マレル時 デハナイ。"


なっなんだって・・・十月十日(とつきとおか)の後と言うのか!


"十月十日!

・・・オマエ バカ・・・。

今、産マレル。人 大勢 イル。人 ト 殺シ合ワナイト イケナイ。

ネンジャ・フン ヤサシイ。人殺シ シタクナイ。"


人殺しは厭だ!

・・・だって、

魔物ならいいわけ?

いや、確かにアッシュの遺跡でもネンジャ・フンは、人を殺さなかった。ただ殺されていた。


"魔物 ノ 心ノ中、情(なさけ) ナイ。憎悪・狂喜・餓エ ダケ・・・。

殺シ合イ ノ タメニ 生キテイル。

フン ト プ ダケ、友愛 ノ 心 ヲ 持ッタノハ。"


そう・・・そうなの。

・・・。

きっと、あの爺神はその友愛をあなた達の中に見つけて、それで『真の名;ネンジャ』を与えたのでしょう・・・。


"でも、じゃあどうするつもり?"


"マダ オマエ ノ 中 ニ 居ル。

危ナイ時 ニ ナッタラ デル。"


そっ、それはお世話になります・・・。


"気ニ スルナ、ネンジャ・フン ヤサシイ。"


と言うわけで、まだ出てこないらしい。深層に潜ったら出てくるのだろうか。

その時になったら、改めてみんなに紹介しよう・・・。

もっとも、出てはこないが折に触れて大迷宮の中を案内してくれるらしい。観光案内のガイドさんみたいなものである、期待したい・・・。


"笑っちゃうネ、十月十日(とつきとおか)だって。"


もう一人いるのを忘れていた・・・杖のシュールタロテ。


"キミが忘れていようと忘れていまいと、ボクは居るんだよ。

で、どうするんだい?

今から潜るつもり?"


"それどころじゃないのよ。

あなたも知っているでしょう、ヴォルカニック皇国との戦争。"


"キミはその戦争にかかわるつもり?"


"そう、仕方ない。戦争で世の中が大混乱になると、バルディがどうなるかわからない。

迷宮の探索なんて、できなくなるかもしれない、でしょ。"


"確かに。

でも気を付けないといけないよ。今のキミは、人並外れた魔法の力を持っている。戦争で派手に暴れまわると、キミはもう、自由に動けなくなるよ。

他の人々は、キミを頼って畏れる・・・いや、怖れるだろうから。

加減をよく考えないとネ。"


"わかったわ。

じゃあ、私一人では動かないわ。

どこかに所属して、動くことにする。"


"ああ、それがいいよ。

で、それなら何処に所属するんだい?"


ランディ達と?・・・

いや、それは同じ事だ。転生者のグループと一緒に居ても状況は変わらない。『危険なあいつ』が『危険なあいつ"ら"』になるだけだ。

やっぱり、教会が安全だろう。

神聖騎士団、彼らなら世間は納得して安心してくれるだろう。そして、彼らなら私の行動に助言してくれるし、立場も守ってくれるだろう。


"そうだね、それがいいネ。"


と、なると・・・こんなところでウロウロしている場合じゃない。

修道院に挨拶に行かねば・・・。

と言うことで、迷宮からはそのままUターンして、バルディ修道院に向かうことにする。


少し狭いが、石畳できれいに舗装されたバルディの街路を歩いてゆく。まだ朝方なので、人通りの混雑は始まっていないが、その代わり店も開いていない。明るい朝日が射す中、店の前を掃除をしている人をちらほらと見かけるだけだ。


少し歩くとバルディ修道院の建物が見えてくる。外見は他の建物と何も変わらないのだが、一年ぶりなので妙な懐かしさが感じる。

外に開けはなれた小さな門をくぐり玄関を抜けてロビーに入ると、中では修道士たちがあちらこちらで立ち働いていた。修道院の朝は早く、この時間なら既に活動は始まっているのだ。その修道士たちも顔なじみの人たちがほとんどで、姿を合わせる事(ごと)に会釈をしながら、まずは厨房に向かう。この施設を実務的に切り盛りしているのは典座(てんぞ)で、まずはそこに帰還の報告と挨拶をしておくというのが、ここの流儀なのだ。


「ただいま!」


厨房の戸口で少し大きな声を挙(あげ)る。中では朝食の後かたずけ食器洗いをしている3人が居たが、みんな一斉にこちらを振り向いた。


「おう、おかえり。

朝から元気だね。」


典座はすぐに私だと気が付いてくれた。親し気に声を返してくれる。


「今朝、船で着きました。」


「そうかい、じゃあ朝食はまだだな。」


こっくりとうなずくと


「余り物のパンだ、ホラ持っていきな。」


と、こぶし二つ分ぐらいの丸いパンを投げて渡してくれる。


「ありがとう」


礼を返して、懐からハンカチを取り出して包み込み、外套の懐にしまい込む。


「もう修道院長の所へは行ったかい?」


「いえ、これからです。」


「朝の祈祷も朝食ももう終わったから、今頃は事務仕事に精出しているだろうよ。

行ってやりな、首を長くしてまってたのだから。」


「はい!」


と、威勢よく返事をして修道院長室に向かう、

と思ったが・・・やっぱりお腹が空いているので、一旦ロビーに戻って懐のパンを齧っている。


「やあ、久しぶり。ようやく帰ってきたんだな。」


そう言って顔見知りの修道士が話しかけてきた。


「ええ、今朝の船で着いたばかりです。」


と返事して、これまでの巡礼の話を少ししている。面白そうに聞いていたが、


「すまないね、まだ仕事中で、戻らないと。

また、夜の祈祷後にでも話を聞けたらね。」


と。皆さん結構お忙しいのだ。


「はい。でも一つ教えてください。あの3魔術師達、先程から見かけないのですが。」


「あぁ、連中ね。そういやあなた、彼らと知り合いだったんだね。

この5月に王都に戻ったよ。

まあ、出ていくときは、これで無罪放免とか言って、清々しい顔をしていたな。

じゃあね、また後で。」


こう言って、また自分の仕事に戻ってゆく。

3魔術師、王都に帰っていたんだ。会いに行けばよかった・・・しかし・・・あの魔窟には近づきたい気持ちが起こらない・・・当然だな。


ここでようやくパンを全部おなかの中に収めてしまっていて、今度は本当に修道院長のところに向かう事にする。


階段を登って、3階の廊下の突き当りが院長室で、ドアの前に立ち戸に軽くノックすると、


「はい、どうぞ。」


と中から声が返る。戸を開けて部屋の中を覗くと、机に座って書類を読んでいた。


「ただいま戻りました。」


「あぁ、エリーセさん。おかえりなさい。

お待ちしていました。」


こうして、巡礼でのバルディを出た後の話を始める。この人は爺神の顕現を経験している。だから、アッシュの遺跡での事も包み隠さずに話しても大丈夫だ。

そしてネンジャ・フンとネンジャ・プについても・・・。


「ええっ・・・それは本当の話ですか!

確かに聖ネンジャ・プは、ご自身の事を『自分は人ではない』と言っていたことは伝わっていますが・・・。

だからと言って、魔物が人に進化して聖ネンジャ・プになったなんて・・・ちょっと信じがたい・・・。

で、そのネンジャ・フンという魔物は今どこに?」


「私の中に・・・。迷宮の中に行って、出てくるように言ったのですが・・・。

そこで出てしまうと、迷宮の中にいる冒険者達と殺し合いをしないといけないからと言って、出てこないんです。」


「・・・なんとまあ・・・変わった魔物ですなぁ。」


「ええ、昔は聖ネンジャ・プと友達だった、とそう言っています。」


「ほぅ。」


「そして、他の魔物はそんな友愛という感情を持つことはないのだと。」


「なるほど・・・。」


「多分、魔物の中に友愛の心が芽生えたのを大神様が嘉(よみ)して、『真の名;ネンジャ』を与えたのではないでしょうか。そのようにして、人々の救い手としての聖ネンジャ・プの魂を錬成した・・・そう思いましたが・・・。」


「なるほど・・・。しかし、それは仮説であって、しかも極めて大胆な仮説と言わねばならない。そして、その影響力を考えると危険な仮説ともいえる。

あなたの説を否定したり責めたりするつもりはありませんが、慎重であるべきでしょうな。その話をするのは。」


「わかりました・・・。でも、いずれネンジャ・フンは現れます。多分、大迷宮に深く潜った時に。私の危険を守らねばならないときに出てくると言っていましたから。」


「では、こうしておきなさい。

あなたが大神様の使徒である、という事はこの修道院に居るものは誰も疑いません。ですから、ネンジャ・フンはあなたを守るために遣(つか)わされた魔物だと。フンが現れた時は、あなたが召喚したのだ、と。」


なるほど・・・。

修道院長ともなれば、方便・・・いや・・・ものの言い様をよく知っている。


それから大事な事を伝えておかなければならない。神命の事だ。


「アッシュの遺跡の傍のネッツ神社で、また大神様が顕現されました。そして、勇者イヤースの事を話してくれたのです。

勇者イヤースも神命を帯びていたそうです。」


「勇者イヤースというのはテルミス建国王イヤースの事ですか?6邪神を斃したという。」


「はい。邪神は6体ではなく、7体だという事です。そして邪神殺しが神命なのではなく、その後で"選択"をした、それが神命なのだと。」


「"選択"ですか・・・どのような?」


「人の世界がどう歩んでゆくのか、そう言う選択だそうです。」


「なっなんと・・・」


「その選択の結果がいまのヘルザの世界なのだと・・・。そして、その結果イヤースは自分自身の未来を閉ざすことになり、死への道を歩んでいったのだと・・・。」


「なっなんと・・・だから"勇者"イヤースなのですね。

で、あなたの神命も同様なものと、そう仰ったのですか?大神様は。」


「どのような"選択"であったのか、その内容については何も教えてくれませんでした。でも、私も"選択"をする時がいずれやってくる、その覚悟をしておけと・・・。」


「・・・、・・・。」


修道院長を目を瞑り、壁の聖なるシンボルに向かって跪いて暫くのあいだ黙々と祈っていた。そして、


「エリーセさん。私はあなたと共に大神様の顕現を受け、そして直接命ぜられました。ですから、あなたを守る事を何よりも優先します。たとえ、王国や教会を棄てることになってもです。あなたの神命達成、その重い運命を共に背負う事を誓います。

ただ、いまの話、神命による"選択"、これは重たい。これを耳にした者は畏れ、戸惑い、とんでもない事をしでかすかもしれない。ですから、この話は秘密にしておきましょう、わたしとあなたの二人だけの。たとえ教皇様であっても、この話をするのは止しておきましょう。」


確かにそうするのがいいだろう。この人がそう言うのであったなら・・・。

それからもう一つ言っておくことがある。イヤリル神社でのアッシュールとアシュタロテの2精霊との交信の話を・・・そしてイヤリル神社で精霊巫女になった事を。


「う~ん、向こうでもそう言うお立場になったのですか・・・。まあ、神命というのが普人族だけでなくすべての人々に関するのであるから・・・そう言うことになるのは当然と言えますが・・・。」


「そもそも私、エルフですから・・・。」


「そうでしたな・・・。ハイエルフでしたな・・・。」


この話は、これで終わった。あっさりと。

そして次はヴォルカニック皇国。はぐれ者について、特にリュンガー老師の話も。


「リュンガー師ですね。あの方の名前は私でも知っていますよ。深い学識で有名な方です。はぐれ者は王国楽土を維持するための必要悪と言うわけですか・・・ちょっと残念な発言ですな。確かに国家の秩序を維持するためには、何らかの形でそれなりのコストがかかっているのには違いない。しかし、それは我々聖職者の口にすべき言葉ではない・・・が、ヴォルカニック皇国の"王国楽土"は、教会と皇国が一体となって実現できたのだというのであれば・・・難しい問題ですな。」


「ええ、そうなんですよね。

でも、その事を他人事(ひとごと)として見ていられない状況になってきているんです。」


「?

どういう事なんです?」


「今からお話する件に関してはモルツ侯爵様から秘密を守る様に言われています。そのおつもりで聞いてください。」


「それは剣呑な事ですな。私に聞かしてもよろしいので?」


「ええ、そう言われています。

実はヴォルカニック皇国からの帰還途中での見聞したことなんですが、どうやらヴォルカニック皇国はテルミス王国に対して戦争を仕掛けてくる様なんです。このことに関しては、侯爵様のほうで分析頂いた結果、その可能性が高いと言われています。」


「ええっ!」


「そして侯爵様から、神聖騎士団も参陣を考えてもらいたい、とおっしゃってました。」


「う~ん、侯爵閣下はそうおっしゃっていましたか。

・・・そうでしょうな。

神聖騎士団と言いましても、王国から完全に独立した存在ではありえませんからな。ここにおるものは、もっぱらテルミス王国出身の騎士・魔術師ばかりだし、ここからまた王国の組織に戻るものも沢山居ますから。

我々神聖騎士団と言うのは、教会と王国との接点にある存在ともいえる。

もっとも、テルミス教会とて同じ事は言えますよ。教会の扱う人々と言うのは王国民なのですから。


人の営みは色々であり、国の在り様も様々、でありましょう。

でも信仰と王権を完全に分かつことはできない。

これは現実です。その関係の在り様は様々ですが。

王国が戦争に入った時、神聖騎士団がそれに知らん顔はできないでしょう。何らかの関与・参加はせねばならない。

しかし、王国からの指揮下にあるというのも、好ましくない・・・。

さてどうしましょうか・・・。」


「先程お話ししましたように、ヴォルカニック皇国と言うのは、見た目は麗しき騎士道の国ですが、その中には大きな矛盾を抱えた国だと思います。

ですから、そんな国が勢力を広げるというのは好ましくない。テルミス王国を助けないといけないのではないかと。」


「まあ、私もテルミス王国で生まれ育ち、ここで過ごしてきたのですから、そう言われるのはうれしい限りではありますが・・・。

あなたのその判断、お考えと言うのは使徒としての立場からですか?」


「えっ・・・神命との関係は・・・あると言う訳でもありませんが・・・。

ただ、転生者としては、ヴォルカニック皇国はいずれ行き詰まりに陥る、そう申し上げたい。」


「・・・そうですか・・・。

使徒の役割である"選択"、と言うわけではないのですね。

確認しておきますが。」


「そんな・・・。そんなつもりで申し上げたわけではないのですが・・・。

私は治癒師・祓魔師ですから、その範囲で参加するつもりでいます。

戦場では大勢の騎士が傷つき・倒れるでしょうから。以前王宮に居ましたから、騎士団の中には知人も大勢います。そんな人たちが倒れてゆくのを放ってはおけませんし。」


「なるほど・・・。

そう言う事なら結構。我々も気が楽だ。

一つにはあなたの護衛、これはバルディ神聖騎士団がする、これは当然の事。

いま一つは、戦傷者の治癒、戦死者の弔い、これも教会の仕事なのだから、我々が出張っても何もおかしくはない。その範囲での参加なら教皇庁もとやかく言わんでしょう。

そうだ、バルマンという修道者が居ます。ついこの間まで王国の騎士団で将校をしておった騎士ですが、3ケ月程前に来たばかりの者です。参謀局に居たのだから、戦争を俯瞰する眼も持っていましょう。

呼びましょう。」


そう言って部屋から出て行く。しばらくして、30過ぎの灰色服の修道者を連れて部屋に戻ってきた。


「紹介します、今お話ししていたバルマン兄弟です。こちら使徒エリーセ殿。」


バルマンは片膝を突き、騎士の礼で紹介を受けようとする。


「ちょっと、止めてください。そう言うのは慣れていないんです。普通になさってください。」


そう言うと、立ち上がって気まずそうにニヤついている。


「・・・バルマン兄弟、あまり気にされないように・・・こういう方ですから。」


それを聞いて、少し戸惑いながら、もじもじしていたが、


「は~、ではどのようにすれば宜しいので・・・、

お嬢さん、お茶にでもどうです・・・ってな感じですか?」


う~ん、この方、女の子に対しては、片膝をついて敬うかナンパするかのどちらしか、したことがないのかしらん。


「いえ、普通になさればよいのですよ。ええ、騎士エミリーに対するのと同じ様に。」


「えっ、あのオーガー女と一緒でいいので・・・。」


う~~ん、この方、聖職者は似合っていないようである。


「ええ、それで結構。

それよりも今からお話する事、これは秘密ですから。その秘密を守る事を約束してください。」


そうすると、腰の辺りに手をぶらつかせながら・・・、


「剣に誓って秘密を守る、としたい処ですが・・・丸腰ですから・・・それもできない。

修道院の中では何に誓えばよろしいので。信仰でしょうか、神でしょうか・・・。」


「えっ・・・別に何かに誓う必要はありませんが・・・とにかく秘密を守ってくれればいいのですよ。それに、今からお話する内容は信仰や神様の事ではなく、もっと際どい話なので。」


「わっ、わかりました。秘密を守る事を・・・自分の母に誓って・・・」


何かに誓わないと秘密を守れないのであろうか・・・


「ああ、いいでしょう。それでお願いします。

ではお話します。

テルミス王国は、これから半年ほどの後(のち)に戦争をすることになるでしょう。」


「えっ、なにっ・・・しまった!、王国の騎士団を抜けるのは早まってしまった・・・。」


「ええ、もう抜けてしまったのですから・・・、致し方がないでしょう。

それで、バルディ神聖騎士団もその戦いに参加するつもりであります。このことは秘密ですよ、いいですか。」


「ホッ、参加できるんですね。それはよかった。じゃあ自分は先陣をきらしてもらたいのですが、兵力としては少し少なすぎやしませんか・・・。」


「なに言ってるんです。修道院の聖職者・修道士が真っ先に突撃してどうするんです。」


「・・・ですな・・・残念な事でありますが。

しかし・・・どうにかなりませんかね。」


「我々には我々のなすべきことがあります。戦場でもね。」


「ですか・・・。で、何をするんです?」


「戦傷者の治療、戦死者の弔い、と言う所ですかね。」


「いささか地味すぎやしませんか・・・そのお役目。」


「あなたは、治癒魔法も聖魔法も使うわけではないので、その護衛と言う事になりますね。」


「はあ・・・もっと地味ですな。」


「申し訳ないが、今、ここにですね、戦場の状況を把握できるような人が居ないのですよ、あなた以外に・・・。

他に将校出身者は、ただいまバルディ修道院におりませんので。」


「ですな・・・。」


「と言うわけで、あなたが現場の指揮者と言う事になるわけなんです。必然的に・・・ね。」


「はあ・・・王国騎士団の指揮を仰いでは如何です?」


「それはできません。あくまでも我々は教会に属しているのですから。」


「そうなりますな・・・やっぱり。」


「まあ、どういう具合になるかは、まだわかりませんが・・・とにかくそのつもりで出征組を組む心構えをお願いします。

あっ、それで、使徒エリーセですが、彼女は参陣すると決めておられます。まあ、バルディ神聖騎士団は、彼女の守護が役割の本筋ですから、当然護衛の任務は努めていただきます。」


「この娘(こ)が・・・いえ使徒エリーセが戦場に行くのですか?・・・なんのために・・・。」


何と失敬な!


「私の治癒魔法は凄いんですよ!あのホーリーヒールなんてチョチョイのチョイなんだから。それに火力だって・・・戦況をひっくり返すぐらいはあります!

まあ・・・悪い方にひっくり返ることだってあるかもしれませんが・・・。

とにかく凄いんですから。」


「彼女は強力な魔法の使い手です。ですから、その護衛もかなり重要な役割となりますが・・・それよりも戦場でどのように働くか・・・その知識・経験がないので助言してやる必要がある、そう言う事です。」


「う~ん助言、それは強力な魔法の術者の指揮をとるという事で・・・、

それは、なかなか面白そうですな。」


そう言って、目は天井を睨みつけつつ口元はまたニヤついてきた。

そして、


「で、戦費はどうなります?」


今度は修道院長が黙ってしまった。


「・・・。

まだ、そこまで考えていません。何しろこの情報はたった今聞いたばかりですから。」


「そうですか・・・。

それはそうとこの情報はどこからなのです?

いや、これは聞いても良かったのでしょうか。」


「モルツ侯爵さまからです。そして、その情報を王国にもたらしたのは私自身です。」


「えっ、モルツ侯爵!・・・なんと、侯爵に・・・。凄い方だったんですな。流石に使徒エリーセ殿。」


「それから戦費については、侯爵様の方から出してくれると言っておられました。」


「おお、素晴らしい。既に金の問題は済んでいるじゃあないですか。じゃあ、後の事は自分に任せてもらってもいいですよ。」


と、このように話がまるく収まりかけたのであるが・・・ここで修道院長が、


「何と言いますか、バルマン兄弟。

あなたは強力な魔法と金があるとなったら、態度がコロリと変わった様に思うのですが・・・灰色修道服で、端くれとは言え今のあなたはもう聖職者の内・・・神に仕える身なのですから、そのように状況によってコロコロと姿勢が変わるのは宜しくない。

己の信仰を見つめ、もっと自己をしっかりと保ってですな・・・、

・・・、

・・・、」


と、修道院長の小言が始まった・・・。

・・・、

・・・、


小1時間の後(のち)、私とバルマンはせせこましくも騒がしいバルディの街路を歩いていた。小一時間の小言のあと・・・。


「いや、小うるさい事。あの人は神聖騎士団長としては物分かりのいい好人物なんだが、修道院長に戻ると途端にうるさくなる。幼年学校の校長先生みたいだね、まったく。」


ボヤいている・・・


「言っときますけどね、叱られていたのはあなたなのですよ。私はそれに付き合わされたというわけで、いわば被害者ですからね。」


「アハハッ、まあそう言いなさんな。素晴らしい箴言を頂いて、人生にとても有意義な一時(ひととき)を過ごしたのだから。」


まったく、効いていないようである・・・。

それはそうと、この猥雑な商店街の何処に向けて歩いているのかと言うと、また大迷宮会館。今度は迷宮ではなく、その中にある仲買商のマイルスさんの店が目的地なのだ。

そう、資金の無心にである。

侯爵からの通達はまだ届いていないかもしれない。でも先に話を進めておいた方がいいだろう。戦争までの期間は半年ほど先と予想されているので、出陣の用意をするのにそれほど時間に余裕があるわけでもないのだから。


10分程歩くと、もう石造りの大きな大迷宮会館が見えてきた。

さきほど来た時とはすでに様子が違い、中は冒険者達でガヤガヤと賑わっている。この中に入ると、ちょっと臭いが懐かしい匂いもたち込めている。冒険者たちの汗と魔物の血と肉の匂い、その匂いが充満する中、マイルスさんの店へと足を運んでいる。

店先は会館の一画に大きく開いていて、床には持ち込まれた血だらけで赤黒くなった素材や魔石がゴロゴロと転がしてあり、それらを踏まない様に、解体屋の職人やそれを見届けている冒険者達の間を、奥の事務所へと足早にすり抜けてゆく。店の奥にはカウンターがあり、そこでは売買取引中の、これまた冒険者と店員が怒鳴り合って交渉中だ。それを横目に事務所に入ると、事務所の中でマイルスさんは帳簿を睨んでいた。


「失礼します・・・。」


声を掛けると、顔を上げて、


「どちら様で・・・」


「エリーセです。今日、バルディに戻ってきました。」


「はい?」


「モルツ侯爵様に、こちらへ挨拶しておくようにと言われましたので・・・」


「あぁ~~あぁ~~、エリーセさん!

お帰りなさい。

王都にはもう行かれたのですね、そして侯爵に報告はもう済ましてきたのですね!」


「ええ、もう済ましてきました。

それで、また別の事を頼まれてきました・・・。」


「なんと早くも・・・次のお役目ですか・・・」


「お役目と言われても・・・私、侯爵さまの部下と言うわけではないのですが・・・」


「・・・ですか・・・それは残念。私はお仲間と思っていたのですが・・・」


その時、騎士バルマン・・・いや修道士バルマン、灰色の修道服姿はどう見ても修道士だから・・・は、話に割り込んできた。


「ちょっと、待ってくれ。おれの紹介をさせてもらうよ。」


「あっ、これは気が付きませんで・・・、失敬いたしました。修道院の方ですな。

しかし、あまりらしくないようですが・・・」


「ああ、入りたての新米の修道者だからね。

バルディ神聖騎士団のバルマンと言う、使徒エリーセの護衛隊の隊長を務めることとなった、良しなに。

で、今日、ここに来た要件は・・・だなぁ、

金の調達だ!」


「えっ・・・なんと・・・いきなりですか。

しかし、なんの権限でそのような事を・・・」


「さっき名前の出ていたモルツ侯爵閣下の命令と言う事だ、な。」


「えぇっ、そんな話聞いておりませんが、

そもそも、なんの為にです?」


「いや、それは今からゆっくりと説明する。はい、エリーセ殿どうぞ。」


と、今度はいきなりこちらに話を戻す、

何から説明したらいいのだろう・・・やっぱり、最初からだろう・・・。


「この話は秘密を守っていただく様、侯爵様からきつく言いつかっています。

その、おつもりで・・・。」


と、言うと、


「ええっ、そんな重大事項なんですか・・・ちょっと待って下さい。ここではダメでしょう。」


そう言って、私達を店から連れ出して、そのまま魔物亭に向かう。そう、初めて会って話をしたときに使った酒場だ。今日もまたその2階の一室を借り出し、


「ここなら、誰も聞き耳を立てて居たりはしません。さあ、どうぞお話しください。」


「イヤリル神社に行ったあとですね、ヴォルカニック皇国にも行きまして・・・、」


そう・・・これまで見てきたことを延々と話してやる、


「・・・、

それでヴォルカニック皇国が戦争の準備をしているらしいのです、テルミス王国に対して。侯爵様の話では、来年の春ぐらいに開戦するであろうと、予想されています。」


「えぇ~~、なんですと!」


「まあ、そこで侯爵様への私の土産話は終わりなんですが・・・、また次のお願いをされまして・・・。

それが・・・、バルディ神聖騎士団の防衛戦争への参陣と言う事なんです。

兵力はごく僅かなんですが、戦場に神聖騎士団の旗が立っていると王国軍の士気が大いに挙がるとの事で・・・。」


「ですか・・・しかし神聖騎士団と言いましても、さほどの兵力もないのでは・・・その辺の事は私どもにはよくわかりませんが・・・」


「当然だ!

王国の騎士団といっても、この200年程平和でろくな戦争なんかしたことがないんだ。

ただひたすらに訓練を重ねてきた、それだけなんだから。

実戦なんて話が出ると、それだけで胸が高鳴る。

が、同時に不安で一杯なんだ。本心は神頼みにひたすらすがっているだけ。

そんな時に、教会の衣を纏ったベテラン騎士が戦場に居ると居ないでは、大いに異なる。

いいや、神の使徒エリーセがそこに立っているという事が大事な事なんだよ~~、

キミ~~~。」


う~~ん、えらく持ち挙げられたが・・・


「そっ・・・そう言うもんなのですか・・・。

で、私から出陣の資金を巻き上げようと・・・。」


「うむ、敬虔な信仰心と愛国心溢れる大商人のマイルス君、きみにも国防の一翼を担って頂きたい。」


・・・、

・・・、


「マイルスさん、多分近いうちに侯爵様から指示の連絡があると思いますよ。バルディ神聖騎士団の軍資金を出すと言われたのは、侯爵様自身なんですから。」


「・・・、

あっ・・・今の話・・・。

バルマンさん・・・今の話は聞かなかったことに・・・。」


「えっ?

何か・・・問題あるの?」


「ちょっと、エリーセさん・・・、こっちきて」


そう言って廊下に連れ出される。


「エリーセさん、私どもの商会が隠密組織の一部であるというの秘密です!

秘密!」


「あっ、そうだった。どうしよう・・・」


「もう・・・とにかく・・・そうだ・・・。

侯爵様からバルディ神聖騎士団に寄付があるだろうという事で、それを私どもが仲介するとともに、矢銭として寄付を追加する・・・と言うのはどうです。

とにかく、我々が侯爵様の部下と言うのは秘密です。」


「すっ、すみません・・・。」


また部屋に戻ると、バルマンは不可解な表情で座っている。そこへ畳みかけるようにマイルスさんはまくし立て始めた。


「バルマンさん、私どもの商会は侯爵様のお世話になる事が多い。何しろ迷宮の産物と言う変わったものを取り扱っていますから。

で~す~が~、いかに権勢の御盛んな侯爵様だとて、我々を自由にする権限などはお持ちでないのです。

いいですか!

侯爵様の御意向はよくわかりました、しかし、だからと言って私どもの財布から自由に資金を引き出してよいなどというものではありません。

この点を、勘違いなさらない様に!

そう言う話であれば、ほどなく侯爵様の方から資金が送られてくるはずです。その時にお渡ししましょう。それまでは、お待ちください!」


「・・・そんな・・・つまらん意地を張らんと・・・、テルミス王国の命運はあんた方商人に大きくかかわってくるのだから。ヴォルカニック皇国が勝ってしまったら、今みたいに自由に商い(あきない)なんかはできなくなるぜ・・・。」


「・・・そう言う事なら、我々も矢銭として寄付すべきかもしれません・・・。しかし、あくまでもこれはこちらの意志ですることですから。」


「わっ、わかったよ。

とにかく話だけでも聞いてくれよ。」


「わかって頂けたのなら、結構。

お聞きしましょう!」


そう言ってマイルスさんは腕を組んでふんぞり返り、バルマンを睨みつけている。

と言う事で、ようやく軍資金調達の話ができるようになった。

・・・。


「大事な事は、時間がないという事なんだ。半年ほどしかない。

その間に、立派な旗を作り、綺麗な鎧と盾、上から羽織るサーコートを用意しなくては。

それに・・・馬。

我々は教会の立場で出陣することになる。だから王国に頼らずに自前でこれらを用意したという事にしなければいかん。」


「で、御人数は?」


「う~ん、基本エリーセの護衛だからな・・・。

騎士と魔術師・治癒師合わせて20人が精一杯と言ったところか。

それ以上は、出したくても出んだろう。そもそも修道院には50人もいないし、その中では爺さんも居て戦力になりそうなのは半分ぐらいだろうから。」


「なるほど・・・わかりました。

装備は騎兵用の鎧ですね。」


「そうだな・・・戦列兵の大鎧なんか着せられたら動きが取れん。かといって弓兵・散兵のでは・・・ちょっと見てくれがなぁ・・・。

まあ今回は見てくれが大事だからな。できるだけ派手なのがいい。」


「となると、神聖騎士団でオーダーメイドと言う事になりますが・・・。

・・・高くつきますな・・・いやいや・・・、

しかしですね、オーダーメイドにいたしますと、20領もの鎧が半年で揃えられるか・・・。納品が間に合うかどうか・・・不安ですな。」


「ああ、その通りだ。王国騎士団で使っている士官・下士官用の量産の鎧でいいさ。その表面に金メッキでぴかぴかの金枠(きんわく)でも施して・・・あとは神聖騎士団の紋章をあちこちにスタンプしておけばいい。」


金色というのは、聖なる光を意味していて、教会のシンボルカラーでもある。


「了解しました。

とりあえず、それらがそろうように色々当たりましょう。

それで、御旗は如何いたします?」


「思いっきり豪華にお願いする。金銀取り交ぜて、光り輝くような・・・。

そうだ、エリーセも豪華に飾らんとな。何しろ大神様の使徒様なのだから。

旗とデザインを合わせて、見た目を豪華に!

と、言うことでお願いする。」


「よ~~~く、わかりました。なんなら背中に黄金の翼、兜には黄金のたてがみでもつけておきましょうか。」


「おっ、そりゃあ~良い。それにして・・・」


「ちょっ、ちょっと待ってください。人をおもちゃにして・・・」


「あははは、まあ、いいじゃないか。

戦(いくさ)なんて、見栄を張った方が勝ちと言うもんさ。

そんなもんだよ、恥ずかしがっても損するだけさ。」


「しかしですな・・・もう一つ問題が残っています。

ヴォルカニックとの開戦の事、これはまだ秘密なんでしょう。

バルディ神聖騎士団の武装化、この理由付けをどうします?」


「えっ・・・それは考えてなかった・・・さて、どうしたものか。

エリーセさん、なんかいい知恵はない?」


と、困ったらこちらに話を振ってきた。


「う~ん・・・。

大迷宮攻略・・・去年そんな話が出ていたのですが。」


「ああ、それなら俺も聞いてるぞ。そろそろ、大迷宮の攻略をはじめるとな。」


「そのための準備と言う事にしては?」


「なるほど、それがようございましょうな。旗や馬は迷宮攻略に関係ないと思いますが、それはこちらで隠しておきましょう。

ついでに、武装化の資金は大迷宮から集めてくる産物で後払いと言う事にすればいいでしょう。」


「えっ、教会が後払いで買い物をしてもいいのか?」


「そんな事をしたら、修道院長の雷が落ちることになるでしょうね・・・。」


「そりゃあ、いかん・・・。」


「そうですか・・・。

じゃあ、その辺はあいまいにしておきましょうか・・・。」


こうして戦費の問題は片付いた。バルマンは"これで一仕事終えた"と、修道院に帰って行った。昼食の時間が近づいてきたから。

食事の当番やら掃除やら、特に新入りが果たさないといけない下仕事は結構たくさんあるのだ。


さて、修道院での用事はこれで良しと。

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