予想外の出来事

予想外の出来事(1)

 エミリーは城を出る前に、自分の机の上に置手紙を残していた。その手紙には。

 お父様、お母様、私はお祖父ちゃんを探しに行きます。これがどういうことなのかわかって上で探しに行くと決めました。

 お祖父ちゃんには、お菓子の作りの方を教えてもらい、パンも作れます。私は夢を見つけました。

 お父様のご期待に応えられなくて申し訳ありません。お城には帰れないと覚悟しています。必ず、私がお祖父ちゃんを探し出します。育ててくれたことに感謝しています。わがままな娘ですみません。

 お祖父ちゃんが見つかりましたら、ご連絡致します。エミリーより。


 翌朝。

 エミリーは目が覚めると。ベッドにはメアリーがいない。クッキーはまだ寝ている。この部屋の時計を見ると午前7時。エミリーはドアを開け、調理場を見ると。何やらいい匂いがする。

「おはよう!」

 すると、メアリーがキッチンで何かしている。

「あっ! おはよう。起こした?」

「大丈夫。もしかして、朝食を作ってるの!?」

「そうだよ。もう少ししたらできるから、顔でも洗ってきたら?」

「わかった。ありがとう」

 

 15分くらい経ち。クッキーも起きてきた。

「なんか、いい匂がする」

 エミリーはクッキーに気づき。

「おはよう、よく眠れたみたいだね」

「おはよう、あのベッド最高だよね!」

 すると、メアリーがお皿を持ってテーブルに。

「はーい、できましたよ!」


 テーブルの上に並ぶ、朝食は。エミリーはその料理を見て。

「美味しそう……。これ何?」

「サンドイッチ」

「サンドイッチ!?」

「食べたことないの?」

「ない。ちょと、クッキー食べるのが早い!?」

「これ、美味しいよ!」

 相変わらずなクッキー。

 そんな、美味しそうな顔して食べるクッキーを見て、エミリーも一口食べ。

「美味しい……。サンドイッチって美味しいね。これって、タマゴなの? 今まで食べたことがない味だね」

 エミリーは、パンにバターを塗りハムとチーズを挟むだけで、それ以外の味付けはしていない。

 前王はエミリーに、料理について教えていないことが山ほどある。というより、何も教えていないに等しい。お菓子作りについては、9割は教えている。

 メアリーは、テーブルの上にあるもの手にし。

「多分、これね。マヨネーズ」

「マヨネーズ!?」

「あの本に載っていたのを取り出してみたら、これが美味しくって。何でも合うソースみたいなものかな」

「……お菓子に使えそうな気もする」

「ケーキにマヨネーズ!? それはダメでしょう」

「もー、そうじゃなくって! 甘いだけがお菓子じゃないと思うの」

「そうなの?」

「まだわかんないけど」

 クッキーは、自分の分のサンドイッチをあっという間に食べ、相変わらずの食いしん坊。おかわりを催促するが、断られ。結局、あとの2人の食べるのをうらやましそうに見ていた。


 2人は、朝食をすますと、午前8時になり。予定の時刻より早いが、山小屋を出る準備をし。山小屋を出た3人。


 前王は何故、3ヶ月経っても城に帰って来ないのか。確かに、前王は年のせいか忘れがちなところもある。しかし。前王がメアリーとの約束を忘れはずがない、ましてや約束を破るはずもない。2人はそう思っている。

 前王は、食材探しに出かける前にエミリーに言っていた。メアリーとの約束を忘れないように、メアリーに会ってから食材探しに出かけると。それに、今は夏だからな、とも言っていた。


 山小屋の外は、もう既に冬が来ているのか。そう思わせるぐらい外は寒い。でも大丈夫。メアリーの魔法で、あの本の中からパーカーと手袋を取り出し、これで寒くない。クッキーは毛がふさふさしているせいなか、ちっとも寒くない。

 メアリーは空から手がかりを探し。エミリーとクッキーは地上から手がかりを探す。それぞれに時間をかけて、午後0時にあの湖のほとりの広場で落ち合うことになった。

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