閃光ライオット

Scene1

「暑い。なんでこんな暑いんだよ。ったくさあ。どうにかしろよ村中。」


「そんなブーツ履くからじゃないですか。」


うるさい、隣のこの男。季節的な暑さの上に、この暑苦しさ。文句が多い彼は、僕と同じ塾講師である。



「どうも、忍野っす、社会科と国語科担当します。よろしくお願いします。」

彼が僕の勤める塾にきた理由はよく知らない。


確か三十歳で既婚者。初めての挨拶のその時から、彼の体中という体中からだるさが滲み出ており、せっかくの若さと容姿を自分のオーラでぶち壊しているような人だった。


 僕はまだ二十代だが、職場では彼の先輩にあたるわけで、常に温厚で部下想いの上司から、しばらく世話役をするように言われた。


「忍野さん、僕、村中です。僕も国語科担当なんで、塾のこととか、このあたりの事とか聞いてくださいね。」

などと気をつかって言ってみれば、


「ああ、どうぞよろしく。」

となんともまあ面倒くささ全開にお返事をくれたのは、三年前だったろうか。

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