Light colors

囲碁棋士 ⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎

第1話『プロローグ』



見渡す限り、一面の荒野。




所々に虚しく生えている枯木が、吹き止まない風に煽られて折れそうな音を出す。


空もまた、一面灰色の雲に覆われている。




ここは、終わってしまった世界。


この世界に、僕はただひとり存在している。




僕は何だろう。


何故ここにいるのだろう。


分からない。


僕は、ただ存在しているだけの存在。




また、風が強く吹いた。


一瞬何も見えなくなった。




やがて風は過ぎ去った。


あ、誰かいる。


真っ黒な礼服を着た少年。


はじめて見る、僕以外の存在。




少年は僕の方を見ている。


少年には僕の存在が分かるのだろうか。




少年は僕の方に歩み寄ってきた。



「きみは、ひとりぼっちなの?」


少年は僕を見て言った。


確かに少年は僕を感じている。


僕は言葉も出せない。


‥うん。


僕はただ頷いた。少年はそれを感じたようだ。




「おともだちに、なろう。」


少年はそう言った。




おともだち?


おともだちって、何だっけ。


わからない。


でも、何か憶えのある響きだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る