8. エピローグ
……数日後。アルテミス・エンタープライズ社、サッポロ旗艦オフィス。保安部の上級社員タコナベは仏頂面で書きあがった『アルテミス・サーキュラー・ウェイの暴走事件報告書』のPDF文書を見つめていた。アルテミス・ハイウェイ・パトロールが駆け付けた時には既にファントム・キャリッジは爆発炎上していた。残骸を速やかに回収したが、損傷がひどいため何者かが操っていたのかがわからなかった。ブルータル・ベルセルク・ゾクのメンバーは蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、救助されたサクラバは病院で意識を取り戻したが酷く狼狽しており、事情聴取は不可能だった。デビルレイとウィルバーはアルテミス・エンタープライズ社内施設待機を命じたが、既にデビルレイは姿を消していた。
「デビルレイ、この借りは高くつきますよ?」
タコジマは誰ともなくつぶやいた。
…ウィルバーはアルテミス・エンタープライズ社内施設で一時的待機を命じられていたが、それは昨日までの話だ。今日から再びドライバーとしての仕事に復帰の命が下った。ウィルバーは優秀なドライバーだからだ。彼としては辞表の提出も考えたのだが、上司に引き止められ、このドライバーの仕事を続けることになったのだ。
しばらくの待機時間にアルテミス・エンタープライズ社内庭園をにわざわざやってきて、暇をつぶしていた。考えることは数日前のアルテミス・サーキュラー・ウェイの出来事であった。デビルレイは一体何者だったのか。彼には何もわからない。
その時端末から発信音がした。不明な着信者。奴だ。デビルレイだ。素早く電話の通話キーを押した。
『……フヒヒ……運転手さん……またどこかで会おう』そしてそのまま着信が切れた。
ファントム・キャリッジ 夏川冬道 @orangesodafloat
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