第1150話 墨色の欲望
「ふぅー、」
色々と無効スキルを切っててよかったぜ。もしアシュラに飲み込まれて死ねない、っていう状況になったらどうなるか分からないからな。そのままそこで一生を過ごすか、アシュラにダメージ覚悟で帝王切開しないといけなかったかもしれない。
それにしても何で俺は食べられたんだろうか。元々アシュラにそんな癖はなかったと思うんだが。何かわかったか? 天の声さん。
「それを理解するためにはアシュラ様の奥底に眠る強い欲求を知る必要があります」
強い欲求?
「はい。恐らくですが、アシュラ様は飽くなき強さを求めております。それは弱肉強食のこの魔王軍の中でよりその思いが強くなったと考えられます」
ん、アシュラがか? もう十分強いだろ。それこそ、魔王軍の中でもトップレベルで。
「人の欲求や悩みなんてものは他人には知り得ないものですよ。人の身でないのなら尚更です」
まあ、そういうもんか。
で、それが俺を食ったこととどう関係しているんだ?
「アシュラ様は自らが屍に変えた生物を喰らい、取り込むことによってより高次の強さを求めようとしているのです」
なるほど……それなら食べる理由も納得がいくな。ただ、勝手に自分で屍にして勝手に食うことで強くなれるもんなのか?
「確かに一見自分からリソースを与えて、それを回収しているように見えるのであまり意味はなさそうですが、そうではありません。屍にすることによって相手と自分との境界線を破壊し、その者の身体、そして知識と経験などを丸ごと吸収することが可能となっております」
え、何それ怖、そしてヤバ。めっちゃ強いじゃん。
「ですので、あくまで屍たちを操作できるというのは副産物で本来の目的は屍を量産し、それらを全て喰らい尽くすことにあるのでしょう」
なるほどなー。ん、これってプレイヤーに対しても使えるのか? 食べても消化吸収っていうか、ほらリスポーンするじゃん。
「……あまりメタっぽい発言をするのはどうかと。ですが、質問にお答えするならば半々といったところでしょうか。全くの無意味ではありませんが、効果が絶大というわけでもないようです。恐らく、プレイヤーたちが獲得している知識や経験がこの世界ではあまり役に立たないものが多いというのと、身体的特殊性を彼らは持ち合わせていないので」
ふーん、でも意味なくはないってことか。じゃあ……
「因みにこれは余談ですが。同じ人が何回も吸収されたらいよいよ効果はありませんからね? 果汁を絞り切った果実を無理やりミキサーにかけるようなものです」
む、俺のやろうとしてることがバレてら。でも、ってことは吸収され代を作れば良いってことだよな? 俺もアシュラの為にももっと強くならないとな!
「……」
なんだか冷ややかな目で見られているような気がするが、無視しよう。そんなことより他の柱たちは大丈夫かな? 俺が手助け行かなくて大丈夫かな??
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今日は誤字ない気がする!(裏技使いました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます