第1132話 奇蹟の定義


 教典が鬼の速さで作成され、クエストが達成されたため、確認するとまた新たなクエストが誕生していた。


▪︎神への挑戦(4)

・信者を作る(2131/5000)

・儀式を行う(104/50)

・奇跡の行使(0/1)


「今度は奇跡、かー」


 いや、奇跡ってなんだ? いやまあ確かに神様に奇跡は付きもの、というかセットみたいなところはあるかもしれないけど、普通に考えて無理じゃね? 石をパンに変えれば良いのか? それとも海を割るとかか? あと、日本では海の上を走るとかも合ったっけ?


 でも、それは現実世界で起こして初めて奇跡なんだよなー。この世界では最悪海も割れそうだし、パンはそもそもそんなに価値が高くない。あと、海の上は多分普通に走れる。


 んー、どうしたもんかなー。


 そもそも、奇跡ってどういう定義なんだ? 何らかの行動パターンが奇跡として登録されているのか、それもとも行動はなんでも良くて、その結果信徒を感動させたら奇跡として認定されるのか?


 それも含めて頑張れ、ってことか? でも、恐らくだがこの奇跡をクリアすれば多分神になれるはずだ。これ以上難しいタスクが思い浮かばないし、奇跡を起こせるかどうかが、神かそれ以外かの境目な気もするしな。だから気合いを入れて頑張ろう。


 とりあえず、「何らかの行動パターンが奇跡として登録されている」というのが正しいと仮定して進めていこう。もしあらゆる手段を尽くしてもダメだったらもう一つの方法を試せば良いだけだしな。それに、同時並行もある程度できるはずだ。


 じゃあ、この世界における奇跡とは何か、という疑問にぶち当たるわけだな。


 難しいな。現実世界の俺たちからすればこの世界自体が奇跡のようなものだからなー。人を蘇らせることも、天変地異を起こすことも、難易度の差はあれど多分誰でもできてしまう。そもそも俺たちが半不死身の存在だしな。


 そうなってくると、現実世界では当たり前のこと、ありふれていることがこちらの世界では奇跡になり得るのか?


 奇跡の定義から考えても、決して答えは一つじゃないとは思うんだが……一つも思い浮かばねーな。


「あ、そうだ」


 図書館に行って、奇跡に関する文献を漁ってみよう。ユグドラシルに比べれば多少は存在するだろう。


 そう思い、俺は図書館へと急行した。え、メガネくんには聞かないのか、って? 流石に頼りすぎだから今回は自重しておく。それと、メガネくんは俺のリーサルウェポンだ。そう易々と使ってたら神にはなれない気がする。


 ❇︎


 図書館に到着し、散々歩き回って本を探し、結局司書さんに聞いて本を読んだ結果、この世界における奇跡はいくつかに分類されることが分かった。


 一つ目は一騎当千系の人間でもできそうなもの。二つ目は治癒や死者蘇生系の現実世界でもありがちなもの。そして三つ目は天地創造系のこの世界の成り立ちに関するもの。


 一つ目は今直ぐにでもできそうだが、とはいえただ数字上の一騎当千の働きをすれば良いわけでもないと思う。それだと奇跡感が弱いからな。二つ目の治癒や蘇生も、普通にできてしまうから多分違う気はする。


 三つ目は……無理じゃね??

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