第1106話 魔妖折衷
「全軍、突撃」
やっべーなんかテンション上がって恥ずかしいこと言ってしまった。なんだよ『死を恐れるな。全て我が引き受けよう』って普通に痛いやつじゃねーかよ。
だが、俺の恥ずかしさとは対照的に城の防衛は非常に順調に進んでいた。
そもそもプレイヤーたちが魔王国をほとんど焼け野原にして、城しか残してくれなかったから逆に守りやすくなっちゃってるのだ。それに、今は魔王軍最強決定戦を行なっていたからか、皆殺気立っており目に入る敵を容赦なくぶっ飛ばしているのだ。
妖たちも非常も従魔たちに負けず劣らずの働きでどんどんと敵戦力を削っていった。
そして、五分と経たない内に、
「陛下、人間共が徹退を始めました」
メガネくんからそう報告が入った。今回はメガネくんも気持ちよさそうに暴れていたから、いつもと違って少し服装が乱れているのはご愛嬌だろう。
元々プレイヤーに劣っていたのは数だけだから、それを妖によって補充した今、怖いものなんてないんだよな。
……あ、やっぱやめとこ。こんなこと言ってフラグ立ててたらいつか足元救われそうだもん。だってプレイヤーは俺を一回でも倒せばそれでいいけど、こっちは未来永劫ずっと守り続けなければいけないんだもんな。
魔王討伐に関していっつも勇者ばっかりに目がいってるけど、魔王も大変なんだろうな。ずっと気を張ってなきゃいけないなんて辛すぎるだろ。俺は、魔王の味方だからな。
って訳で、今からは防衛拠点作りに力を入れていきたいと思います。
はっきりいって魔王城の防衛能力はゼロに等しい。ノコノコと入ってきた敵に対しては倒せるかもしれないが、それ以外の敵には無力だ。今までだったらそれでいいのかもしれないが、戦争をするのならばそれじゃだめだ。
防衛施設を作って、城の中からでも外の敵に攻撃できるよう要塞化しなければならない。というか、本来なら敵に入り込まれたらその時点で負けだもんな。よし、じゃあまずは、
「アシュラ、海坊主、ペレ、デト、ダイダラボッチちょっときてくれ。お前らには堀と壁を作ってもらう」
まずお城を囲うようにぐるっと外壁を作りその周りを掘りで覆う。そうすればこの城は完全なる孤城となり、攻め込むのが難しくなる。
当然、ここはファンタジーの世界だ。現実世界ならそれだけでもかなり防衛力は上がると思うが、こちらの世界ではどれだけの役割を果たしてくれるか分からない。だから俺は堀をいくつも作ろうと思う。
一番外側の堀には水を、その内側には毒を、一番城に近い堀にはマグマを流し込むという三段方式だ。普段は橋をかけておけば何の問題もないが、橋を落とせば一気にキツくなるはずだ。
そして外壁には、
「アスカトル、ピクシーお前たちはここ壁の上で監視の役割を頼む」
アスカトルの配下とピクシーたちは敵からすれば見つかりにくいし、数も非常に多いためとても見張りとして有能だ。
いいぞ、この調子でどんどんと城を魔改造、いや魔妖改造していこう。
❇︎
「あちゃーこれはやりすぎたな」
ーーー数時間後、
俺はとんでもないものを作り上げてしまったのかもしれない。
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