第1014話 褒美と喝


 不味い、非常に不味いな。魔物プレイヤーへのご褒美かー。そういえばそんなこと言ってたなーその時は何も考えずに言ってたけど冷静にそれを言われたから頑張った、って人も大勢居るだろうからここで無視したら暴動が起きるよな。


 でも、かと言って強制進化させようにも同じ素材が何個もあるわけじゃないんだよな。悪魔とか天使の素材ならそこそこあるけど、階級の差がどうしても生まれてしまう。それだと不公平だと暴動が起きてしまいそうだ。


 んー、何か沢山あって価値が均一なものねーかなー。お金、はちょっと違うだろうし……あ、そうだ、ピッタリのものがあるじゃねーか! ちょっと上手くいくかは分からないが、試してみるか。


『おーい、メガネくんちょっと俺の部屋に来てもらえるか? 褒美のことでちょっと相談があるんだが』


 俺がそう連絡するや否やメガネくんが俺の部屋にやってきた。メガネくんは非常に悩ましそうな顔をしていた。メガネくん自身も褒美をどうすべきか悩んでいるのだろう。とても良い子だが、もうこれ以上悩む必要はない。


「褒美にしようと思っているものが見つかった」


「ほ、本当ですか!?」


「あぁ。ただ上手くいくか分からないから試してみてもいいか? 多分失敗しないし、失敗してもおそらく害はないはずだ」


「分かりました。陛下の仰せのままに」


「よし、では【強制進化】」


 今回供物に捧げるのは俺の余りに余っているSPだ。使い道をどうしようと思っていたのだが、ちょうど良い使い道があった。


 自力でステータスを上げられる俺にとって必要のないポイントが他人にとっては役に立つ。それを俺の国の為に戦ってくれた人たちに与えればお互いにウィンウィンだ。


 それにポイントだから、功績に応じて褒美の増減もしやすい。まさにピッタリな存在と言えるだろう。


 メガネくんが光に包まれ進化が終わると、現れたのは以前と変わらぬメガネくんの姿だった。しかし、


「へ、陛下! す、凄いですよ! なんと、ステータスが全て1ずつプラスされています!!」


 ほう、なるほど。SPを一つ消費して強制進化させると全部のステータスが上昇するのか。これはお得だな。やはり強制進化の素材として使うのが良いようだ。


「あれ?」


「ん、どうした。何かあったか?」


「い、いえ。大丈夫です」


「よし、じゃあこれで行こうか」


「はいっ!!」


 ❇︎


「「「「ウォおおおおおおおおおおお!!!!」」」」


 俺が魔物プレイヤーたちの前に立つとものすごい歓声が沸き起こった。因みに、みんな俺の爆撃によって一度死んでいるらしい。南無。


 ふぅ、ここでしっかりスイッチを入れないとだな。魔王としての威厳が伝わるような口調で……


「貴様ら良く持ち堪えた。おかげで魔王国の平穏は保たれた。だが、貴様らは弱い、あまりにも弱すぎる。であるから我が少しばかり強くしてやろう。勘違いするな、これは褒美ではなく喝だ」


 俺はプレイヤーたちをまとめて一度に強制進化させた。SPがざっくりと二百以上は持っていかれていた。結構な人が参加してくれてたんだ。俺も上に立つものとしてもっと頑張らないとだなー。


「「「「「「「ウォおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」」


 よし、もっと死のう。

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