第959話 死とは
今日は久しぶりに死のうと思う。やっぱり死ぬことは俺の原点だからな。初心忘るべからず、だ。それにプレイヤーを殺す前に自分が死んでおけば文句は言われないだろう?
それで今日の死に方だが、これでいこうと思う。とりあえず場所を魔王国の火山に来てっと、
「【爆虐魔法】、ニュークリアーボム」
ッドーーーン!
そう、今日は俺の爆虐魔法で死ぬ。え、爆弾は効かないんじゃないかって? 爆弾は効かなくてもこの爆弾は核だ。そして俺はその耐性を持っていない、つまりは死ねる。
まあ、一応の為諸々のスキルと称号は封印してあるから万が一にも死ねないなんてことはないだろう。
あ、でも放射線って撒き散らしたら大変なことになるな。魔王国の住民としてワクチンを打つ感覚で皆に放射線に対する耐性を獲得してもらってもいいんだが、予告なしにするのは不味いよな。
『アイス!』
『んーどうしたのーごちゅじんちゃまー』
『ちょっとこの火山の口を閉じてくれないか?』
『分かったー! えい、ふろすとふらわー」
アイスが魔法を詠唱すると、大きな氷の花が一瞬で咲いた。それは火口を綺麗に覆っており、完璧に注文通りだった。アイスは日に日に魔法が上達している気がするんだが、気のせいか? もしかして成長期なのかもしれない。
『ありがとうアイス、あとでご褒美をあげるから何が欲しいか考えといてね』
『うん! わかった!』
そう言って俺はアイスを送り出し、火山の中で一人自爆し続けた。そして、気がついた。スキルと称号をもろもろ封印しすぎたせいで、放射線じゃなくて普通に爆風で死んでることに。
とりあえず俺は無効化スキルを全部元に戻し、爆発の威力は弱く放射線の威力を強くして自爆した。すると、俺は死ななかった。そうだよな、放射線は別に浴びたらすぐに死ぬわけじゃない、徐々に……
「うっ」
一瞬クラッとした。それに頭が痛くなってきた。お腹も痛いし、吐き気がする。なんだか視界もぼやけてきた。そして死んだ。
❇︎
「ふぅ、」
なんだか久しぶりの死だからかちょっとショックが大きいな。久しぶりに死を実感している気がする。最近忘れてしまってたんだな、死への慣れを、死ぬことを恐れている自分がいる。どうせ俺たちは死ぬんだだから派手に生きるんだ。だろ?
「【爆虐魔法】、ニュークリアーボム」
ッドーーン
まるでこの爆発が映画の中のもののように感じる。次第に、自分の痛みや症状さえも。そうだ、このくらいじゃなきゃダメだ。そうじゃなきゃ生きる意味がない。もっと、もっと死を実感したい。
その後も俺は何度も自爆を繰り返した。そして、
ーーースキル【粒子無効】を獲得しました。
【粒子無効】‥粒子によるダメージを無効にする。
「【物理攻撃無効】、【圧無効】、【粒子無効】、【変温無効】、【電撃無効】が統合されます」
ーーースキル【物理無効】を獲得しました。
「……へ?」
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